大将の時代に米、油が不足するという災難に遭遇している

2023年09月11日付 その他-ミャンマーナウ紙 紙
エーヤーワディ管区エインメー市エインメージー地区でパーム油を並んで購入している住民。9月5日
エーヤーワディ管区エインメー市エインメージー地区でパーム油を並んで購入している住民。9月5日
物価の安定のためと言って、軍評議会が米、油などの基本的な食料を所々で安く売るという計画は、実際の現場では問題を解決できず、混沌としている。

クーデターを起こしておよそ3年たつ頃に、以前はいつでも買えた米とパーム油などの基本的な物資をさえ、人々は押し合って並んで買わなければならない状況に陥っている。

文民政府を追放してクーデターを起こした後、デモをするだけでも(デモ隊に対して)銃撃しており、世界各国は経済的、財政的な制裁をしているため、アメリカドルが手元で欠乏している軍評議会は、ミャンマーチャットの価値の下落を抑制できないのと同じく、物価もそれにともなって上がっている最中である。

軍評議会は連邦物価安定委員会を7月27日に設置したのち、基本的な食料の価格を抑制するため努力しているというが、病気と(それを治療する)薬がずれている(ような)見せかけのみの行動である。

その委員会はミャンマー・コメ連盟、ミャンマー食用油業者協会などの組織経由で業者に圧力をかけ、米と食用油を配給制で安く売らせている。

実際のところ、配給制では、列に並ぶことが出来ない人は手に入れられない、必要な量を購入出来ない、商品が不足し闇市(正規ルート以外の場所)で販売されていると言う状況で、配給制を実施している地区管理委員が儲かった以外に成果はなかった。

現在、パーム油に関して、配給店舗ではなく通常店舗で購入するのが難しい時期に、市場価格は 1 ペイター(約1.6㎏)おおよそ10,000チャットだが、政府配給価格では4,400から4,800チャットである。市場価格で一袋(約48~49kg) 60,000チャットを超える程度の低品質の米は、ほぼ同じ価格の1ピー(約2.55リットル/米の場合約2㎏)あたり2,500 チャット前後で軍評議会が販売している。

経済都市ヤンゴンのターケータ区では、8月末からパーム油を午前 11時から午後2時まで一部の店で一人あたり 1/4ペイター、1/2ペイター、1ペイターなどの配給制で販売されている。

しかし、家の油の瓶に指二本分しか残っていないコー・チョーは、生活のために働かなければならない時間だったので列に並ぶことができず、余分にお金を払って他の人を介して買わなければならなかったと話す。

「列に並ぶことができないので、市場にいる知り合いの 1 人に紅茶代(手間賃)として 2,500チャットか3,000チャットを払って、少なくとも1/2ペイター入りの油1本くらい手に入れられるようにお願いした」と同氏は続けた。

「今のところ私の家には油が指二本分しか(残ってい)ない。今日は紅茶代として3,000チャット払って、ある物売りの人に(配給の列に)並んでもらった。」

マンダレーでもこれと同様で、食用油販売店は来て並んでいる人たちに整理券を発行していること、列に並んでいる人が少なければ 1 人につき1ペイター、多ければ(翻訳者注:原文では「少なければ」となっているが間違いと思われる)1人につき1/2ペイターなどの配給で売っていることが、アウンミェターザン区のある食品雑貨店販売員のマ・ニーのところから分かった。

「その日暮らしの人にとっては大変だ。」

マンダレー在住の会社員であるコー・ミョーも、9月4日に食用油を販売するという軍評議会の発表を見たので、翌日午前7時頃に並びに行ったが、物(油)はなくなってしまったというので、帰らざるを得なかったという。

地元民コー・ウーによれば、エーヤワディー管区パテイン市でも、食用油業者協会がパーム油1ペイターあたり5,500チャットで地区内を車で巡回して販売しており、地区管理事務所では1ピーあたり2,500チャットで販売しているマノートゥカ米を並んで購入できるように努力しているという。

「ある地域では全員が(米、油を)得られないことが多い。どこから来たかわからない人々が繰り返し並んでいる。一人あたり一回しか配給されないのである。しかし、何度もやってきて並んでいる人に対して、車で販売している人は何も言わない。」

強欲者という名目で(食用油業者を)逮捕している軍評議会の圧力のため、食用油業者は外(軍評議会が認めた場所以外)で市場(相場)価格通りに売るほどの勇気がないので、米、油などの基本食料入手は、国民にとっての大きな問題となっていること、配給で売られたパーム油も業者が規定の1タンク(ドラム缶1本分、50ガロンとされていることが多い)がなくなったらその後売らないので全員は入手できないと、パテイン市に住む政治活動家のウー・スィッヤンシンは述べた。

「市民のかなり多くが、毎日油ひとつを手に入れるためにどこで売っているかという情報を調べ、行列に並んで油を1本でも2本でも手に入れて持ってくるという生活である。」

「米についても、1人あたり2ピーの割合程度しか与えられない。米を手に入れられない人も多い。1日中行列に並びに行き、1ピーも得られずに帰らなければならない人々がいるが、食用油も同様な状況である」と、同氏が語った。

軍評議会が拠点としているネーピードーでさえ、国民の基本的な食料を購入することが困難であること、自分たち自身も定められた価格で売らなければ(軍評議会の)怒りを買うと懸念し、損失を被って量を制限して売らなければならないことを、タッコウン区の米事業者ドー・ズィンマーが語った。

