(メディア・エッセィ)沈黙の日

2021年03月25日付 その他 - ミャンマーハープメディア 紙

3月24日には国民はまったく外出しない、買い物にもいかない、最悪、駄菓子、キンマ(注1)、テイクアウトの紅茶だって買いに行かず、路上に出ることもなく、抗議しようというわけだ。
このニュースは確かなものなのか、本当なのだろうか。実際に皆はやるんだろうか。国じゅうで果たして一致団結できるのだろうか。自分も外に出ずに静かに過ごすという方法でデモに参加しようか、ちょうど考えていた。これに対してはっきり答えをくれたのが、3月23日夜間8時、鍋や缶を叩くのが終わったあとの出来事だった。パトカー1台が安全を確保し、後ろからスピーカーを車の屋根に設置した車がついてきて、早口に叫んでいった。見たところかなり急いでいるものだから、結局、最後の「ということを警告いたします」という言葉しか聞こえなかった。これまでにも、近所にパトカーがやってきて叫んで行ったということはあった。「人が集まったり、デモを行ったり、コミュニティ内に障壁を作ったりといった行為をしないように!」
しかも、そんなことを叫ぶやいなや、通りや地区のほぼすべての家で、(抗議のために)缶や鍋を思い切り叩くものだから、軍側も大声で叫んでは慌てて走り去っていくというふうだった。ただ、今回だけは、まわりでは誰も缶や鍋を叩かず、静かに聞いていたので、ちょっといつもと違う思いがした。

こういうときは、ネットで調べるしかない。軍事クーデター勃発以来、ちゃんとした情報を知りたければネットでチェックするしかないのである。例えば、軍用車両3、4台が停車しているが何をしているのか。夜間10時にもなって通りの角で何が起こっているのか。鍋を叩かない時だと、針が落ちる音まで聞こえるかのようだ。家のなかで静かに外を覗きみていると思われる人の呼吸の音、ため息の声すら耳に入ってくるかにも思える。
こういうときに、ネットにアクセスしてみると、状況をライブで放送していることもある。例えばサンジャウンの情報だ。〇×通り何番の家に住む市民的不服従運動(CDM)に参加している教師を探しているといったニュースが出ていたりする。

こういう経験を踏まえ、オンライン上で探してみると、軍側は3月24日は国民はいつも通り、買い物に行くよう、往来を行うよう、促しているとのことだ。(市民が撮影した)ビデオ・ファイルでもその様子を実際に確認できたし、加えて国民全員が一致して、明日、サイレント・ストライキを行い抗議活動を行うということ、全員団結して行おうということも、さまざまな投稿を読んで、確認できた。
夜寝床に入ったものの、興奮してなかなか寝付けない。明日は皆が揃うだろうか。サイレント・ストライキは成功するだろうか。我々国民の行動は、ぴったり団結するんだろうか、もう夜が明けたかと起きたり寝たりして、ようやく当日になった。

するとどうだろう、静かな沈黙がすべてを示している。あたかも、国民が一致団結し、我々は一つだ、一つだと大声で集まって叫んでいるかのようだ。

ヤンゴン、マンダレー、バゴー、(モン州)チャイトー、(エーヤーワディー管区)ピャーポン、(モン州)モールミャイン、(タニンダーイー管区)ダウェイ、ベィ、(マグェ管区)モンユワ、ミンジャン、(カヤー州)ロイコー、(マンダレー管区)モーゴゥ、(カチン州)バモー、ミッチーナー、(チン州)ティーデインなど、ミャンマーの南端から中央部、そして北部にいたるありとあらゆる場所で、沈黙を守って生活することで、クーデター軍評議会を受け入れないこと、軍評議会のありとあらゆる命令に反すことを一致して示せたといえよう。

国際ニュースでも、前例のない出来事として報道されている。タイPBS、アメリカのCNNなどが特別ニュースとして取り上げている。当初、一部の都市、一部の地域ではこの情報を得られず、知らずにいたが、ほぼ瞬時といえるほど、追随して参加する状況が見られた。また、頭に盆を載せて歩く売り子たちがこのニュースを知らず、住宅地に入ってものを売りはじめ、この情報を知って、慌てて帰宅するということもあった。
海外に住むある友人は自分の両親に伝えたところ、年配の両親は、ニュースにアクセスできなかったため、買い物をしようと路上にいたが、これを知ってすぐ、皆と同じく、ストに参加しなくちゃと自宅に戻っていったという。

すべての国民の願いはただ一つである。
それは軍事独裁政権に終止符を打つこと。軍事独裁者に対する抵抗として何をするにも、一致団結して行う。我々国民は団結しているかと問うならば、その通り、団結している。全国の国民の気持ちは一つだ。
静かに暮らすようにといえば、足並みそろえて沈黙に生きる。
国民の足並みそろえたこの静けさこそが、強く広がる生のありようである。

沈黙は空ではない
それは多くの答えに満ちている
Silence isn't empty
It's full of answers.

この闘いには勝利する。
―――春の詩

(注1)キンマ:学名Piper betleの植物。南アジア、東南アジアなどで、キンマの葉で、ビンロウジ、石灰、香料などを包んで噛む習慣がある。

MyanmarHarp Media 2021/3/24 17:49


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翻訳者:ビルマ語メディア翻訳班(TK)
記事ID:5810