反テロ法の条項による不正な起訴が増加

2022年08月31日付 その他-ミャンマーナウ紙 紙

軍評議会は、携帯電話から革命組織に金銭を寄付したとし、禁錮10年から終身刑まで科せられる条項で逮捕者を裁判にかけている。

8月31日 ヌエヌエエイン

軍評議会は、反テロ法の資金供与罪第50条(J)項という、禁錮10年、最長で終身刑を科せられる条項を適用して、確かな根拠もなく逮捕した人たちに法的措置を講じていることが分かった。

全国でそのように訴えられている人は数百人に上り、被告になった人の中には弁護士も含まれていることを、ヤンゴンとマンダレーの裁判所に近しい5人の人物が述べた。
依頼人と家族の身の安全上、詳細を話すことは無かった。

ウー・バチュエ(仮名)によると、軍評議会に対する市民的不服従(CDM)に参加していない学校の教師でさえ、その対象になっているという。

ヤンゴン南部県のある区において教鞭をとっている小学校の教師が、インセイン刑務所に収監され、50条(J)項で裁判にかけられていると彼は話した。

軍評議会が逮捕時に押収したという携帯電話は、その教師の携帯ではない。それにも拘らずその携帯を用いて武装抵抗勢力に送金していたとしてその教師は訴えられていると彼は述べた。

その携帯を用いて送金した事実はない旨、ネーピードーの警察資金洗浄掃討部隊からもすでに確認を得ているが、裁判は今も続行中であると言う。

逮捕した者達が、その携帯を使って事件をでっちあげた可能性があると彼は述べた。

「電話は警察署が取り上げているのだから。でっち上げの工作をし、何が何でもその人間が刑務所に入るようにする状況になっている」と同氏は述べた。

スマホ一つを所持している人間は、KBZ Pay, Wave Moneyなどで、誰かに送金したという疑いがあるだけで、軍評議会は第50条(J)項を適用し、法的措置をとることができる状況にあると、裁判所に近しい人物はコメントした。

ヤンゴンのインセイン刑務所で、同様に起訴された一女性の裁判について知っているドー・キンミミ(仮名)も、軍評議会がそのように事件をでっち上げているのは本当だと話した。

革命組織のメンバーである友人から送られたメッセージを携帯内で見つけたというだけで、テロリストを支援している容疑で告訴されたという。

「そのメッセージに何とあったかというと、女性用生理用品が必要だ、それを買ってください、とあったのだ。それだけのことに対してでさえ、第50条(J)の資金供与だ、といって。実際にはまだ支援もされていなかったのだ。買ってくれるように言っただけ、まだ何もしていない」とドー・キンミミは話した。

また、ヤンゴン市に住む慈善活動を行っている男性の一人は、彼の住居の庭のスペースのあるところに、米袋を受け取って置いていたところ、革命組織を支援したと嫌疑をかけられたと、その裁判について知っている一人が話した。

マンダレーオーボー刑務所にも、同様に告発され収監されている人たちがいる。
多くは、軍評議会の支持者の告発に基づき逮捕された国民民主連盟(NLD)の党員とその支持者であるとのことだ。

「軍の評議会のメンバーが地区内に入って、どの地区の誰がNLDの支持者である。どれくらい裕福で、以前は何をしていたか、彼ら(軍評議会)が目障りな人物を指差す、そうしてその人物を捕まえさせるのさ」とマンダレーのウー・エーチャン(仮名)は話した。

7つの郡区が含まれるマンダレー県内一つをとってみても、そのようにでっち上げられ、反テロ法第50条(J)項で起訴されている人は40人以上に上ることが分かった。

「私の知っている人は、お金を送金したこともない。女性だ。何もしていない。自分でKBZ Payを使って絵を売った。買った人もいない。警察は彼女を逮捕した」とウー・エーチャンは話した。

「逮捕した時に、警察署長が何をするかといえば、その人のWave moneyに新しい口座を開設し、ここから買ったといって逮捕しているケースも多い」と同氏は述べた。

その条項で訴えられた人の中では、マンダレーが地元の有名な弁護士ドー・ユエッヌアウンが最も著名だ。彼女はクーデターが起きた日以降、軍によって逮捕されたNLDの副議長でマンダレー管区首相ドクター・ゾーミンマウンの弁護を担当していた人だ。

4月、ドクター・ゾーミンマウンのある公判が終わって、オーボー刑務所の法廷から帰る途中で、軍評議会により逮捕され、その後ドー・ユエッヌアウンは第50条(J)項により起訴された。

「中には、なんでもない、5000チャット分ほど[誰かの携帯に]チャージしてあげた、そんな些細なことで逮捕される」とドー・キンミミは話した。

最近でも第50条(J)項で10年の刑に処された人がいることを、上記の裁判所に近しい人物が話した。

詳細は確認することができず、法に則って執行していると声高に話す軍評議会もまだ発表を行っていない。

「エンジニア、医師に対して、彼らは相当疎ましく思っているようだ。罪もないのにそのように訴えられているケースは多い」とウー・バチュエは話した。

2021年のクーデターから1年半余りの間、軍評議会に逮捕拘留されたままの人が大勢おり、その中の13000人近くのデータは記録してあると政治囚支援協会(AAPP)は話した。

武力を盾に、法を犯して大統領を逮捕し、権力を奪取後、司法、行政、立法の三権全てを掌握したと宣言した軍評議会による、そうしたでっち上げ事件を受け入れられるはずがないと、ベテランの法廷弁護士ウー・チーミンは述べた。

「今は、盗人が真人間のように叫び*、彼ら(軍評議会)テロリストが反テロ法で訴えている時勢、ミャンマーの法の支配は崩壊してしまった」と同氏はコメントした。

*ミャンマーの諺に「盗人が真人間と叫ぶ」があり、自ら犯した罪を他人になすり付けるため、自分は善人だと先に叫んで訴えることを意味する。


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翻訳者:ビルマ語メディア翻訳班(HM)
記事ID:6483