(社説)新政権と中国外交 (Weekly, Vol-12/No-12)

2016年04月08日付 The Voice 紙
 大統領になれないように憲法規定で制限されているドー・アウンサンスーチーが、外相としてその職務を開始した後、最初に彼女を訪れた人物と、彼女が政府の顧問として任命されたことを歓迎し、最初にその承認を行った人物とが、両方中国外相であったということは、中国外交のフットワークの軽さに特に注意を払わせるものであった。

 さらに2015年の選挙前に中国共産党は、国民民主連盟党首のドー・アウンサンスーチーをレッドカーペットを敷く歓迎振りで公式に招待し、習近平国家主席を含む中国共産党の首脳陣らとの会合の場を設けた。

 1990年の選挙の際、ミャンマー全域で勝利を収めた国民民主連盟に対して、中国政府の代理として、最初にその結果を喜ばしく思う旨の祝辞を送ったのが在ミャンマー中国大使館であったということも注目に値する。

 しかし、その間の20年間以上、中国がNLDとミャンマーに対して持ってきた意向が、1990年、2015年、2016年のそれとは大きく異なっているということは、中国と中国国民の気質と関係があるだろう。

 ミャンマー国民を激しく弾圧し、支配して来た軍事政権時代の全期間に渡って、中国政府がミャンマーに採ってきた政策と実際の行動に対して、ミャンマー国民全員が苦々しく思いながら反対してきたのであり、中国政府に対しても軍事政権に対する憎悪と同様の感情を煮えたぎらせてきた。

 特に、軍事政権が欲していた公式承認や国際連合安全保障理事会で問題として取り上げられた際の弁護と、中国が欲していたミャンマーの貴重な天然資源などをギブアンドテイクで交換していたことも、民主主義勢力とミャンマー国民は不愉快に思っていた。

 事実、アメリカと中国という両大国の間で第2の冷戦が訪れつつある状況において、軍事政権体制から民主主義体制への変革を始めたミャンマーは、地政学的にも、経済、軍事、民主主義の観点からも、戦略的要所に位置しているため、移動させることが出来ない隣接国家である中国と、良好な関係を維持しなければならない。

 国内の少数民族武装組織のうち、最大勢力である「ワ」とコーカン武装組織に対して影響を及ぼしている中国の当該地域は、ミャンマーの平和樹立のためにも特に重要となっており、鉄道敷設やダム建設といった方法で中国が新しい戦略を採り始めたことを歓迎しなければならないが、それを口実にミッソンダム事業を再開しようと準備していることには、細心の注意を払いながら対処していく必要がある。

 それと同じく、過ぎ去った20年強の間、ミャンマーに対して援助し、擁護の立場を取ってきたことで、兄と弟の関係のように大きな顔をして振る舞ってきた中国に対しても、外交を通じて巻き返し、平等で互いに尊敬し合う関係に変えていけるということを知らしめたいところである。


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翻訳者:鈴木 聡
記事ID:2383