複数のヘリコプターから攻撃を受けたインバウンダイン村に多数の焼け焦げた遺体

2022年08月15日付 その他-ミャンマーナウ紙 紙

身元が特定できた遺体が12体。その後さらに6体が見つかり、移動の途中、村で休憩をとるチンランド防衛隊が到着していたときに、上空からの攻撃を受けたことから、軍評議会側はあらかじめその情報を得ていた可能性があると、地元民は見ている。

8月15日  キンイーイーゾー

軍が上空から攻撃をした後3日間駐留したザガイン管区インマービン郡、インバウンダイン村で、10歳の少女を含む18の民間人の遺体が見つかったということが地元民からの情報で分かった。

8月11日午後、インマービンとパレーの境に位置するインバウンダイン村を、軍がMi35攻撃ヘリコプター3機で、1時間近くにわたり攻撃し、3機で兵士60人余りを投入した。

その後、インバウンダイン村に侵入し、僧院を拠点に軍評議会軍が3日間とどまり、本日(8月14日)朝、立ち去ったが、その後地元住民と地元防衛部隊員が村の内部に入ったところ、それらの遺体を発見したものである。

老人や、精神の病を患っている者は、軍が駐留中、閉じ込められた形になり、食糧、水も途切れ、死亡した人たちも含まれているということが分かった。

「全部で村の住民12人だ。村全体が墓場のようだ。腐臭もしている」と遺体を回収するのに加わった40歳の男性が、目の当たりにした様子を話した。

10歳で4年生の女児マ・カインカインウィン、52歳の女性ドー・ヌェヌェ、17歳の10年生男子トーポンナイン、40歳の男性ウー・サウンウィンラッ、55歳の男性ウー・マウンミン、24歳の青年コー・ニェイントゥーアウン、45歳の女性ドー・イーミン、73歳の男性ウー・チョーウィンスェ、45歳の男性ウー・プワジーらには、重、小火器による攻撃で殺害されていた。

85歳の女性ドー・キンミャとドー・ニーは、軍の侵入時に取り残され、身を隠している間に食糧、水が断たれ、死亡し、67歳の男性ウー・チョーフムエは、逃げている間に呼吸困難で死亡したことが、地元住民からの情報で分かった。

一部の遺体は時間が経過しすぎて、回収できないほどに痛んでおり、ガソリンを注いで燃やした後、一部を埋葬しなければならなかったと住民は述べた。

それら12人の遺体の他に、6遺体が見つかっているが、身元の確認を引き続き行っているところであるとのことだ。

ヘリコプター3機を投入

インマービン町の西側10マイルほど離れたところにあるインバウンダイン村は、家の戸数が700程あり、人口3000人近くを擁する大きな村で、デモから革命運動にいたるまで積極的に展開してきた村であった。

8月11日午後3時頃、西北部軍司令部(ナマカ)のあるモンユワ町側を出た攻撃ヘリコプター3機は、インバウンダイン村に突如姿を現し、連射攻撃してきたので、住民に避難する時間はなく、村の中に閉じ込められた。

その日は、村で5日に1度開く市のある日で、大勢の人でにぎわっていたと、インバウンダイン村の村人一人が話した。

「ヘリ3機で来た。1機が村の入り口に位置した。上空で2機が、旋回し、左、右と回って射撃した。容赦なく撃った。逃げられた者は逃げた。逃げられなかった者もいた。その日は間の悪いことに、私たちの村で5日に一度の市があった。それで、買い物や料理、飲み食いしていた人もいた」とその村人は話した。

経緯をたどれば、午後3時頃、80人近くのチン州の武装革命組織の一団が、移動の途中で休憩をとっていた時で、ヘリコプターが瞬時にやって来たと地元民らは述べた。

この襲撃が、あらかじめ情報を得て行われたことを示すものだと、その村人の男性は話した。

「彼ら(武装革命組織)が食事をしている場所を旋回して、猛攻撃したので、そこにいた人たちが死傷した。そうなると、誰かがこの組織が村に入ったことを、情報提供したからだと、私は思う。わかった時点で今インバウンダインに着いた、直ちに来い、と情報を流したというより、前もって知っていたような感じがする」。

インバウンダイン村の住民ウー・アウントー(仮名)は、喫茶店からの帰り、薬屋で血圧の薬を買っている時に、ヘリコプターが複数村に向かっている音を聞きつけ、村の西側にある家に大急ぎで走って行ったと話した。

その後幼稚園児の息子を片手で抱え、もう片方で妻の手を引いて着の身着のまま村はずれに向かって逃げた。

「息子を、胸で覆うようにして逃げた。弾に当たらないよう。村はずれまで走って逃げ脱出した。着るもの何も持たず。このまま逃げだ。息子と妻を大木の下に待機させた。その後で、バイク一台を取りに戻った」とその時の状況を話した。

