アメリカ議会がF16戦闘機でパーキスターンへの支援に「待った」を掛けた
2016年04月30日付 The daily Jang紙
アメリカはこれまで8機の戦闘機の総額の70%をパーキスターンに提供するとの内諾を表明していた。今や全額7億ドルの前払いを条件とした。戦闘機の引き渡しが足踏み状態である大きな理由はモーディー首相のアメリカ訪問である──消息筋
対テロ戦争におけるパーキスターンの立場は非常に強力です。戦闘機購入のための支援は提供されるものと確信しています──ターリク・ファーティミー、テロリズムの危険性を考慮して防衛能力の増強は不可避である──パーキスターン大使館スポークスマン
イスラーマーバード(事件記者、特派員、通信各社):-アメリカはパーキスターンへの8機のF16戦闘機の引き渡しに対し同戦闘機の全額の支払いを条件とした。これら8機の戦闘機の総額は7億4千万ドルに相当し、アメリカはこれまでその内の70%の額をパーキスターンに提供するとの内諾を表明していたのであった。ところが、アメリカ上院がこれに「待った」をかけたためアメリカ政府はパーキスターンに全額の支払いを戦闘機の引き渡しの条件とした。ただ、政府筋によれば、戦闘機引き渡しの問題はまだ先のことであって、時節が到来すれば交渉を通じてこれは自ずと決着するものであろうという。パーキスターンは、これらの戦闘機を対テロ戦争において使用するためにアメリカに申し入れてたのであり、これらは夜間テロリストたちのアジトを標的にできる機能を備えている。同筋によれば、パーキスターン政府高官は戦闘機の引き渡しを確実なものとするためにアメリカとこの問題で更に交渉を行う予定であるという。同筋によれば、戦闘機引き渡しの問題が足踏み状態であるもう1つの大きな原因は、ナレーンドラ・モーディー・インド首相のアメリカ訪問であるという。インドがパーキスターンへの戦闘機引き渡しで猛抗議を行ったからであるが、パーキスターン政府は戦闘機の獲得に成功するものとの望みが大きいという。他方、サイヤド・ターリク・ファーティミー首相特別外交顧問は金曜日当地である報道関係者たちとの会話の中で自らの印象を明らかにしつつこう述べた。「アメリカからのF16戦闘機の購入に向けてのパーキスターンの立場は非常に強力です。パーキスターンが対テロ戦争をどのように遂行しているのかは世界中が了解しておりますし、この点でパーキスターンの払った犠牲や役割は国際的なレベルで高く評価されております。そのため我々はパーキスターンにF16戦闘機購入のための支援が提供されるものと確信しています。」と。彼はまたこう述べた。「パーキスターンがその獲得を申し入れた8機のF16戦闘機は対テロ戦争において極めて重要な役割を果たすことが可能であり、アメリカもこれは十分に承知しています。」と。サイヤド・ターリク・ファーティミー氏曰く、「対テロ軍事作戦は単にパーキスターンの国益に合致するだけでなく、その効果はアメリカやアフガーニスターン、あるいは地域の他の国々にも及びます。パーキスターンは過去2年間、自身の厳しい予算の中から対テロ戦争のために20億ドルを投じました。」と。アメリカ議会上院による支援差し止めの決定に関してターリク・ファーティミー氏曰く、「アメリカ政府が議会を説得するものと我々は信じております。そうでなくてもアメリカ政府にはまだまだ別の手段があります。」と。ただ、同首相特別顧問もアメリカの議会の中に外国への軍事的財政支援への反発が存在することは認めた。ところで、インドはパーキスターンへのF16戦闘機売却というアメリカの決定に対して強い不快の念を表明していた。インドはデリーでアメリカ大使を呼び出し、パーキスターンにF16戦闘機を売却するというアメリカの決定に対して不快の念を伝え、またインド外務省はアメリカ大使に対してこの決定に対し正式に抗議も行った。サイヤド・ターリク・ファーティミー氏曰く、「F16戦闘機に関する問題は終わっておらず、対話は継続しています。」と。通信各社によれば、差し止めの結果、8機のF16戦闘機購入に掛かる7億ドルはパーキスターンの自己負担となるという。アメリカの国務省のある高官は、イギリスの報道機関にこう言った。「オバマ政権は現在もパーキスターンにF16戦闘機を売却することに賛成の立場ですが、このためにアメリカは自国の予算を割けません。」と。同国務省高官によれば、アメリカ政権のこの決定は、上院の外交問題委員会議長ボブ・コーカー上院議員の命令によってなされたが、資金の提供を決定する権限は議会にあるからであるという。彼曰く、「政府が議会に提出したところの、本年度パーキスターンに提供される7億4200万ドルの軍事支援の予算案の承認のプロセスも頓挫したままです。」と。同国務省高官によれば、この額のパーキスターンへの提供は現時点では不可能であるが、もし議会が考えを変えればこれも可能であるという。曰く、「オバマ政権はこの問題に関して議会と協調しながら仕事を進めていくことになるでしょう。」と。ナディーム・ホーティヤーナ在アメリカ・パーキスターン大使館スポークスマンはこう言った。「武器の購入と引き渡しは一つの長いプロセスです。問題に関して発言することは時期尚早でしょう。アメリカ政府は既にパーキスターンへF16戦闘機の売却への支持を表明しています。」と。同スポークスマン曰く、「パーキスターンはテロリストのネットワークから迫られている様々な危険のために、防衛能力の弛まない増強が不可欠であると考えています。両政府は、この目的に向けて戦闘機の売却や他の措置の関連で協調して仕事を進めていくことになるでしょう。」と。ちなみに、オバマ政権はインド及び若干のアメリカ上院議員の異議申し立てにもかかわらずF16戦闘機をパーキスターンへ売却するという自らの決定を正当化した一方、先月上院もまたパーキスターンへのF16戦闘機売却を承認したのであり、これを受けて、8機の戦闘機と付属品のために4億3千万ドルはアメリカがパーキスターンに提供するが、約2億7千万ドルはパーキスターンが負担することになろう、と考えられていた。アメリカ議会では、多数の議員がこう異議を唱えた。すなわち、戦闘機の使用は唯一インドを相手にしてのみでしかあり得ない、と。なお、アメリカ議会によるF16戦闘機のパーキスターンへの売却で経済的支援は行わないという決定に対し、ターリク・ファーティミー・パーキスターン政府外交顧問はこう言った。「議会を説得するのはオバマ政権の責任であり、この一件はまだ終わっておりません。」と。
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(翻訳者:本間流星)
(記事ID:542)