(社説)年齢の高低と実際の能力(5-29-4-1)

2018年05月29日付 The Voice 紙
辞任してしまった計画・財務大臣ウー・チョーウィン氏のポストの後任として大統領が議会に推薦したウー・ソーウィン氏は80歳であるため、大統領に議会が賛成し承認すれば、現在のミャンマー政府内閣の平均年齢が世界最高になりそうである。世界のさまざまな国、特に発展途上国の多くを見ると、政府の平均年齢が55歳前後に達しないものが見られる。急速に変化する現代世界のスピードに追いつくため、決定を正確かつ迅速に下せる行動力のある政府にするため、優れた鋭い若手や中堅を登用したという意味だろう。
多くの国に後塵を拝するミャンマーの場合、閣僚である大臣・副大臣たちの任命を考えるとき、学歴と経験を優先して選んだため、平均年齢が65歳以上になっていると思われる。
その他、政党とリーダーたちに対して忠実な人のみが必要とされており、政府を主導するドー・アウンサンスーチー氏自身が73歳という年齢であること、現在の閣僚たちの任命に中心的影響力を持つ人物として名を馳せる与党外の各顧問たちの年齢が70歳近いことも、政府の高齢化に拍車をかけた根本原因であろう。
大臣は、憲法によれば、大統領が連邦議会に提出した候補者名簿を議会の同意を得て任命されるもので、政府の代表である大統領が議会に責任を持つため、国民が直接選び任命したのではないものの間接的に任命したということができる。
つまり、国民を直接代表する議会は、省庁を統括する人物を大統領から名簿が提出されると、国民に代わり、その人物を同意、拒否する権限があるのだから、逆に議会が同意し任命した大臣のバックグラウンドの良し悪しに関しても責任があることになる。
従って、大臣候補の名簿が提出された時に、当該人物の学歴、経歴、経験、能力が本物かどうか確実に検討、調査、承認してはじめて承認すべきである。以前の政府ではそうではなかったので、大臣2人と市長1人の博士号に関して批判が出ることとなった。(訳者注:ここでの「市長」はヤンゴン市長を指す)。
論争となった偽の博士号が入ったまま名簿を提出した政府とそれを承認した議会が、彼らを選んでくれた有権者に今日まで正式な説明・謝罪を未だ全くしていないことは、理解に苦しむ。いずれにせよ、現政権の任期3年目となったこの時期に、論争となった偽博士号で大臣となった者を入れ替えるという点は良い方向に変わっていると考えられる。
現在の計画・財務大臣に選ばれたウー・ソーウィン氏は、高齢ではあるものの軍事政権の時代から今日まで、ミャンマーの経済状況に大いに精通し経験豊富だと評判の人物である。そのため、以前の大臣のように、論争や疑惑の生じる行動とは異なり、ミャンマーの経済と財務の状況を現実を踏まえて遂行していき、何らかの変化をもたらせる人物として期待できるのであり、2年と少し残る任期中に、どのように行動していくのか、言い換えれば、猫が白いか黒いかよりもネズミを仕留められるかを見守らなければならない。


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翻訳者:笹森奎穂
記事ID:4390