早期にベトナムが地域バリューチェーンの中核となることを望む

2022年07月30日付 VietnamPlus 紙
【写真①】ファム・ミン・チン首相が会合でスピーチを行った(写真:ズオン・ザン/国営ベトナム通信社)
【写真①】ファム・ミン・チン首相が会合でスピーチを行った(写真:ズオン・ザン/国営ベトナム通信社)
早期にベトナムが地域バリューチェーンの中核となることを望む

首相は、ベトナム企業が韓国企業との連携を強化しサプライチェーンに加わるための環境整備を行って、早期にベトナムが地域バリューチェーンの中核となることを望んでいる。


7月30日午前、首相府にて、ファム・ミン・チン首相は韓国大使および在越の各協会・企業からの代表者らとの対話会合を主宰した。
現在韓国は、ベトナムにおける最大の外国投資国である。21分野のうち19分野、63の省・中央直轄市のうち59の省・中央直轄市が投資している。9,383プロジェクトが活動中で、登録投資額は790億8,000米ドル以上である。
チン首相は、韓国企業コミュニティから、各種の問題点ならびにビジネス活動推進に向けたイニシアティブの提案、スキーム・政策・行政手続きの改革案を聴取し検討するため、会合を行った。
会合において、パク・ノワン中越韓国大使は、チン首相が韓国企業との対話会合に多くの時間を割いてくださったことに謝意を表明した。
韓国大使は、2021年9月に行われたチン首相との対話によって、当時及び現在に至る新型コロナウイルス感染症によって多くの困難に直面していた各企業のため、さらなる力が注がれたこと、各企業は、商品の通関、労働者に対するワクチン接種、各地の映画館の再開などの点で好条件が整えられ、同対話会合において提案された29件中25件が解決されたことを強調した。
感染症対策の適切、安全、柔軟な実施と効果的な抑え込みに伴い、ベトナム経済は急速に回復している。著名な経済専門家たちが、ベトナムは本年少なくとも6%の経済成長を容易に達成し、世界経済の不安定要因からグローバルなサプライチェーンが影響を被ることがあっても、マクロ経済と価格レートの安定を維持し、輸出入の成長を推進するだろうと評価していることに非常に感心している、と韓国大使がスピーチした。
韓国大使は、これらの成果は、安定した国情とベトナム政府の効果的な運営、指導の賜物であると理解しており、韓国の企業コミュニティと政府はこれを高く評価していると述べた。
ベトナム経済の回復に伴って、両国の貿易投資は明らかに増加している。仮にこの回復スピードと経済成長を維持すれば、両国の貿易額は早くて2023年を目途としていた1,000億米ドルを達成することができるだろう。
会合において、韓国大使と各韓国企業は、引き続きベトナムの各省庁、部門、機関、地方に向けた33件の提案書を送った。
同提案では、優遇税制、電力計画、電力直接売買取引の試行スキーム、再生可能エネルギー分野への投資奨励枠組みと戦略、電気自動車部門の構築と発展策、今後の感染症対策に関する各措置、サイバーセキュリティ関連商品・サービスの経営許可書関連手続き、外国人労働者・人材育成・人事許可手続き、使用済み半導体製造設備の輸入手続き、ベトナムにおけるレコード・ビデオの流通・販売、環境に対する影響評価手続き、一部具体的案件の展開に際する国営企業の株式化スピードと各種の問題などに焦点を当てている。
早期にベトナムが地域と世界のバリューチェーンの中核となるための貢献
会合でのスピーチにおいて、チン首相は、ベトナムは平和を愛する民族であり、民族解放と国土統一のため闘った勇敢な歴史を持ち、長く豊かで多様な歴史を有し、韓国文化と多くの相似点があると強調した。
ベトナム人は勤勉で芯が強く、創造性に溢れ、親切であり、客人を温かくもてなす。ベトナム人は困難であればあるほど、試練に直面すればするほど、これを乗り越え、打ち勝ち、矜持を持って、成長する。
終始一貫とした考え方は、人間を中心として、主体として、目標として、原動力として、発展の源として据えることである。ベトナム人としての知恵、才能、品格、道徳を最大限に発揮し、一方的に経済成長のみと見返えりに、社会進歩、社会公平、社会保障、環境を犠牲にしないことである。
それとともに、ベトナムは、独立、主権、統一、領土保全、政治の安定を確固として守り、社会秩序・治安・安全・国民の安心を守るため、自主独立・多様化・多角化の外交路線を実現し、よき友かつ信頼たるパートナーであり、国際社会の責任あるメンバーであるため、断固闘ってきたし今も闘っている。
