(社説)「いいね!」だけを見るべきでない(7-62-4-1)

2019年06月22日付 The Voice 紙
2019年6月22日

SNSの時代、Facebookの時代において、有名になるように、人気になるようにあらゆる手段で努力する人やSNSを日に日により目にするようになった。ある時から他の国々、特に西洋諸国で大勢が関心を向けるような売名行為がみられた。これはPublic Stuntとも呼ばれる。

現在のようなSNSの時代においては、「いいね!」を多くもらえるように発言すべきと多くが考えている。Facebookが登場したばかりの10年程前、ユーザーは投稿はしていたが、「いいね!」のことを大袈裟に考えていなかった。後になって「いいね!」は非常に重要なことの一つになった。

「いいね!」をする人が少ないと上手く行っていないという気持ち、衆目を集められなかったという気持ちになり、「いいね!」が多ければ多いほど優れているという意味合いをSNS上で経済活動をしている人だけでなく一般のユーザーもよく知るようになった。一部では自分の事業、自分の会社の競争相手や対立者である人の投稿に「いいね!」をうっかりしたため上司が呼び出し怒ること、解雇することにまでなってきた。

そのことによって一層、世間の関心(Public Attention)は「いいね!」が欲しい人にとって非常に重要になってきた。つまり、やるべきこと、やるべきでないこと、言うべきこと、言うべきでないことなどよりも大勢が関心を持つことの方が重要になってきたと言えるのだ。一部では「いいね!」をもらうため、他人から批判されるような会話、文章、写真をわざと載せるまでになってきた。ヒリオッタッパ(パーリ語で羞恥心)なく見せれば見せるほど人は関心を持ち「いいね!」をもらえるという考えが前に出てきたと言えるのだ。

ITの時代はどんな人でも文筆家、写真家になることができ、そのことは言論、発表の自由にとって非常に嬉しいことであるが、「いいね!」を多くもらうだけに書くべきでないことを書き、載せるべきでない写真や動画を撮り載せることに関心を向けていると言うなら、技術の時代はユーザーがデジタルの深い谷に落ちるよう助長するようなものだ。

技術の時代において、これらは時代の流れにおけるポピュラー文化だと反駁することもできるが、この時代こそ、思慮深く、配慮をもって時代に合わせて生きることがより重要である。

品位を欠くような会話や文章、写真を、衆目を集めて「いいね!」をもらうため、または、自分に関心を向けることだけを考えて行動すべきでない。

加えて、若者に影響力のある有名人などもSNS上で発言をするときは注意が必要である。自分の良くない、言い換えれば恥を知らない行動や発言と生活が若者に影響しないように考えて生活することも責任のうちである。

デジタルメディアの時代というのは、情報を早く得られるだけでなく、良い友達が増えるよう他の社会の優れた教育、文化、技術などを学べるよう、もたらされたものだということを忘れるべきでない。また、「いいね!」を多くもらうこと、人気になることだけのために一方では自ら自分の組織やグループの名誉を傷つけないという点も、忘れてはならないことを注意喚起したい。


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翻訳者:林美里
記事ID:4874