(社説)民主主義のチャンピオンが与えた教訓

2021年01月07日付 The Voice 紙
2021年1月7日

アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.の連邦議会議事堂で発生している事態やその光景に関して、世界が大きな衝撃を受けている。

アメリカ事情に関心のあるミャンマー人らも、個人のSNSプラットフォームを通じて様々な意見を発信しているのが見受けられる。「民主主義の祖父が窮地に追い込まれているのか」というような意味のコメントが述べられているのである。

選挙で敗北したドナルド・トランプ氏を支持する立場として、連邦議会議事堂へ侵入、襲撃した暴徒集団の行為を、世界の指導者の大多数が厳しく非難している。

トランプ支持者らの行為によって、民主主義の敵、つまり、民主主義を望まない人々から冷笑されることになるだろうというのが、世界の指導者たちが指摘するところである。

それはそうである。民主主義、人権、自由への権利などを世界中に輸出した大国が、今回のような事件に遭遇するようになったため、世界中が唖然とした。民主主義の樹立を好ましく思わない勢力としては、激昂した集団が議会を暴力的に襲撃した事件を見て、「それ見たことか」といわんばかりに、民主主義をけなすのみであろう。

実際のところ、民主主義的でない無政府主義的行為にも似た今回のような事件は、ドナルド・トランプ政権下において、2021年の新年が訪れて初めて現れた問題ではない。

昨年2020年にも、ある白人の警察高官が黒人一人を逮捕した際、首を膝で押さえつけ、その黒人が死亡した。そのため、アメリカ国民は激しく怒り、抗議した。この事件が発生したミネアポリスという市で、勢いが制御できないまでの暴動が起こった。その際、我慢ならないというところまで達し、暴力行為や略奪までもが発生し、トランプ氏も「略奪が起これば発砲する」と荒々しく威嚇したことは、今も記憶に残る。

現在、ドナルド・トランプ氏が選挙に敗北したことに対し不満を抱えている怒りの炎が、どれほど燃え続けることができ、その怒りの炎をドナルド・トランプ氏を含む政治家らがどのように利用するのか、述べるのは困難だと考えられる。しかし、成熟した民主主義をどのような物差しで測っていくのかという問は、シンプルでありながら何度も繰り返し検討を重ねたいものであると思っている。

民主主義は無政府主義ではない。国民および国民の望みに基づいて、国民と切り離してはならないシステムとあるということは、全ての人が基本的に受け入れるだろう。しかし、その国民の思いを、本来の法として考え受け入れられなくなった時には、民主主義の基礎がたとえどんなに盤石であろうといつでも傾きうるということを、民主主義の確立を目指す人々はみな、特に注意しなければならないと述べたいのである。

編集者(2021年1月7日)


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翻訳者:田中千帆
記事ID:5705