ベトナムは決然と独立・自主の経済を建設し、主体的かつ積極的に国際統合を実質的かつ効果的に深化させながら、外部からの変動に抗い耐える。ベトナムは、内部の力を基本・戦略的・決定的・長期的なものとし、外部の力を重要・劇的な活路として、制度、人材、インフラに関する3つの打開策に焦点を当て実施する。
ドイモイ政策開始から35年以上を経て、ベトナムは、今日のように繁栄、潜在能力、国際的地位、世界からの威信を得たことはなかった。2021年のベトナム経済の規模は東南アジアで第4位のおよそ3,700億米ドル、一人当たりの平均収入は3,700ドル以上、貿易額は6,700億米ドルに達し、国際貿易においてトップクラスの経済である20グループに属している。
ベトナムは、世界最大の市場を有する国を含め60か国・地域以上との間で15件の自由貿易協定を締結し、市場、製品、サプライチェーンの多様化が進んでいる。
ベトナム共産党第13回大会では、ベトナムは、2025年までに低中所得水準を超える近代的指向の工業国となる、2030年までに中高平均所得を有する近代的な工業国となる、2045年までに高所得を有する先進国となることとする目標が据えられた。
チン首相は、こうした成果を得られたのはベトナム共産党中央執行委員会、常時かつ直接的にはグエン・フー・チョン党書記長率いる党政治局、党書記局の正しい指導と国会の足並みをそろえた効果的な協力のお陰である。また、政府の決然とし効果的かつ柔軟な指導と運営のお陰であり、全ての政治システムによる参加のお陰であり、国民と企業コミュニティ(在ベトナムの韓国企業コミュニティを含む)の支持、団結、協働のお陰であり、韓国政府と国民をはじめとする国際社会からの緊密な協力、効果的な連携、支援のお陰である。
しかし、ベトナムは好機やチャンスよりも困難や試練のほうが多いと認識している。目下の重点的かつ優先的任務は、インフレ抑制、マクロ経済の安定、規模の大きい各種の収支バランスを確保してスタグフレーションを防ぎ、経済回復・経済成長を推し進め、国民の生活と豊かさを安定させることである。
越韓関係に関して、チン首相は、外交関係樹立30年を経てその協力関係は、多様な分野において二国間・多国間の両面で間断なく強化され、実質的、包括的、飛躍的に発展し、両国企業間協力のための空間を作った。
現在、韓国はベトナムにとって第3番目の貿易パートナーである(中国と米国のあと)。サムスン、LG、ハンナ、ヒュンダイ、CJグループ、ロッテなど、多くの韓国企業や財閥がベトナムで投資を行っている。
ベトナムは韓国にとってASEANにおける最大の経済パートナーである。韓国の対ASEAN投資のうち30%はベトナム向けである。越韓間の貿易金額はASEAN韓国間の総貿易金額の50%に相当する。これまでに両国経済は互いによりよく補完し合ってきた。
チン首相は、韓国は、グローバルな役割を掲げ積極的にこれを発揮しアジアにおいて重要な役割を果たすべく、強力に改革を進めている経済大国であり、またほとんどの分野においてベトナムにとって最重要のパートナーでもある。ベトナムは、およそ1億人を有し、ASEANと東南アジア地域に重要な役割を果たす、ダイナミックな発展途上国である。ベトナムへの投資は、6億人以上を擁する巨大なASEAN市場へのアプローチでもある。
両国は、RCEP協定批准プロセスの最中であり、両国の二国間貿易額は2023年に1,000億米ドル、2030年には1,500億米ドルに達する目標に向かっている。
30年に及ぶ協力の成果に加え、両国関係の潜在可能性と発展の余地は依然として非常に大きい。チン首相は、ベトナムの党と国家としては、各韓国企業また各外国投資家が、平等な立場で、共に発展し、共に利益を得て、社会、労働者、環境保護に対して共に責任を担うとの考えに立ってベトナムで長期にわたり安心して投資を行えるよう、有利で安全で透明性の高い環境を作るためあらゆる条件を整備していくと強調した。
チン首相は、引き続き両国は誠実に信頼し効果的に協力して、「できないといわない、難しいといわない、やるといったらやらなくてはいけない」のであり、利益を調和し、リスクを分かち合い、国家、企業、国民の間で利益をバランスよく調和するとの考えを強調した。
ベトナムは、ハイテク、創造的改革、発展的研究(デジタル技術、電子、再生エネルギー、インフラ開発など)の分野において韓国と協力案件や投資をさらに得て、ベトナム企業がバリューチェーンに参入するための協力拡大に向けたコミットを得て、その好条件を作るよう希望し(現地調達率をより速く上昇させ、ベトナムの付加価値を高め、ベトナムにおける投資にあたり双方の利益の一層の調和を図る)、デジタル経済、グリーン経済、循環経済を推進し、ベトナムの持続的発展に積極的に貢献することを望んでいる。