ネーピードーのタッコウン区では8月中頃から、精米所が米1袋(105ポンド入り)につき60,000チャットでコメ連盟を通して地区管理事務所へと納入しなければならず、地区管理事務所が1ピーあたり2,500チャットの価格で、1世帯につき4ピーずつ販売していると、同氏が語った。

「一地区あたり200袋と言われたら200袋だ。精米代金は自分の負担だ。今現在の籾米の価格だと損をすることになるね。6万が原価としてかかっていて、原価通りに(地区管理事務所に)渡さなければならないんだ。」

米を(軍評議会が)設定しておいた価格より高く売らないように、また定められた量を超えた貯蔵をしておかないように、軍評議会が命令を出していることが、コメ業界への調べで判明した。

ネーピードーのタッコウン区では、米屋が米1,000袋以上貯蔵したい場合はコメ連盟経由で軍評議会へ申請書を提出しなければならないことがドー・ズィンマーから判明した。

「(コメ貯蔵量などの)調査があるだろうという情報がでている。一回も調べに来たことはない。自分も量を計って貯蔵している。たくさん買っておこうとは思えない。」

パテイン郡でもそれと同様、ポーサン米一袋につき十万チャット以上で売ってはいけないとコメ連盟が米販売店に文書で指示しているとわかったことをパテイン市のある精米所の所有者が述べた。

「当然損をしている。私たちが買っていたときには、高い値段で続けて買っておかなければならなかった。最初から籾米の値段は高かった。今は籾米を買おうと思えない。」

今のように米の値段を規定しておくと、次の稲の実りの時期に農民が適正価格で買ってもらえないことを同氏が指摘した。

同様に、ヤンゴン市で食用油卸売りをしているドー・ティーダーも、クーデターを起こした軍評議会の時代には商売上の困難があり、人々の暮らしは厳しく、時を選ばず様々な疑いをかけられ逮捕される可能性もあると不平を言っている。

現在、バインナウンの食用油市場において、会社から4,160チャットで買い付け、4,300チャットで再び売却していること、会社の支店も2%の儲けとして4,500チャットで売却していることを9月5日に同氏が言った。

「農産物買付センターで買えないので、売る油がない。指定価格で再度販売するというだけでも儲かるのだ。儲かるから売るといったところで、油を分けてくれない。今、売っている人たちも、その人々と近しい店だけに油を分けている」とドー・ティーダーが言った。

10月の第一週、外(軍評議会が指定した場所以外)においては1ペイターにつき12,000チャット、大豆油1ペイターにつき16,500チャットという相場価格がみられたが、市場価格とは合わない軍評議会の規定した販売価格で状況を見ながら販売しなければならないことを同氏が続けて話した。

パーム油の価格を下げるために食用油業者を呼び出して取り調べたというニュースが報じられてきた。食用油業者がどのくらい逮捕されたかを確定することはできないが、今月初めにパーム油1ペイター4,800チャット以上で販売しないように誓約書に署名しなければならなかったことを、軍評議会から毎日、配給分のパーム油30タンクを受け取っているヤンゴン市バインナウン卸売市場の業者であるコー・テイントーは語った。

マンダレーの食用油工場経営主であるウー・ソーも、食用油業者協会が配給で販売しているパーム油を、1ペイター当たり4,500チャットで購入し、4,800チャットで販売していると語った。

「先日は配給が5タンク分だった。1日に1タンクの割合で売ってくれる。 私は人々が並んでいる行列を見た。行列に約 200人いるとすると1人に約1/2ペイター販売できる。行列が約100人であれば1人約1ペイター手に入れられることになる。」

「私たちは4,800チャット以上で売ったら逮捕されてしまう。誓約書への署名をしなければならなかった」と、ウー・ソーが続けて語った。

クーデターが起きてから3年近く経ち、国内いたるところで戦火が広がっている中、そして国際的な制裁のため金融問題や経済で困難が生じている中、さらに通貨チャットの価値が急激に下がっている中、軍評議会は、米ドルを使用して外国から輸入する必要がある食用油や、食用油のように人々の暮らしにとって基本的な物資の価格統制が効かないという影響を、恐怖によって統制するためにだけ奮闘しているだけである。

8月22日のネーピードーでの記者会見で、自分の目やにを自分で見ることができない軍評議会の報道官ゾーミントゥン少将は、物価の高騰は貪欲な人間のせいだと脅迫し徹底的に対処すると述べた。

軍評議会がどんなに大きなことを言ったとしても、現実にはすべての人には手が届かない大型ショッピングセンターにおいてのみ、米や油に対し市場相場価格である数万、数十万チャットを支払って購入できる人だけが自由に買うことができている。

低所得階層である多くの人々は、政治の不安定や、国内通貨チャットの価格下落に基づいて、市場の性質からすると上昇し続けている物価の動向のため、毎日必要な食料である米や油を普通に購入できるかに対してでさえ不安を抱いている。

軍の大将である幹部が住むネーピードーの主婦、ドー・ウエフニンは、米や油の入手が我らの問題となってきた、クーデター軍評議会の時代に問題に直面している状況を次のように語った。

「並ぶことができる人、けんかすることができる人は、軍評議会の決めた(安い)価格で当然入手できる。お金持ち、並ぶことができない人は 1万チャット以上払って買って食べているのだ。」


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翻訳者:2年生有志
記事ID:6777