オーストラリア:ISISはインドネシアに 「遠方のカリフ」を求める

2015年12月26日付 Kompas 紙

 シドニー、KOMPAS.com配信
 イスラム武装集団イスラム国(IS)は、目下、インドネシアでの影響力を高めようと躍起になっている。ISは、インドネシアを1つの「遠方のカリフ*註釈1」を打ち立てることを目論んでいる。
去る12月22日、オーストラリア政府はこのように警告した。

 21日、オーストラリアのジョージ・ブランディス最高検察庁長官はインドネシアとオーストラリアの各大臣、警察署長、そして治安局高官と面会し、ISのインドネシアでの活発化はオーストラリアと西側諸国の利益に対する脅威となると述べた。

 「ISISは直接的に、また代理者を通じて、インドネシアにおける影響力と活動性を高める野心を持つ」と同長官はオーストラリアン紙に語った。

 「あなたは“遠方のカリフ”という表現を耳にしたことがあるだろうか。」

 「ISは中東の外で、カリフ制度による統治を企てている。同集団は、上述の野心のための地として、インドネシアを見定めた。」

 ISは、シリアと北イラク外の数々の地域において、広い地域を支配するカリフ制度を打ち立てたと宣言している

 ブランディス長官によるこのコメントは、インドネシア警察がジャカルタにおいて発生した自爆テロ計画を未遂に終らせ、IS関係者数名を逮捕したのちに発表された。

 20日に終わりを迎えた、全ジャワに及ぶ3日間の警察による急襲は、爆発物とIS旗の没収、及び9名を逮捕することに成功した。

 同過激派分子は、ショッピングモールや警察署、少数派集団を狙う計画をしていたと、バドロディン・ハイティ警察長官は述べた。
その逮捕後、治安は強化された。

 いっぽう、オーストラリアとインドネシアの閣僚たちは21日、シドニーとジャカルタで行われた二国間協議に引き続いて、反テロ対策融資を含む、情報分野での協力強化に合意した。

 オーストラリアン紙はISがインドネシアで指導者的地位を築く機会は少ないことをオーストラリア当局が確信していると述べた。しかし当局は、このテロ集団がインドネシアで着実に足場を築くことは有り得るのを非常に懸念している。
もしその様な事態が現実となれば、ISがインドネシア国内外で西洋諸国やオーストラリアの利益を害するような攻撃を行うことが可能となってしまう。

 オーストラリアのマイケル・キーナン法務大臣は、ISという武装集団の出現はオーストラリアとインドネシアの治安を揺るがせた、と述べている。
「中東でのISの出現は、オーストラリアの治安を揺るがした。また、インドネシアの治安を、そして特にこの地域のわれわれの友人やパートナーの安全を揺るがした」と同大臣は述べた。

 インドネシアは2000年から2009年の間に過激グループによる大規模な爆破テロを何度も経験しており、2002年のバリ島爆弾テロ事件では202名が亡くなった。

 政府が行った強硬な措置はその凶悪な過激派組織は弱体化させた。しかしISの出現は、中東の戦場から戻った複数のインドネシア人らがそれらの組織を再び活発化させているという警告をもたらしている。
オーストラリアもまた過激派の脅威を懸念している。

 オーストラリアにおいては6度のテロ攻撃は未遂におわったが、未然に防げないこともあった。最近では10月に起こり、警官1名が15歳の若者によって射殺された。若者は攻撃の最中、宗教的スローガンを叫んでいたと報告されている。

註釈1 スンニ派イスラム教における開祖ムハンマドの後継者を表す。イスラム共同体を政治、宗教の両面で指導する。


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翻訳者:北森理佐
記事ID:2196