価格高騰という鬼を封じ込めよう!
2013年10月03日付 The daily Jang紙

電気料金、石油製品の価格の再度値上げという政府の決定は全土に動揺の波を走らせている。ラホール、ムルターンを含む多くの町々でデモが発生している。パキスタン人民党、正義行動運動、ムスリム連盟カーイデ・アーザム派、アワーミー国民党が、上院、国民議会(下院)、パンジャーブ州議会、スィンド州議会に提出した先送り動議の中で値上げの撤回を要求する一方、電気及び石油の新料金体系に対しイスラマバードとスィンド両高等裁判所に異議が申し立てられた。現状は、上記の新料金を口実に多数の生活必需品が水増し価格で販売される一方、買占め業者が更なる利益を狙って多数の商品を市場から品枯れにする勢いである。交通業者は、公共交通機関の運賃の値上げを示唆し始めており、製粉所のオーナーたちも小麦粉価格の値上げにひた走っている。このような情勢の下、最高裁は逸早く現状を察知して、一般庶民の間に「彼らには為す術がないというわけではない。救済の道は開かれている」という感触を醸成した。計画停電に対する「自らの発意による」*訴訟の審理の間、最高裁長官、イフティハール・ムハンマド・チョードリーを裁判長とする3名より成る法廷は電気料金値上げ問題に関して回答を求め、ある意味で政府をも利するとなった。というのも、現政権の就任後には電気、ガス、石油、ディーゼル油や他の必需品の価格が下がり、これに呼応して小麦粉、コメ、ミルク、豆類、食用油、香辛料、タマネギ、にんにく、野菜や他の商品の価格も下がるものと期待を膨らませていた低、中間所得層が、その就任後4ヶ月の間、石油とディーゼル油の価格の今回で第4回目の値上げと電気料金の弱る程の値上げのために直面した失望がより悪い方向に展開する前に最高裁のこの措置が一縷の新たなる望みを彼らに与えたからである。月曜日の審理の最中、最高裁長官の「貧者を見殺しにしてはならない」との論評は、低所得者層に生きる勇気を与えると同時に、政府にも財政問題の解決のために電気、石油、そしてガス料金の値上げという形で準間接税の賦課を進言した官僚たちが、果たして山積する経済的な難題の克服という課題において真に恃みとなるものであるかどうかを再検討する猶予を与えた。経済的危機と無縁な国家などは世界中どこを捜して皆無である。ただ、有能な経済スペシャリストのチームというものは、危機をチャンスに変えるところにその真骨頂がある。そして、一般庶民の負担を増やす代わりにこれを減らす提案するものである。あるいは、他の措置、例えば、上層階層から税金を徴収する、如何なる理由があろうと海外に滞っている資産を自国に取り戻すこと、汚職の克服、輸出を増加する、そして新市場の開拓などの形で経済発展の道を探ろうとするものである。石油、ガス、電気に類するものの値上げは準間接税の最悪のケースである。洗練された国家はいずれもこれを忌避するものであり、我が国も忌避しなければならない。最高裁長官は、この国に抑圧体制がのさばることは許しはしない、とはっきり述べている。また、民主的価値の称揚は政府の望むところでもある。こうした状況の中、水曜日の最高裁への政府の「電気料金について再検討の用意がある」との申し出は希望が持てるものである。石油製品、ガス、水道を含め全ての物品の価格は、自分たちは税金とは無縁だと考えている層から、その土地や資産、ビジネス規模、海外資産、その生活水準に応じて直接的に税を徴収できる、そして、低、中所得者に準間接税の負担を払いのけ、彼らに生きる機会を与えるような形で再検討されることが必要である。

*訳注:これは、「裁判所が原告ないし被告からの申し立てではなく、自らの発意により(職権にて)、訴訟を開始したり、調査を行なったりすることを指して」(佐藤創編『パキスタン政治の混迷と司法』アジア経済研究所、「略語及び略語解説」を見よ)使われるものであり、いわゆる公益訴訟に関する記事の中で頻繁に見受けられる。本来、ラテン語の“suo moto”に発する。

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(翻訳者:高橋直暉)
(記事ID:248)