(コラム)軍評議会の悪弊の根絶に協力する鉄道職員CDM参加者

2021年05月02日付 その他 - イラワジ 紙

1877年に英国統治下で始まり、現在は一般的に「ママ(ミャンマー・ミーヤターの略称)」と呼ばれるミャンマー国有鉄道は、職員の不服従運動(CDM)のため、現在は止まっている。ミャンマー国鉄職員のCDM運動で、全国のほぼすべての列車運行は休止、物流も止まっており、国鉄144年の歴史のなかで、際立ったことといわねばなるまい。

軍評議会は、CDM非参加の一部職員と列車の運行に取り組んできたが、正常な運航には程遠い。列車の正常な運航には多くの段階を必要とし、線路上を列車が安全に走行するには多くの職員が必要で、到底列車の正常な運航には至っていない。

しかしその一方で、2月11日に開始された鉄道職員のCDM運動はこれで2か月以上続いており、それに伴って、圧力をかけられたり、起訴されたり、食住の問題に直面したりしている。

このところ、ヤンゴン、ピンマナー、タウングー、モーフニン、マンダレー、モーラミャインなど各郡の各駅から何百人もの鉄道職員が、CDM参加を理由に一時停職処分となった。こうした停職処分を受けた人には、ヤンゴンのマフルワーゴン本部の23人の助役(列車の車掌)も含まれており、4月23日付一時停職処分の発表の対象者でもある。マンダレーの鉄道関連労働者たちは勇ましく先頭を切ってデモに参加し、そのことで一般市民があとに続くこととなった。

マフルワーゴン本部の26人の車掌のうち23人はまだCDMに参加している。CDM参加の車掌の一人は「我々以上に学のある医者、医学生、弁護士、エンジニアも命を賭して参加しているのだ。我々も自分たちの人生を掛けて参加する必要がある」とCDMへの思いを述べた。

停職処分を受けた職員は、それに引き続き取り調べなどとも立ち向かわねばならない。

公式声明によれば、職務から一時停職の処分を受けた職員も最初の年には給料の半分を受け取ることができ、その後は給与の8分の3を得る権利を与えるという点が含まれているが、同時に、関連部局の取り調べと調査は継続されるという。

「我々は月給をこの月末で、計3か月間分受け取りに行ってはいない(*1) 。一時停職にして、しかし、給料は与える、同時に取り調べは行うというのは、職員を脅しつつ、仕事に復帰させようという意図だとみている。どのように脅されても、我々は最後までCDMを行うつもりだ」と車掌の一人が述べた。

基本給が少なく、職員宿舎に暮らしている他のCDM参加の鉄道職員は、初期に宿舎を追われ、逮捕とも向き合っており、同時に、職員の家族は宿舎を追い出される画像などが、市民のあいだで広がった。

鉄道職員CDM参加者支援プログラムの出現で、当初それなりに食と住が確保されていたが、80日以上経つと支援が減り、外部に部屋を借りて暮らすことが困難になり、家族の生計や医療費などに困難が生じ始めた。

「食べていくという点でも、支援金を全く得られていない人たちは相当大変なことになり、困窮している。家族ぐるみの場合はさらに問題が多い。加えて職員宿舎の外部に住んでいる人々は支援から取り残され、生活上の困窮が見られる。また、CDM参加という名目で頻繁に補助金を受け取る人間も一部におり、外で暮らしている職員にまでなかなか支援金が回っていかない」とCDM職員を支援している人間が述べた。

食事や居住に困難を抱える職員のなかには、他方で刑法505条に基づき起訴するという脅しもあり、職場復帰を余儀なくされたり、職員宿舎に戻ったりしたものもいるという。

メディアとの会見で国民統一政府(NUG)は、CDM参加者に通常の給与を支払うことを計画していると述べた。ヤンゴンのマフルワーゴン鉄道職員ですら、宿舎内に戻った家族、職場復帰した家族の人数は、もともとCDMに参加していた人間の約20%に上ると地域住民の一人が推定している。

「CDM参加職員に仕事復帰するか、辞めるのかを迫る。職場復帰したら、宿舎に戻れる。辞めるなら、刑法505条で起訴されるということも多々みられている」とその人物が述べた。

