パキスタンで麻疹の感染が深刻化 死者5倍に
2013年01月16日付 The daily Jang紙

死者の70%がスィンド州内、州内の53%の子供がワクチン未接種 世界的には1日当たり380人が麻疹で死亡

ラホール発(記事:シャーヒーン・ハサン)― この1年間でパキスタン国内での麻疹患者が3.5倍に増加した。世界保健機関によれば、一昨年2011年度に報告された患者総数は4,000であったが、昨年2012年度はパキスタン国内で14,000もの患者が報告されたということである。また国内の麻疹による死者の数も5倍に増加した。2011年の死者の総数は64人だったのに対し、2012年にはその数は306人になった。懸念すべきなのは国内で麻疹による死者数の増加のみならず、その死亡率も増加したということである。2011年には死者の割合は62.5人に1人であったが、2012年には45.7人に1人となった。国内の69%、つまり210人もの死者を出したのはスィンド州である。スィンド州の8つの県、サッカル、シカールプール、ゴートキー、ラールカーナ、カンバル、シャーダード・コート、ジェイコバーバード、サーレーパトとカシュモールの公立病院では、昨年末の2か月間で2500人の麻疹の患者が報告された。WHOのレポートによれば、スィンド州内で麻疹の拡がった諸県での70%の死亡については麻疹予防のワクチン(予防接種)の子供への未接種が原因である。スィンド州における麻疹の拡大とその死亡の根本的な原因は、州内での麻疹予防のワクチン接種計画の挫折である。世界保険機関によると、スィンド州では53%の子供たちが麻疹予防のワクチンを未接種であるという。スィンド州で麻疹が拡大した他の要因には、打ち続いて3年目にあたる昨年のモンスーンの豪雨による洪水や、州や県あるいは都市間でまちまちな予防ワクチン計画に内在する明らかな取り組みのレベルの差、文盲率、意識の低さ、公立病院でのワクチンの不足、そして栄養不足のために子供たちの弱い抵抗力が含まれる。世界こども機関の協力でスィンド州政府が2011年に発表した調査によると、9万人もの子供たちが栄養失調であるという。疾病予防管理センターによると、麻疹に罹った10人に1人の子供が耳の感染症で、20人に1人が肺炎で、1000人に1人が脳炎で命を落としているという。世界的には麻疹によって一日当たり平均380人、年間13万9千人が亡くなっているが、それでも過去10年間で、麻疹による死亡率は74%減少した。2001年には死者数55万3000人を数えたが、2010年には13万9千人である。その原動力となったのは9か月から14歳までの10億を超える子供たちへの麻疹予防のワクチン接種である。麻疹を予防するには2回のワクチン接種が必要であり、1回限りの接種だけでは15%の子供には麻疹を予防する抵抗力が備わるとは限らない。過去10年間、年平均3421件の麻疹の症例が報告されている。国内では今年度になってからも麻疹の症例やこれによる死者が報告されている。国内では1月から4月までの期間に麻疹の拡大が危ぶまれるが、この季節に麻疹が拡大する懸念がある。

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


(翻訳者:横川典代)
(記事ID:18)