抗議行動による死者100名を超える
2015年02月24日付 Prothom Alo紙

「オレたちは貧乏だ。日毎の稼ぎで何とか食べている。政治なんか関係ない。分かりもしない。そんなオレたちがなぜ死ななきゃならない?こんな政治はやめてくれ」
サミウル.イスラムはそう言って嘆き、訴えた。サミウルの兄ソイヨド・アリは2月6日、ガイバンダのシュンドルゴンジョで、乗っていたバスが火炎瓶を投げつけられ炎上し、火傷を負って亡くなった。日雇いの仕事をしていた。村で仕事がないときはダカまで出てきていた。その日も仕事を求めてダカに向かっていた。だがその途中で命が絶たれた。
ソイヨド・アリばかりではない。2才の幼児から60才の老女、14才の少年から32才の青年まで、誰も安全ではいられないのが現実だ。今日までの48日間で、101人が暴力行為の犠牲者となった。昨日(21日)ボリシャルのアゴイルジャラで起きた銃撃戦で2人が死亡したため、死者の数はついに100人を超えた。昨年1月5日の「一方的な選挙」で成立したアワミ連盟の退陣を要求して、最大野党BNP(バングラデシュ民族主義党)とイスラム原理主義政党、ジャマアテ・イスラミは今年1月6日から 道路封鎖やホルタル(ゼネスト)を実施しているが、暴力行為はその2日前から始まっており、昨日が48日目にあたっていた。今回の一連の抗議活動では、野党側の指導者が公衆の前に姿を現わすことがない一方、一般の人たちが攻撃対象になっている。
こうした場合、最大の脅威は無差別な破壊活動だ。火炎瓶を使った襲撃や放火により、これまでに56人が焼死している。さらに最近は銃の打ち合いになるケースも増えてきている。昨日もボリシャルで銃撃戦があり、2人が死亡した。今回はこれまでに30人が銃撃戦で犠牲となっている。死亡者のうち7人はジャマアテ・イスラミの学生組織、チャットロ・シビル(学生陣営)のメンバーで、6人はBNPの政治活動に深く関わっている人たちだったことが分かっているが、他の17人と政治との関わりは不明だ。さらに政党支持者同士の衝突や他の理由で15人が死亡している。この他一連の騒動で1000人以上が負傷した。交通輸送車両594台が焼き討ちされ、579台が破壊された。昨日も各地で散発的な暴力行動が発生している。
道路封鎖が始まって、最初の凄惨な事件はロングプル県のミタプクルで起きた。1月13日、ダカとロングプルを結ぶ幹線道路沿いのミタプクルでバスが放火され、その場で5人が死亡し、病院で治療を受けた人のうち2人が亡くなった。2月3日にはクミッラ県チョウッドグラムのダカ・チョットグラム(チッタゴン)幹線道路でバスに火炎瓶が投げつけられ、8人の犠牲者が出た。また2月6日ガイバンダのシュンドルゴンジョで起きた同様の事件では8人が死亡している。
クミッラの事件の犠牲者のひとり、モハンモド・ワシムはダカのカプタン・バジャルでビジネスをしていた。妻のコヒヌル・アクタルさんはプロトム・アロ紙に「何も悪いことをしていなかった夫がどうして死ななければならなかったのでしょう?子どもたちはこれから誰をお父さんと呼べばいいのか、私たちはこれからどうやって生きていけばいいのか、見当もつきません。こんな政治を誰か止めてくれる人はいないんでしょうか」と訴えた。
2月3日にはダカ・ボリシャル幹線道路でも同様な事件があった。火炎瓶を投げつけられたトラックの運転手、ヌル・ホセンが大やけどを負って死亡した。ポトゥアカリ県バウフォル郡に実家がある。妻のメリナ・アクタル(27)は妊娠中だ。ヌル・ホセンの従兄のバブル・ホセンはプロトム・アロ紙にこう語った。「2つの政党の権力欲のために、私の従弟が死んでしまった。政治指導者たちには、私たちを救ってくれと言いたい」
道路封鎖が続く中、ダカ医科大学病院の火傷治療センターでは11人が亡くなった。全国ではこれまでに56人が火炎瓶を使った襲撃や放火事件の犠牲となっている。ダカ医科大学の火傷治療センターでは30人以上が治療中だ。患者たちの家族も暴力による政治を止めるよう求めている。患者のひとりでトラック運転手のティトン・ミヤは1月23日、ボグラからノライルに向かう途中で火炎瓶による襲撃に会い、それ以降病院で、手足に負った傷の痛みに呻きながら日を過ごしている。「道路封鎖やホルタルで人を傷つけている連中はみな欲張りだ。権力を手に入れるために一般人を襲っている。連中はこの国をアフガニスタンにしようとしている。国民を愛する気持ちがない奴らが、どんな政治をやろうって言うのか分からない」ティトン・ミヤは昨日、プロトム・アロの取材にそんなふうに答えた。

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(翻訳者:伊藤巧作)
(記事ID:384)