(社説)ミャンマーの報道自由デーに向けて(Daily, Vol-4/No-20)

2016年05月04日付 The Voice 紙
本日午前ヤンゴン市内のチャトリウムホテルにて開かれた世界報道自由デー式典は、ミャンマー国内における第4回目の開催である。

同様にこれは、国民による真に公正な投票で選ばれた国民民主連盟の政権下で、初めて開催された式典とも言える。

ウー・テインセイン率いるかつての準文民政権下では、それ以前の軍事政権下における報道の自由への抑圧を緩和したものの、報道記者らへの逮捕、殴打、起訴、投獄は続けられていた。

このような状況にもかかわらず、国境なき記者団が計180ヶ国を査定した2015年度世界報道自由ランキングでは、域内のラオス、ベトナム、マレーシア、シンガポール、イブルネイより高い、144位に位置することができ、今年2016年には143位とさらに1つランクを上げた。

実際今日のミャンマーにおける報道の自由度は、国王、王女、王室、軍事政権らを批判した人を起訴・投獄したものの、2015年より2ランクしか後退せず、現在136位である隣国タイよりも表現の自由が認められている。

しかし情報省と国営報道メディアのような政府の一大宣伝機関を、百万単位の国民の財産をつぎ込むことで、存立稼働させていることは、タイより下位に位置づけられてしかるべき点である。

ミャンマーの60年間程の歴史の中で初めてとなる真の文民大統領が率いる国民民主連盟の政権下では、以前の半文民半軍政のウー・テインセイン政権より一層報道の自由を重視尊重していくだろうと期待するが、まだ満足いく状況は見えて来ない。

議会内で情報を得る許可を制限していること、大統領の政権交代式典で与党に親密な報道局だけを選んで招待したと批判を受けていること、与党の代議員と政府高官、大臣らの元から直接情報や確認を得たりできる機会が少なくなっていること、換言すれば報道メディアと直接接触する権利を大統領府と党本部が統制しているように思われること、あれこれ学んでいる最中という意味ではどちらも同じメディア関係者に対し、党の上層指導者の一部は円滑な対応をするにはまだ未熟である等、民主的に選出された党と新政府に対する疑問は多い。

本来なら民主主義を目指す社会や市民組織、いずれの国にもある民間メディアに力を付けさせ、堅固になるよう支援するはずが、民主主義の名の付いた政権下で、国営メディアが、民間メディアの存続を阻害するようになっている状況は、決してあってはならないことだ。

いずれにせよ現政権が、上で述べてきた状況に注意を払い慎重に検討し、民主主義政権の特質に相応しく、民主的な方法で問題解決していくなら、近い将来ミャンマーの報道自由デーを称える日がきっと来ると信じるものである。


この記事の原文はこちら

同じジャンルの記事を見る


翻訳者:倉橋美希
記事ID:2458