ベトナムと日本の広範な戦略的パートナーシップ関係を新たな高みに引き上げる

2021年11月21日付 VietnamPlus 紙
ファム・ミン・チン首相
ファム・ミン・チン首相
ベトナムと日本の広範な戦略的パートナーシップ関係を新たな高みに引き上げる


ベトナムは常に日本の親密で信頼できる友人でありパートナーであり、日本が地域・世界において相応しい役割を発揮できるよう支持するとともに、日本と共に平和、安定、協力、繁栄の維持に貢献していく。



日本の岸田文雄内閣総理大臣の招待を受け、ファム・ミン・チン首相は2021年11月22日~25日に、日本を公式訪問する。

今回の訪問は、ファム・ミン・チン氏が首相に就任し、岸田氏が総理に就任してから初めての公式訪問である。同時に、今回の訪問はベトナム共産党第13回大会にて確認された、独立・自主・平和・友好・協力・発展、という対外政策展開の一歩でもある。

この訪問は、アジア太平洋地域が、引き続き最も躍動的な発展を遂げている地域であり、新たな経済連携の中心である、という状況の中で開催される。また、日本は大規模な二つの選挙を開催した。

新首相である岸田文雄氏は、長年にわたり日越友好議員連盟の事務局長を務め、ベトナムには3度訪問しており、2014年には、両国関係を広範な戦略的パートナーシップ関係に引き上げることに積極的な貢献をした。

【関係の急速な発展、高い信頼感】

ベトナムと日本は1973年9月21日に外交関係を樹立し、2014年3月のチュオン・タン・サン国家主席の国賓訪日の際に、アジアの平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ関係を構築した。

ここ数年、越日関係は急速に発展している。現在、両国の関係は外交関係樹立以来、最も良好な段階にあり、互いに高い信頼を寄せている。両国の指導者は頻繁な相互訪問や、各地域・国際フォーラムにおける交流を維持している。

象徴的なのは、菅義偉首相のベトナム訪問(2020年10月)、4度にわたる安倍晋三首相のベトナム訪問(2006年、2013年、2017年1月・11月)、2002年・2017年の衆議院議長(綿貫民輔、大島理森)のベトナム訪問、2015年の山崎正昭参議院議長のベトナム訪問、2009年の皇太子(現天皇)のベトナム訪問、2017年の天皇(退位され、現在は上皇)のベトナム訪問、秋篠宮の1999年の公式訪問および2012年の私的な訪問などである。

ベトナム側も訪問を行っている。書記長の4度の訪問、国家主席の3度の訪問、首相の19回の訪問;国会議長の4度の訪問などである。

日本は、G7の国の中で、最初にベトナムの書記長の訪問を迎えた国であり(1995年)、最初にベトナムと戦略的パートナーシップ関係を樹立した国であり(2009年)、最初にベトナムを「市場経済国」として承認した国であり(2011年)、そして、最初にG7サミットアウトリーチ会合にベトナムを招待した国である(2016年5月)。

越日両国の間には、両国の外務大臣が共同議長を務める越日協力委員会(2007年~)、外交・安全保障・国防に関する外務次官級の越日戦略的パートナーシップ対話(2010年~)、次官級の越日国防政策対話(2012年11月~)、次官級の治安対話(2013年11月~)、産業・貿易・エネルギー協力委員会(2014年~)、閣僚級の農業協力対話(2014年~);閣僚級の越日海洋政策対話(2019年12月設立)といったような重要な協力枠組みもある。

その他に、両国は国連やASEANといった地域・国際フォーラムにおいても緊密に協力しており、また、経済連携を推進し、ともに地域的な包括的経済連携協定(RCEP)を締結している。

外交関係樹立以来、最も良好な段階にある二国間の関係を基礎にして、ベトナムは日本と共に、特に経済・治安・国防・地方・民間交流といった各分野において、実質的で効果的な新たな発展過程を築いてゆく用意があると確認している。

ベトナムは常に日本の親密で信頼できる友人でありパートナーであり、日本が地域・世界において相応しい役割を発揮できるよう支持するとともに、日本と共に平和、安定、協力、繁栄の維持に貢献していく。

【多様な協力を促進】

ベトナムと日本の両国は常に、誠実・友好・信頼の精神で、そして、率直、実質的、効果的に、特に、経済、医療、新型コロナワクチン、治療薬における協力をはじめとする重要な各分野で交流を行っている。さらに、治安・国防協力、両国が関心を寄せる国際問題に関する多国間のフォーラムでの協力などを推進している。

経済協力に関して、日本はベトナムの最も重要な経済パートナーのひとつである。ベトナムにとって、日本は最大のODA支援国であり、第2位の投資国であり(累計)、第3位の観光パートナーであり、第4位の貿易パートナーである。

貿易に関し、1999年から両国は互いに最恵国税率(待遇)を保証している。2021年の9か月間の越日間の輸出入額は310億米ドルに達しており、その内、日本への輸出額は147億米ドル、日本からの輸入額は163億米ドルだった。直接投資に関しては、2021年9月20日までの累計で、日本はベトナムにおいて現在も有効なFDIプロジェクトが4748件あり、登録投資総額は638億5000万米ドル(全投資額の15%を占める)で、ベトナムに投資を行う140の国・地域で第2位となっている。

