日本の怒りの影響を量る

2015年10月06日付 Kompas 紙
 河北省の駅に進入する中国の高速列車
河北省の駅に進入する中国の高速列車
ジャカルタ、kompas.com
 日本政府は、インドネシアがジャカルタ―バンドゥン間における高速鉄道建設計画の受注先を中国に決定したことに関して怒りをあらわにした。
 それどころか、日本は経済面での協力を全面的に見直し、投資を取りやめるという脅しをかけてきた。
もしこの脅しが本当ならば、インドネシアは慎重に応じる必要がある。なぜなら、インドネシア投資調整庁のデータによると、日本はインドネシアにおける累計投資額全体の約62%(原文ママ)を担ってきた最重要パートナー国であるからだ。
 2015年上半期における、日本のインドネシアへの投資総額は第3位の16億米ドルであり、これはインドネシアの対内直接投資(PMA)のうち11.3%を占めている。
 第1位はマレーシアの26億米ドル、第2位はシンガポールで23億米ドルであった。

 ソフィアン・ジャリル国家開発企画庁長官は、日本政府の失望を認めた。
 先週、ソフィアン長官は麻生太郎副総理との会談のため、ジョコ・ウィドド大統領の特使として訪日した。
 ソフィアン長官は日本政府に、インドネシア政府の高速鉄道に関する決定は、合理的判断によると説明した。
インドネシア政府はまた、日本との経済協力を変わることなく継続する確約も伝えた。
「インドネシアにおける日本の権益はより広く、単に高速鉄道だけではない」と、同月2日、ソフィアン長官は述べた。
 またその訪問においてインドネシアは、他のプロジェクトをいくつか日本の複数の金融機関に持ち掛けた。これはインドネシアが他のプロジェクトにおける資金調達においては、経済協力にオープンであることを明らかにするためだ。

単なるこけおどし
 戦略国際問題研究所(CSIS)の国際経済評論家であるハルヨ・アスウィチャヨノ氏は、日本の脅しはただの感情的な発言であると評価した。
 これは「こけおどし」と何ら変わりない、ましてや確約した事業の取り消しは容易ではない。両国間の投資協力もまた、単に政府間のものだけではなく、企業間のもののほうが多い。
「インドネシアは冷静になるべきであり、懸念しすぎてはならないと思う」とハルヨ氏は4日、コンタン紙に対して明らかにした。
 ハルヨ氏は、この出来事は両国における貿易関係の盛衰の小さな一部でしかないと見ている。いずれにしろその時が来れば、この両国(の問題)はすぐに解決するだろう。
 なによりも、現在に至るまで日本インドネシア間の関係はきわめて良好であり、とくに日本からインドネシアへの投資の多さが顕著である。
 長らく結ばれている協力関係は多岐に渡る分野に関与するため、そう簡単に終止符を打たれることはないだろう。それ以上に、日本はこれまでインドネシアとの貿易関係によって多くの利益を享受してきた。
 日本製品にとって、インドネシアは非常に大きな市場の一つである。それどころか、日本はここ5年間インドネシアとの貿易によってより大きな黒字を上げている。
 いずれにせよ、インドネシア経営者協会(Apindo)のハルヤディ・スカムダニ会長はこの出来事がインドネシア政府にとって、協力関係の構築における重要な教訓になることを期待している。
 インドネシア政府が日本と比べて中国を指向する理由はさておき、ハルヤディ会長は、インドネシア政府が事業をオファーすることに慎重になるよう希望している。
 そのほかにも、日本の落胆が長引かないようにするため、また実業界に損失を与えないために、良好なコミュニケーションが大変重要である。


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翻訳者:横山紗也香
記事ID:1873