こうした困難や脅威にもかかわらず、ほとんどのCDM参加者は軍事独裁政権下で働きたくないという気持ちで、CDM活動に引き続き参加している。

「仕事に復帰した人間とCDMに新たに参加した人間を比較すると、CDM本体にはまったく影響を与えない。最終的に分かったことは仕事に戻ったCDM参加者の一部を刑法505条により逮捕し、見せしめとし、今後CDMに参加せぬよう脅し、降格などの措置を取る、さらに、空いたポストにCDMに参加しなかったものを昇格させ、一部の高位のポストに軍評議会側の人間を派遣するということで、それらを計画しているという確かな情報があると鉄道局に近い情報筋の一人が述べた。

一部のCDM参加鉄道職員は、家族とともに地元に完全に戻ってしまったとものもいるとのことである。

「このまま続けていたら、住んでいる家からも追い出されるだろう。最後は地位も剥奪されるだろう。私たちはお金があるからでもない。緑だからとか赤だから(*2)というのでもない。自分たちの人生や子供たちのよりよい未来のために闘いに参加した。クーデターは私たちのよりよい未来をつぶしたのだ」と車掌の一人は述べた。

こうした意思の堅い鉄道職員のおかげといえるが、ヤンゴン環状線は、午前8時に1度だけ3両編成で走っているが、乗客は非常に少なく、警察と軍人も乗って警護している。
「CDMのために、鉄道運航部門の収入が途絶え予算に影響を及ぼしている。さらに、列車運行が始まらないため、統治ができないという意思を見せている。一部、気動車(*3)に牽引させて、ヤンゴンーバゴー間、ヤンゴンータウングー間、マンダレーーネーピードー間を、彼らの手持ちの人材で運航しているところを何度か観察されているが、せいぜい軍隊の食糧を運ぶ程度にとどまり、誰も列車が運行しているということには注意を払っていない」と鉄道職員を支援している人間が述べた。

通常は、急行列車を一台走らせるために、車両を並べ、入れ替え作業を行い、機関車との連結を行う、気動車を点検する、機関車を運転する、運転士の補助を行うなど、それぞれの作業に熟練した労働者が必要とされる。こうした要件が満たされることなしに列車を運行させることは不可能であると鉄道関係者は述べている。

3月10日、軍評議会はヤンゴンのマフルワーゴン本部のCDM参加者を宿舎から不当に追い出したため、彼らは自らの利益も顧みず、家族のことも後回しにして、宿舎に背を向けた。軍事クーデターの後、もともとNLD政府が始めた鉄道改善計画も中止していると、鉄道部門と協力してきた民間企業のエンジニアが述べた。

「線路関連の計画も止まってしまった。日本人もほぼ帰国してしまい、残っているのはほんのわずかである。物資は到着しているが、プロジェクトを進めるべき列車がない」と彼は述べた。

しかし、線路改善計画によりすでに日本から出荷されているので、鉄道プロジェクトは2,3か月で再開できると推測した。列車の運行を正常化しようとしている軍評議会は、線路が破壊されたり障害物が置かれたりする問題にも直面している」

実際、長いあいだ、低賃金で生活してきた鉄道職員は、彼らの人生の向上、子供の将来、自分の自由(上司の機嫌を伺う必要のない職場環境)、優れた鉄道システムと家族を十分に養える給料や生活水準を期待してきたのだ。

以前の軍事政権ではフラインターヤーーパティン間、バモーーカター間、ラカイン州の線路のない駅など、赤字プロジェクトが明らかとなり、鉄道イメージが下降してしまったが、さきの国民民主連盟(NLD)政権では、新しい線路の交換、新しい列車の購入、冷房付き列車の購入なども行い旅客者たちのあいだで評価が上がっており、そういったことも鉄道部門の成功の一つとして満足し受け入れていたと職員の一人が語った。

「こうした変化には、国民のための優れた政府が必要である。鉄道職員の皆が抱いている期待に応じ、CDMには最後まで参加すべきだと考えているし、実際最後まで歩みを止めず進んでいるところである。軍評議会の時代となり、鉄道職員のすべての夢が、雲散霧消してしまい、外部から説得する必要がないほど強い気持ちを一丸として抱き、悪いシステムを根元から根絶しようとしている」と鉄道職員を支援している人間が語った。

イラワジ紙 5月1日

注1: ミャンマーの公務員の給料は現金支払いから銀行振り込みに移行しつつあったが、今回は給料を受け取りに来るよう連絡がなされている。
注2: 緑は国軍を指し、赤はアウンサンスーチー党首による国民民主連盟党を指す。
注3:原文はRBE、エンジンを搭載した列車車両のこと。


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翻訳者:ビルマ語メディア翻訳班(TK)
記事ID:5877