最高裁上訴局と特別法廷で29人の裁判続く
2015年11月24日付 Prothom Alo紙


(図表)
国際戦争犯罪法廷 2010年、国際戦争犯罪法廷の設置により非人道的犯罪に対する裁判が始まった。最初の段階で21人が被告となった。

現在の状況:進行中の裁判 4 被告 18人 審議開始前 1件 告訴前 5件
証拠検証状況:23件の告訴に基づき検証進行中 被告 64人 検証開始前の事件 609人に対し告訴 告訴上に名前が挙がったのべ人数 3,500 終了した裁判:判決のでたケース 21件 被告 26人 控訴済み 5件  被告の死去により控訴中止 2件
判決が実行されたケース 5 うち終身刑1人 死刑執行4人 カデル・モッラ(ジャマアテ・イスラミ幹部)、カマルッジャマン(同)、サカ・チョウドゥリ(BNP幹部)、ムジャヒド(ジャマアテ・イスラミ幹部)

1971年の独立戦争時に起こった非人道的犯罪を裁く裁判は、ジャマアテ・イスラミのモティウル・ロホマン・ニザミなど11人を被告として、現在最高裁の上訴局で係争中だ。一方国際戦争犯罪裁判所では、18人を被告として4つの裁判が続いており、合わせて29人を被告として15の訴訟が進行中となっている。
この他10の訴訟が特別法廷での審議開始待ちの状態だ。特別法廷の捜査機関は現在、23件の訴えについて捜査を行なっており、被告の数は合わせて64人に及んでいる。さらに各県レベルで非人道的犯罪をめぐる609件の訴えが寄せられており、捜査の開始を待っている。捜査機関筋によれば、これらの訴えの対象となっているのは約3,500人にのぼる。これらは捜査機関が10月30日付けで作成した最新の統計によるもの。
最高裁上訴局で進行中の11の裁判では、ジャマアテのモティウル・ロホマン・ニザミ党首、ムハンモド・アブドゥス・スブハン副党首、A.T.M.アズハルル・イスラム書記長補、ミール・カシェム・アリ中央執行委員会委員、国家党幹部のソイヨド・モハンモド・カエサル氏、アワミ連盟から追放された元幹部、モバロク・ホセン氏、ピロジプルのアブドゥル・ジョッバル氏、チャパイノバブゴンジョのマヒドゥル・ロホマン氏、ポトゥアカリのフォルカン・モッリク氏、バゲルハトのシラジ教師およびカーン・モホンモド・アクラム・ホセン氏が被告となっている。
一方、2010年の設立以来、国際戦争犯罪裁判所では、21件の裁判で判決を下している。これらの裁判で被告となったのはほとんどがジャマアテ・イスラミとBNPに属して政治活動を行っていた人物たちで、現在進行中の裁判や捜査の対象となっているのは大半が地方レベルで政治に関与している被告たちだ。
同裁判所がこれまで出した判決は21にのぼるが、うち5件についてはすでに最高裁の上訴局で判決が確定している。これらの裁判の被告のうち、BNPの元幹部サラウッディン・カデル・チョウドゥリとジャマアテ・イスラミの元幹部アリ・アハサン・モハンモド・ムジャヒドの死刑が最近執行され、また同じくジャマアテ・イスラミのふたりの元幹部、ムハンモド・カマルッジャマン、アブドゥル・カデル・モッラの死刑は執行済みだ。またジャマアトの元副党首デロワル・ホサイン・サイディが終身刑となって服役している。ジャマアテ・イスラミの元党首ゴラム・アジョム被告とBNPの元幹部、アブドゥル・アリム被告の場合は、戦争犯罪裁判所で有罪となったあと、上訴局で係争中に死亡したため上告は無効となった。また4つの裁判で被告となったアブル・カラム・アジャド、チョウドゥリ・モイヌッディン、アシュラフッジャマン・カーン、M.A.ジャヒド・ホセン、それにハサン・アリの5人が逃亡中だ。この5人に対しては死刑判決が出ている。すでに上告期限が経過しているので、この5人が逮捕または自首してきた場合には、ただちに刑が確定する。
戦争犯罪裁判所はひとつ、増える訴訟:今年、ふたつの国際戦争犯罪裁判所で行われた裁判はわずかふたつだった。この9月、同裁判所は統合されひとつのみとなった。しかしその間、捜査機関での捜査が終了し、その報告書が提出されたことから、現在はひとつだけとなった戦争犯罪裁判所で4つの裁判が争われている。さらに検察側によれば間もなく数件の訴訟が起こされる予定だという。今月中にも1件の訴訟が開始されるかも知れない。また新たな5件について近いうちに立件される見通しだ。さらに4件の訴訟の準備が進んでいる。それに加え、何件かの事件で被告となる人物に対する逮捕状がすでに出たり、請求の動きがある。しかしそういった件数が一体どのくらいになるかははっきりしない。トゥリン・アフロズ検察官はプロトム・アロ紙の取材に「さらにかなりの数の訴訟が準備中だ。ここ2~3か月のうちに裁判所でそれらの件で審議が始まることになるだろう。そうなると裁判の進行が妨げられることにもなりかねない」と語った。
捜査はどのように進められるか:非人道的犯罪に関し、捜査機関に訴えが寄せられるには主にふたつのルートがある。まず、被害者自身またはその家族、あるいは審判を望む者が直接捜査機関に訴える方法だ。ふたつめは、2010年に戦争犯罪裁判所が設置されその活動が始まってから、国中の各地の裁判所に、殺人、虐殺、レイプ、強奪、放火など71年の独立戦争時の犯罪についての数多くの告訴がなされたが、これらの裁判記録はのちに捜査機関に移されてそこで捜査が行われるようになった。これ以外に、1973年の国際戦争犯罪法により、捜査機関が自ら、誰かに対し非人道的犯罪の捜査を行なうことも可能になっている。
プロトム・アロ紙は地方レベルでは被疑者たちへの捜査はどのように実施されるのかを同機関のM.サナウル・ホク上級捜査員に尋ねた。ホク捜査員によれば、ある訴えについてまず初期捜査が行われ、それで被告あるいは被告たちに対する疑義にある程度の確証が得られれば本格捜査に切り替えられる。初期捜査の段階では捜査機関は地元警察や国のさまざまな捜査団体の協力をあおぐ。被疑者の社会的・政治的経歴、過去や現在の記録、その人物の持つ影響力などについて秘密裡に捜査が実施される。
このことについて、「71年の裏切り者・反逆者たちをせん滅する会」のシャハリヤル・コビル委員長代理は「全国レベルであろうと地方レベルであろうと、戦争犯罪人たちの裁きは同じように重要なことだ。捜査機関に多くの訴えが寄せられることで裁判所に大きな負担がかかるのは前にも指摘したことだ。なかでも深刻なのは、戦争犯罪組織であるジャマアテ・イスラミそのものを被告とした裁判がいまだに行われていないことだ」と語っている。

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(翻訳者:加藤梢)
(記事ID:461)