権力奪取した暴力的軍はさまざまな苦境に国民を意図的に追い込んでいる(社説)

2022年09月07日付 その他 - ミャンマープレスフォトエージェンシー 紙

ミンアウンフライン率いる暴力的軍が国家権力を奪取した後、ミャンマー国民が直面しているさまざまな困難は、7月下旬の軍統治6か月延長のあとさらに酷くなってきていると言わねばならない。
多くの人が押し合うように並んで商品を購入している光景は、7月から始まり毎日のように頻繁に見られるようになっている。
独裁者であったネーウィン元大将のビルマ式社会主義時代、うまくいかなかった協同組合制度で、国民が油も米も押し合って並んで購入しなければならなかった出来事を思い出させるものである。
毎日ミャンマー国民が使っている食用パーム油やその他の基本的食料品の価格高騰や、市場での品不足に対する不安のため、多くの国民は入れ物や瓶をもって並んで購入し使用しなければならないのである。
パーム油はマレーシア、インドネシアなどの外国から輸入しており、市場価格においても暴力的軍評議会の指定価格より高い価格で購入しなければならない。
パーム油1ペイター(約1.6㎏)の価格は、7月中旬には暴力的軍評議会の指定価格が4650チャットであり、市場では7000チャット、8000チャットとなっていたが、9月には指定価格が5000チャットを超え(9月4日5220チャット)、市場では1万チャット前後で国民の多くが購入消費している。
パーム油を価格の安いところで購入する際、メイティーラ市のある店舗では争いが発生するほどまでの出来事もあった。
ヤンゴンやマンダレーのような都市を含め、燃料油販売店においても車やバイクが並んでいるが、これも夜明け前、早朝からである。
燃料油の価格も、オクタン価95および92のガソリン1リットルにつき、8月第1週には約1600チャット、月半ばには2000チャットを超えたあと、2500、3000チャット前後になっている。
8月中旬にシャン州北部では燃料油1リットルが約4500チャットとなり、ラーショー、クッカイン、ムセでは燃料油が欠品し、整理券を事前にもらって購入しなければならず、ナムカムでは8月下旬に飲料水小サイズ1本5000チャットで購入しなければならなくなったことが、地域情報によりわかった。
9月初旬に軍評議会は燃料油と食用油の輸入者に対し2億米ドル以上を貸与すると発表したあと、一時的に燃料油の価格がわずかに下がり、その後再び上がった。
どうしても購入して使わなければならない国民は、価格の高騰より燃料油の欠品を一層心配している状況である。
このような状況であるが、暴力的軍評議会は燃料油に関して制限を設けて販売している者、価格を釣り上げている者に対して処罰すること、予備の燃料油は十分あること、ロシアから約3万トンの燃料油を運んでいる船がまもなく到着することを体裁よく述べた。
燃料油も海外から輸入しなければならないため、外貨、特に米ドルで支払わねばならない。
米ドルとチャットの為替レートも(以前とは)大きく異なっており、8月31日には1米ドル5000チャット前後であった。
暴力的軍評議会の中央銀行は今年4月初めから1米ドル1850チャットのレートを決定し、8月初めには1米ドル2100チャットに決定した。輸出業者の輸出における収入をも制限し管理してきた。
そのように命令方式で制限し管理するため努力しているが、米ドルは市場内でドル高のままである。
ミャンマーナショナル航空(NMA)とエア・カンボーザ(Air KBZ)は、1米ドル3000チャットと決めてチャット払いを受け付けることを発表した。(翻訳者注:軍政権は一部を除き国内での商取引は米ドルではなく自国通貨チャットでの支払いをするよう指示を出している)
同様に、暴力的軍評議会が統治を6か月延長した7月下旬、金の価格も純金1チャッター(約16.3グラム)100万チャット以下(94万9200チャット)であったことを、ヤンゴン管区金取引事業協会(YGEA)が発表している。
国際的な金取引価格は1オンスあたり1218ドルであるとも言っている。
クーデター後約1年6か月となった8月末には、(軍政権の)管理下にあった金価格は350万チャットから370万チャットの間にまで到達していた。
