バングラデシュ・インド関係、新たな時代へ
2015年06月11日付 Prothom Alo紙

(6月7日付)インドのナレンドラ・モディ首相は、バングラデシュとインドの間で1974年作成された国境協定問題が解決した実現した今回のバングラデシュ訪問を、歴史的な出来事と考えている。「訪問に先立つインド国会での満場一致による国境協定の承認は、バングラデシュとの関係についてのインド側の総意が反映されたものであり、国境問題の解決によって両国間の国境地帯はより安全性を増し、地域住民の生活も大幅に安定すると見ている」。昨日土曜日(6月6日)、国境協定の批准書交換とシェーク・ハシナ首相との首脳会談のあとで行われた記者会見でモディ首相はこのように述べた。
これより前、シェーク・ハシナ首相は記者団に対し、「私たちは今歴史的な瞬間に立ち会っている。私たちは力を合わせて両国関係を新しい可能性に溢れた時代、さらなる高みへと誘おうとしている。モディ首相と私は先程、1974年の陸地の国境線に関する批准書を交換した。これにより、68年間にわたって続いてきた人道的な問題が解決されたことを喜びたい」と述べた。首相はさらに「モディ首相と私は、両国間のコネクティビティ(相互接続性)確立は2カ国ばかりでなく、地域の総体的な発展にとっても重要なものであるとの認識で一致した。両国は相互の憂慮と特権を理解している。首脳会談では2国間の関係に関するあらゆる事項について、腹蔵ない話し合いが行なわれた」と語った。
首脳会談は昨日昼、首相官邸で行なわれたが、その前にコルカタ―ダカ―トリプラ州のアゴルトラ、さらにダカ―メガラヤ州のシロン―グアハティを結ぶバス路線が開通した。その後両首相は2人だけの会談に臨んだ。さらにシェーク・ハシナ首相、ナレンドラ・モディ首相そしてモモタ・ボンドパッダエ
西ベンガル州首相が見守るなか、バングラデシュのショヒドゥル・ホク外務次官とインドのS.ジャエシャンカル外務次官が国境協定の批准書と同協定発効の工程に関する同意書を交換した。続いて両首相が贈り物と歴史的な覚書を交わした。首脳会談の後、両首相の立ち会いで国境協定を含む22種類の協定、覚書および合意書が調印された。同日夕刻、首相たちが演説を行なって公式会談は終了した。
モディ首相は昨日午前、2日間の訪問のためにダカに到着した。午前10時過ぎシャジャラル国際空港に着いた同首相を、シェーク・ハシナ首相が出迎えた。空港での歓迎式典の後、モディ首相は、独立戦争の殉国者たちの慰霊のため、まっすぐシャバルの独立戦争記念碑に向かった。続いてダンモンディ32番地のボンゴボンドゥ記念博物館を訪れ、故ボンゴボンドゥ・シェーク・ムジブル・ロホマン大統領に敬意を表した。ショナルガオン・ホテルで昼、モモタ・ボンドパッダエ西ベンガル州首相との協議に引き続き、モディ首相はシェーク・ハシナ首相との首脳会談のため、首相官邸を訪れた。

今回の陸上国境画定協定が、隣り合う両国の相互協力のための大きな節目となることには疑問の余地がない。40年以上という長い年月、未解決のままだったこの協定は、最終的な段階になって実現が危ぶまれる状況となっていた。そのため、モディ首相のバングラデシュ訪問が切望されていた。
2011年には、マンモハン・シン首相が率いる当時の国民会議派政権は、協定成立に向け前向きの対応を行なっていたが、国内の政治状況のために結局実現することはできなかった。その時最も大きな障害となったのが、今回満場一致による協定批准の中心となったインド人民党・BJPだった。当時BJPは他の政党にも働きかけて、会議派による協定の国会上程を阻んだのだった。バングラデシュ側は協定に署名後批准手続きまで完了していたのにかかわらず、インド政府の事情により、国境協定はいわば宙ぶらりんの状態になっていたのだった。
インドでは去年行われた総選挙で政権が交代した後、国境協定をめぐってはあらたな懸念が生まれていた。国民会議派に代わってBJPが政権を握ったことで、近年良好だったバングラデシュとインドの関係が後退するのではないかという懸念を、バングラデシュのアワミ連盟政権は当初抱いていた。国民会議派政権はバングラデシュ国内の政治状況、特に2014年1月5日に実施された野党不在の一方的総選挙に理解を示していた。そうしたなか、インドの新政権との関係がどんな化学反応を起こすかについて、アワミ連盟が危惧を抱いていたことは否めない。しかし昨年6月、シュシュマ・スワラージ外相によるバングラデシュ訪問が、そうした不安を払拭することとなった。昨年9月および11月に行われたシェーク・ハシナ首相との会談後、モディ首相は国境協定問題解決に向けて積極的な姿勢を見せた。しかし最終的な段階になって、アッサム州を除いた形で国境協定を策定するための憲法改正に向けたBJPの動きがあって、状況は予断を許さないものとなった。これに対し国民会議派は、アッサムを除外するなら国境協定に反対するとの態度を明らかにした。最後にはBJPが譲歩し、先月(5月)、インド国会の両院で、国境協定案は満場一致で可決された。こうして両国の協力関係の新たな扉が開かれたのだった。
2008年、アワミ連盟が政権を獲得した後、安全保障の分野での両国の関係は、高レベルのものとなった。インドの北東部で活動する分離派に潜伏の機会を与えないというバングラデシュの断固とした態度がこの点で大きな役割を果たした。バングラデシュのこうした対応を、インド側は高く評価してきた。外交評論家らは、このことが国境協定のような長期の問題解決に役立ったと見ている。(以下略)

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


(翻訳者:伊藤巧作)
(記事ID:424)