(Article) 街の中心にできた初めての本屋通り (2017年1月6日 4)

2017年01月06日付 The Voice 紙
 ヤンゴン市の中心街にある他の通りと比べても人の行き来が少ないテインビュー通り、それが情報局と合同庁舎辺りのかなりの道に場所を確保し、読書愛好家にはたまらない愉しみを提供する本屋通りに、ここ数日のうちに変わるのだと言う。
 ヤンゴン市、テインピュー通りにある合同庁舎と中央印刷所前周辺で、1月7日から毎週土日、朝9時から夜6時まで、本市場が開かれるのである。
 政府が初の試みとして公式に開設する本市場で商売する人は、店1軒当たり1日6000チャット支払う必要があるとし、合計100軒を超えるテインビュー通りの本市場には、書店、古本屋、出版者に出店許可が与えられており、文学界の発展にとっての第一歩ともいえるものである。
 「本を売るすべての店が6000チャット納めなければならない。出版業界の個人や会社にとっては些細な額かも知れないが、古本屋街の店主の一部は割が合わないと言っており、彼らのうち3分の2が出店リストに登録している。固定レートも悪くはないが、一部の店が手持ちの金で経費を払うことができず登録しないで取り残された。値段が下げられれば古本屋も皆含まれるようになるだろう。」と、37番通りで古本屋を営む一人が自分の考えを述べた。
 読書家も胸躍らせているが、同様にヤンゴン政府の道端で露店を営んではならないという新政策によって居場所を失った露天古本屋の主たちも、その場所に期待を寄せている。彼らとしても本を売るよい場所が確保できると喜んでいる。
「テインビュー通りで本を売る場所を申請している。古本屋街の店主に対しては、別途場所を与えると言っている。必要な本を一ヶ所で買えるので、読書家らも購買意欲をそそられるだろう。本を売るにしても一ヶ所で売ることが出来るので嬉しい。」と37番通りで古本屋を営むウー・アウントゥーが述べた。
 読者は、書店で、新刊本価格を支払って買うことが出来ない本、その様な本屋では手に入らない古い年月の経った本を、ヤンゴン市パンソーダン通りと37番通りにある古本屋でも買うことができる。
 政治、経済、教育、保健、実学、純文学、お笑い、詩、漫画の本を古本屋では100チャットから1000チャットくらいまでで買うことが出来、仏典、希少本も1000チャット位で買えるので、お得な古本屋も読書愛好家をひきつける魅力ある場所の1つなのである。
 時代の流れにのって、諸外国同様、エレクトリックメディアから大きな影響を受けているミャンマーの人々は、本や文学を読む事、読むための時間を割く事が少なくなっている。
 都市の物流が貧弱な事、SNSの利用が多い事、雇用機会の問題、物価は高いが賃金給料が安い事などが理由で、本を読む人が少なくなってきていると文学関係者は批判的に分析している。
 ミャンマーの国では本を読む人が少なくなってきているところ、ミャンマー文学の発展のために新しい本、古本が揃って買える本の市場が間もなく誕生する。
 しかし、作家のハントゥートーは「本市場が出現すれば、本の販売を後押しする、人が本を読むかもしれないと一概に言う事はできない。」と話す。
 本の市場が開かれることは、出版業界と文学界にとって良い現象の1つであるが、今日、本は売り手市場の状況にはなく、本当に売らなければならない本がたったの1000チャットから2000チャットになって、出版者は多くて3000部位の本しか出版しなくなっている、とハントゥートーは言う。
 1962年以前より、ヤンゴン市のパンソータン通りにおいて最初に古本屋街ができ、1962年には古本屋は文学の世界に一定の場所を占めていた。
 古本屋が店を連ねるパンソーダン通りと37番通りは、歴史的記念碑の1つ、「ランベー[道端]大学」として文学界の人間や読書家が認めてきた場所である。
 新刊書店では、本の売れ方は、以前より半分くらい購入が減っているが、古本屋は依然売れ行きは良好である。
 かつて読者と出版者たちは、主に橋渡しのシステムである郵便局サービスが劣っていたため、郵便局から送る刊行出版システムは不安定であったが、後に郵便局のサービスが発展してきたので、ミャンマーの津々浦々読書家のもとに本を届けることが出来るようになるとしたら、出版業界は発展するということを、カウンスーター出版社の責任者の1人は話す。
 同氏は「本の出版業の発展のために政府が協力する必要がある。今のように単に本市場が開催されるというだけで、崩壊の憂き目にあっている本の出版事業を立て直すことができるだろうと期待することはまだ決してできない」と言う。
 出版社の間でも、現在本の売り上げは、落ちていて、伝記本・法律本・教育本が一番売れており、純文学的小説などが一番売れていない、ということがヤンゴン市に店を構える複数の本屋への調査で分かった。
 サーペーローカ2号店の責任者が、現在本屋の市場の現状に関連して「以前は政治の本が非常に売れていた。選挙が終わると、新政権発足後は政治の本を買う人は少なくなってきた。今若者は本を読めなくなってきている。本市場には、私たちも売るために登録している。販売が伸びるかは売ってみて初めて状況が分る。」と言う。
 古本屋街の店は初めて開かれたとき、売り手は6人だけだったが、現在は古本屋を営む人は80人くらいになった。
 以前若者の多くは自分たちの暇な時間の娯楽として、他のメディアが少なかったため、本や文学だけが楽しみであった。いろんな知識を得るものとして利用していたのだ。
 そのため、ミャンマーにある郡区、地区には貸本屋店がたくさんあったのだった。
 しかし、現代の若者にとって娯楽媒体は多種多様、加えて、インターネットのSNS、ゲームをなど時間を費やすものが多々あるため、本を読む時間の割合が非常に減っていて、貸本屋店も姿を消すようになってしまった。
 「現代の若者は、昼も夜もFacebookに時間を費やしている。そのことから知識も減ってきて、不適切で間違ったことを真似する、といったことが起きるようになっている。私たちが若い時、学校が休みになると家の近くの貸本屋に駆け込み、雑学本や文学作品などいろんなジャンルを借りて読んだ。「智慧は書き物の中」と言われるように、若い人たちは本をたくさん読む必要がある。」と、タームエ郡区在住の会社員のウ・ミョートゥンは話す。
 新政府は現在のミャンマーの経済中心地であるヤンゴンで多くの市民の憩う場になるようにと夜市を開き、成功したと言えるが、間もなく初の試みとしてテインピュー通りで開かれる本市場が本を読む人の増加と、文学界の発展のために、希望の光となるか、見守りたい。


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翻訳者:馬場愛
記事ID:3183