多くの国民が直面している日々の生活の困難の中で、ドル為替価格高騰の影響のため、基本的な食糧である米、油、塩、唐辛子、玉ねぎから、野菜、肉、魚すべての値段が跳ね上がったことによる問題は非常に大きい。
米ドル高騰の影響のため、外国から輸入している燃料油は値上がりし、不足や欠品という状況のため、輸送にも困難が生じ費用も高騰している。
国外から輸入しているパーム油、医薬品、日用品も同様に(価格高騰という)苦難に直面している。
こうした苦難の源はミャンマー通貨チャットの価値が下落したことにも関連することを、調査研究者が分析している。
通貨価値下落の主要な要因は、国外への外貨での投資がまとまって流出したこと(資本流出)、重要品目の輸入に外貨が不足していること(国際収支危機)、政府財政赤字が増大したことと同様に中央銀行の赤字のため紙幣印刷で解決したことからインフレが進んだこと、だと分かった。
アメリカ中央銀行の金利引き上げと世界的な経済状況とも関連しているという。
ゆえに、米ドル、金、物価が安定せず上昇する方向にのみ向かっている現在の状況を、暴力的軍評議会として抑制するのはとても容易ではない。
そのほか、クーデター後、電力不足を含め治安に対する心配や国家の印象悪化により、国外からの投資がかなり引き揚げられ、国内経済事業の多くも停止していることなどの状況のため、雇用が少なくなり職を失う人が増えてきた。
こうしたクーデターによる影響のため、失業者が1000万人以上になる可能性があると、労働組合や調査研究者が分析している。
ミャンマーにおいて、新型コロナウィルス感染症に直面しているときに軍がクーデターを起こしたため、2021年中に労働者160万人以上が失業したことを、国際労働機関(ILO)も2022年1月28日に発表している。
外国関連の建設プロジェクトも停止しているため建設労働者35万人以上が仕事を失い、縫製工場の労働者22万人以上、ホテル旅行業界の労働者8万人以上が仕事を失ったと、ILOが述べている。
「このままいけば、国全体の安全欠如と貧困が増加するという状況に向かう可能性がある」とILOリエゾンオフィサーのDonglin Liも発表の中で述べている。
そのほか、2021年2月1日、国民の意思で選ばれた文民政府から国家権力を奪ったあと、暴力的国軍と、国民防衛部隊(PDF)および少数民族武装勢力との間で、ヤンゴン、マンダレーのような大きな都市を含め、ザガイン管区、マグエ管区、チン州、カチン州、カレン州、カヤー州、シャン州、ラカイン州など全土で現在まで戦闘が発生している。
こうした暴力的軍は、民間人である国民の住居や村落に対する放火、拘束殺害も行っており、国民は自分たちがもともと生活してきた故郷を捨て安全なところに避難しなければならないため、全土で避難民が何十万人も発生している。
このような民間人である国民に対して、力を使い暴力をふるい、逮捕し殺害することに関し、国連とアセアン諸国を含む国際社会は受け入れることなく抗議、非難している。
現在も、ラカイン州内で8月下旬に発生したアラカン軍(AA)と暴力的軍との戦闘のため、マウンドー、ブーディータウン、ヤテタウン、チャウトー、ミャウウー郡で避難民が約5000人発生しており、緊急支援が必要であることが地域の情報からわかった。
全国で窃盗、悪事、ひったくり、スリ、殺人、強盗などの多くの犯罪も発生している。
国民は、衣食住が満たされず生きるも死ぬも大変で、びくびくしながら不安な生活を送らねばならず、一部は自殺を試みることさえ見られるようになってきている。
現在、ミャンマー国民が直面している苦境は、ミンアウンフライン率いる暴力的軍の、自らの利益に基づいた権力という毒の効果と、権力の継続的維持という欲望のために発生していることだと言わねばならない。
ゆえに、暴力的軍評議会は、他人の不幸は蜜の味、という意味で、さまざまな苦境に意図的に追い込んでいるのであるとさえ考えねばならない。


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翻訳者:ビルマ語メディア翻訳班(SA)
記事ID:6485