(社説)クリスマスに際して

2020年12月24日付 The Voice 紙
今日はミャンマーを含む世界各国にいるキリスト教徒にとって特別な日であり、同時に[ミャンマーでは]公的機関等の一斉休業の日でもある。

今年のクリスマスはパンデミックの時期と重なったので、Sweet Decemberと呼ばれる12月1日とクリスマスイブの12月24日の真夜中に、いつも行うミサをオンライン上でZOOMを介して行なったとキリスト教徒の友人から聞いて知った。感染症予防のため、毎年12月に聴くクリスマス・キャロルの歌声も聴くことができなかった。

多数の仏教徒を擁するミャンマーへ、約3年前のクリスマス前月11月に教皇フランシスが訪問したということは記憶に新しい。その時に法王はキリスト教徒だけではなく、他の宗教を信仰する人々を含めたミャンマー最高指導者たちとの会談、カトリックキリスト教の慣習に基づく礼拝集会等を行った。

何十年もの間で初めてミャンマーへ法王がお越しになったのであり、ミャンマー国民キリスト教徒だけでなく、仏教徒と他の宗教信者も関心を寄せる歴史的な訪問であった。信仰する宗教が異なるミャンマー国民の間で平和と慈愛が広がるのに、多いに支援となる訪問であったとも言わなければならない。

世界中の全ての宗教の教えを学ぶなら、平和と慈愛が基礎となっているのを見ることができるが、宗教指導者に対する過度な崇拝と、自分と信仰が異なる人に対して見下し差別したい気持ちがあるために、同じ人間同志でありながら敵意を持って様々な戦争が繰り広げられてきた。最も醜悪なのは、宗教の父なる「ゴッドファーザー」*の尊名を利用し後ろ盾にして武力で戦っていることである。

つまり、何の教義を信じようと、不道徳な行いを奨励する貪欲、怒り、妄想というものを心に潜ませることなく、知恵で抑制することが、平和と慈愛を推し進めるための、基本の務めになるということ、他の宗教に対して「私と異なる私の敵」と思わない宗教指導者と信者の慈愛を含む言葉や行動だけが、それらの宗教や信者に対する敵意を引きおこさず、慈愛を広げる力をもつということを、クリスマスの日に際して述べたいのである。

(編集者 2020年12月24日)

*例えば、アルカイダ(Al Qaeda)に影響を与えたとされるサイイド・クトゥブ(Sayyid Qutb)などが、アルカイダのゴッドファーザー(The Godfather of Al Qaeda)と呼ばれることがあり、そうしたことを指していると思われる。


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翻訳者:今泉絢登
記事ID:5677