また2021年の9か月間で、日本は新規の131件のプロジェクトを進め、投資額は32億6000万米ドル超で、第3位にランクインしている。日本はベトナムに対する最大の資金供与国で、2019年12月までの資金供与総額は2兆5780億円(約237億6000万米ドル、ベトナム政府が調印した外国からの資金供与総額の26.3%を占める)となっている。

一方、農業協力に関しては2014年から画期的な一歩を踏み出し、両国は、“越日農業協力中長期ビジョン”を締結し(2015年9月)、2018年5月には改正共同ビジョンを再締結、現在は“越日農業協力中長期ビジョン、フェーズ2、2020-2024”を展開している。

気候変動対策での協力は引き続き力強く、実質的に発展しており、日本はここ数年、ベトナムの気候変動対策の各プロジェクトにODA支援を継続して行っている。

上記の取り組みとともに、1992年からベトナムは日本に多くの研修生を派遣している。現在、ベトナムは在日外国人実習生の派遣数では第一位で、その数は22万人近くに達している。両国は、日本がベトナムの看護師・介護士の受け入れることに関する覚書、技能実習生制度に関する協力覚書、特定技能制度に関する協力覚書を締結し、また、社会保障協定交渉の可能性について引き続き協議を行っている。

その他、二国間の教育・訓練に関する協力関係は、様々な形で発展してきた。日本はベトナムの教育・訓練部門に対する最大の無償援助国の一つであり、多くの協力文書を締結している。在日ベトナム人留学生の数は現在、6万5000人以上に達している。日本はベトナムの4大学の教育の質向上のため協力をしており、また、科学技術やマネジメント、サービス業といった各分野で優秀なベトナムの人材を育成することを目的とした越日大学の整備でも協力している。

日本は、ハノイ市およびホーチミン市内のいくつかの小学校・中学校・高等学校における日本語教育でもベトナムを支援している。両国は、ベトナム人留学生による日本での法律違反の状況改善対策に関する協力文書にも締結している(2018年10月)。

領事協力に関し、日本は在ホーチミン日本国総領事館ならびに在ダナン領事事務所を開設(2020年1月)した。ベトナムは在大阪ベトナム総領事館(1997年3月)、在福岡ベトナム総領事館(2009年4月)を開設している。2010年6月には、名古屋(愛知県)と釧路(北海道)で二人のベトナム名誉総領事が任命された。

日本は、ベトナム人に対するビザの発給規定の緩和を行っていて、マルチビザは2014年9月30日から、そして2016年2月15日からはさらなる緩和、また、シングルビザは2014年11月20日から緩和を行っている。また、2019年3月1日からは、社会的地位のある人(国家機関の幹部、公務員、民間企業の職員、知識人・文化人)向けの短期ビザ申請手続きの簡略化を進めている。

特に2020年初めから、多くの分野において、新型コロナの影響が越日の広範な戦略的パートナーシップ関係にまで及んでいる。両国はいくつかの対外活動を中止/延期しなくてはならず、労働・観光協力ではその影響を強く被っている。それでも、両国はハイレベルおよび各レベルの交流を柔軟な方法で維持している。

新型コロナの感染拡大に関連した各事業での積極的な交流・協力を行っており、日本政府は、40億円以上の設備供与、技術支援、医療システムの改善などを通し、ベトナムの感染症対策を支援し、また、ベトナムに対し400万回分以上のアストラゼネカ製ワクチンを無償援助した。一方、ベトナムの政府・国会は約120万枚の医療用マスクおよび2万枚の布マスクを日本に援助した。

越日関係において最も強調される点の一つは、地方協力の分野が強く推進されている点である。ベトナムと日本の各地方は70以上の協力文書を締結しており、その中でも特に代表的なのが、ホーチミンー大阪(2007年)、ホーチミンー長野(2017年)、ハノイー福岡(2008年)、ハノイー東京(2013年)、ダナンー堺(2009年)、ダナンー横浜(2013年)…のような地方交流である。

現在、日本におけるベトナム人コミュニティには45万人近くになる。ベトナム人は日本の47都道府県の各都市で生活し、就労し、勉学をしており、中でも、主に愛知県、東京都、大阪府、埼玉県、千葉県、福岡県…などに集中している。

日本公式訪問中、ファム・ミン・チン首相は在日ベトナム人コミュニティと懇談し、「新たな状況下における在外ベトナム人工作に関する党政治局の2021年8月17日付第12KL/TW号結論」の展開工作について説明する予定である。さらに、在外ベトナム人同胞たちにベトナム国内の状況を説明し、国内の新型コロナ対策への協力や民族の団結と力の発揮への貢献を呼びかけるとともに、これまでの協力や貢献に感謝の意を伝える予定である。


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翻訳者:國島三四郎
記事ID:6262