(社説)どの時代に最も暮らしたかったか?(7-36)

2019年05月23日付 The Voice 紙
 四・五日前、テインセイン前大統領について、一部の憶測[訳者註:心臓などに持病を抱える前大統領が倒れたというニュースに纏わる]がSNS上に掲載されたところ、ミャンマー国民はその事実や状態に特に関心を抱いた。

 ゴシップニュースが出る度にニュースメディアは真偽を調べてまわり、確認するのだが、[今回も]それにより、最終的にテインセイン前大統領は元気であって、ピンウールウィンにある[国際上座仏教宣教大学]学長のDr.ナンダマーラビワンタ長老の道場で一時出家をしていることが分かった。国軍の身内同士が常時用いる言い方[訳者註:一般にビルマ語では親族名称を代名詞的に用いるが、ここでは国軍内特有の慣例的呼び方のこと]で話すべきだというのなら「アバ[伯父貴]は出家をしている」と言えばよいかと思う。

 ミャンマーを何年もの長きにわたり統治した軍事政権時代にも首相として職務を担い、大将の階級にもなったテインセイン氏は、今日の民主主義時代を最初に導いた人々のリストに含まれるし、彼の政権時において、政治・経済の改革に踏み切ったのであって、それにより諸外国をも驚かせたことは事実である。

 どの政権になっても、前政権と現政権の比較をすることは国民に共通の習性である。前政権時の日常の停電問題をはじめとして、国家の政治と経済の状態にいたるまで、現政権のそれと比較することは慣例の一つですらある。

 だとすれば、元大将のテインセイン前大統領の政権時代と民主主義の指導者アウンサンスーチー氏の政権時代、どちらの時代がより満足を得られる(よりよい)か、問いかけたくもなる。

 [それについては]国民一人ずつの政治信条と支持政党に基づいて、いろんな回答を出すことができる。

 一般的に言うなら、前政権の時代の与党と軍の指導者たち、言い換えると、「伯父貴」たちの支持者たち、「伯父貴」たちの時代に経済と仕事が良かった人々は以前のテインセイン氏の時代が良いと絶対に答えるのみで、民主主義の指導者アウンサンスーチー氏とNLDを全面的に支持して、軍の独裁体制に反対する人々としては、前の時代の悪い点だけに目が向くであろうということである。

 実際は、テインセイン大統領時代も今日の民主的政府の時代も、両方とも、軍事政権時代よりとてもよくなってきたというべきだと思う。ミャンマー人として民主化への移行事業を一度たりとも経験したことはなく、予期せぬ問題や困難に直面しなければならず、非の打ちどころのない時代が来るはずなどないという点を受け入れて理解すべきである。しかし、自分の欲のために民主主義と国家の発展を滅茶苦茶にするのみならず、後の世代がかつてのような暗闇に閉ざされた時代に後戻りするように押し出している所業には、特に注意して回避するよう切に要請したいのである。(編集者(2019年5月22日)


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翻訳者:横井友哉
記事ID:4815