その後、村の中にもう一度戻って、今度は娘を探した。

ウー・アウントーの家族は、かろうじて避難することができたが、空からの乱射で逃げられなかった老人、病人らは村から逃げ出せず、重火器による攻撃により負傷し、とり残された住民の一部は人質として捕らえられた。

地元の防衛部隊が何とかして負傷者を救出しようと試みたが、ヘリコプターが旋回しているので、軽傷の人を優先して救出したと話す。

「家の部屋の中にいながらにして、上空からの重火器による攻撃が家に命中し、吹き飛ばされた破片に当たってケガをした人もいる。足の骨が折れた人もいる。最初の重火器攻撃が頭に直撃した人もいる。一部救出できた人もいる。できなくて、悲しいことにそのままにしてきた人もいる」と地元防衛部隊のヤングレンジャーフォースの隊員の一人、コー・バラは話した。

移動の途中で休憩に立ち寄ったチンの武装組織のメンバーらも、インマービンに拠点を置く地元防衛部隊により迅速に救出され、チン組織のメンバーの一部も何とか難を免れ脱出することができた。

その後、ヘリコプターから降りた軍評議会軍のメンバー約60人が、村の内部に陣取り、重火器で近隣の村々に砲撃した。

その翌日(8月12日)、駐留している軍評議会軍を、地元防衛部隊が合同で攻撃し、その日もまた軍は上空からの攻撃を行った。

そして村内で軍が駐屯し3日たった8月14日午前6時頃、人質として捕まえられていた女性と老人らを軍が解放し、地元住民の男性24名を連行して行った。

軍が村から退去した時も、攻撃ヘリ1機が、インバウンダイン村の近隣の村々を攻撃し、一掃して経路を確保したと地元防衛部隊は話した。

人質になった彼らとは、本日8月15日現在、連絡が途切れており、生きているのかどうかさえ今のところ不明であることを地元住民は話した。

地元民から知りえた情報によると、インバウンダイン村を出て行った軍評議会の隊列は、パレー地方にあるパトーダー村へと向かい、侵入して焼き討ちを続けているという。

墓場と化したインバウンダイン

インマービンの西側一帯は、物資を調達する拠り所となっているのだが、5日に一度市の立つインバウンダイン村は、あたかも墓場のような焦土と化していて、痛ましい現場には腐臭が漂っている。

「弾にあたったのが11日となると、遺体は回収もできない状態だ。村全体に腐臭が漂う。牛、犬、馬も撃たれた。村も元あった形をとどめずどの家の屋根も穴だらけ、まともな状態にはない」とその地元住民の男性も話した。

インバウンダイン村から軍は撤退したが、損傷被害は計り知れず、片付け作業とで、村人は、本日(8月15日)現在、住処に戻れずに避難を続けている。

インマービン郡には、169の村があり、インバウンダイン村に、空からの攻撃も含め、毎日残酷な攻撃を行った軍の所業は、ザガイン管区内でこのところ最も苛烈な攻撃となった。

今月初めから、地元防衛部隊が勢力を増しているザガイン管区内のミンムー、アヤードー、ディベーイン、イェーウーに対し、上空から再三攻撃を仕掛けている。

地上戦攻撃に対しては、地元防衛部隊も応戦することができるが、上空からの攻撃に対して対抗するにはまだまだ差がありすぎるとコー・バラは話す。 

「地上での進攻なら闘えるが、空から来たのでは、今のところ恐怖のあまり逃げるしかない。攻撃をしかけてくる機体はオオギヤシ2本ほどもないところにある。そんなところから撃っている。下から攻撃する何らかの武器があれば、応戦できる。要は空からの危険を防御できないという問題だ」。

慈愛の日とされるワーガウン月の満月日に、インバウンダイン村を上空から攻撃し、侵攻した軍は、地元民を殺害した上に、村の中央にある仏教の講堂に対しても見境なく攻撃したと地元民は述べた。

インバウンダイン村にあった、車両整備所2カ所、理髪店と揚げ物店、バイク15台も燃やされた。

インバウンダイン村を、2021年9月に、軍が侵攻したときには、地元民1人が殺され、7人が虐待を受けた。

「国民に対して残忍な軍評議会には、憎悪しかなく闘いを続ける。次の世代の子供たちがこんな目にあうことがないよう、命に代えても闘う。こんなことが他の村々で起きないように願う」とインバウンダイン村の住民男性は話した。 


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翻訳者:ビルマ語メディア翻訳班(HM)
記事ID:6477