「我々は、韓国企業がベトナム企業との連結を強化し、ベトナム企業が生産のサプライチェーンに参入するための環境を整備することを希望している。また、ベトナムが早期に地域バリューチェーンの中核となるために韓国企業が貢献することを望んでいる」とチン首相は強調した。
貿易に関し、チン首相は、引き続き越韓自由貿易協定(VKFTA)のスキームを通じた政策対話の活動を強化するよう求めた。同時に、両国間の貿易収支バランスの不均衡を解消し、農産・水産・海産・果物などベトナムが得意とする輸出商品が韓国市場に参入するための環境を整備するよう要請した。
それとともに、エネルギー分野の発展に向けた越韓協力を推し進める。ベトナムはクリーンエネルギーや再生エネルギーの発展を奨励し、COP26でのコミットメントを実現する。また、各地方の競争力に見合った大規模なエネルギーセンターの形成と、統一的、競争的かつ透明性のあるエネルギー市場体系の発展を重視する。開発投資に向けた各種の事業化資金活用のため、所有形態および経営方式の多様化を重視する。
工業発展に関して、ベトナムはハイテク技術を包含する工業の発展を最優先しており、第4次産業革命の軸となっている各種の技術を優先している。同時に、製造業への投資を呼び込み、科学技術と結びついた新たな生産力の形成、創造的刷新、デジタルトランスフォーメーションにおいて劇的な進歩を進めることに集中する。これらは、韓国が優位性を持つ分野でもあり、ベトナムとしては、韓国の各企業や財閥が引き続きベトナムと協力し、より多くの投資を行うよう期待する。
韓国側から示された幾つかの問題点に関しては、会合の中で回答、処理がなされた。それ以外の問題について、チン首相は、ベトナムの各省庁・関係機関・地方に対し、提出された問題点を踏まえ検討の上、早期に具体的な対策を出すよう求めた。

【写真①】ファム・ミン・チン首相が会合でスピーチを行った(写真:ズオン・ザン/国営ベトナム通信社)
【写真②】会合全景(写真:ズオン・ザン/国営ベトナム通信社)


この記事の原文はこちら

同じジャンルの記事を見る


翻訳者:メディア翻訳ベトナム語班
記事ID:6493