２、３時間降った雨で今首都ダカの大半の地域は水に浸かっている。さらに雨が降れば、約半分の地域が水浸しになる。特に町の南部では道路が冠水してしまう。しかしなぜそんなことになるのか？
専門家たちによれば、市内を流れていた運河の多くが埋め立てられたことで、近郊の川を勝手に埋めたり流れを遮ったりする占拠行為が増加したことで、池など水源地をうめてしまったせいで、また空き地が減少したことでこのような状況になってしまっているということだ。本来なら低地や運河を伝って川に流れ込むはずだった水が溜まってしまっているというわけだ。この自然システムが機能しなくなってしまったことで、ダカの住民たちは危機に瀕している。何か代わりの選択肢はないのか？
代わりといえば、閉鎖的排水システムの設置があげられる。この人工的なシステムには、排水溝や排水枡、ダムなどがあるが、いずれもコストが高い。排水も自然なシステムより遅い。その結果、いずれ町が水浸しになるのは避けられない。
そうなると解決の方法はあるのだろうか？この問題に取り組んでいる人たちは遊水池、とりわけグルシャンやテジガオン地区近くに広がるハティルジル湖のような貯水池をあといくつか建設することができれば、ダカの洪水問題はかなり小さくなると見ている。
火曜日の夕方から降り始めた雨で、水曜日にはダカの大部分の地域が水に浸かった。モティジル、アラムバーグ、ディルクシャ、フォキラプル、ドイニク・バングラ交差点などでは４５センチほども水が溜まっていた。ラジャバーグ、サーキットハウス・ロード、マリバーグ、キルガオン、ゴラン、シパヒバーグ、ショブジバーグなどでは多くの地域が水に浸っている。また旧ダカ市街のボンシャル、ナジムッディン・ロード、チョクバジャル、ボクシバジャルではひざの高さまで冠水していた。１０時間以上たってようやく水は引いた。
なぜこのように長時間にわたって水が滞留するのだろうか。バングラデシュ工科大学都市地域計画学部のイシュラト・イスラム学部長はプロトム・アロ紙に次のように語った。「それはダカの自然な排水システムが破たんしてしまっているためです。昔は町中に運河が張り巡らされていました。雨水は運河を通って川に流れ込んでいました。ところが今では川は勝手に占拠され、運河は埋め立てられてしまっています。さらに以前は各家の前に空き地や庭があって、降った雨の水はそこに吸い込まれていました。しかし今はどこも舗装されてしまっています」。イシュラト・イスラム学部長はまた、水処理のための人工的な排水設備があまり有効でないという。「排水溝にプラスチックごみが詰まってしまい、水が流れにくくなっています。排水溝を通ったあと、水は遊水池にいくわけですが、遊水池自体も減少してしまっています」
ダカの下水施設や排水の問題を担当するのはWASA・ダカ上下水道局だ。ＷＡＳＡのタクシム・A・カーン理事長はプロトム・アロ紙の取材に対し「現行の排水施設では、水をポンプでくみ上げて排水しなければなりません。最終的には排水は行われているのですが、雨量に対応できるような処理能力がWASAにはないので、水が引くまでに時間がかかってしまうのです」と語った。「ダカのように無計画に作られた町では、今以上の優れた排水機能を備えるのは困難です」。同理事長はこう付け加えた。
浸水の問題がとりわけ深刻なのはダカ南部都庁(DSCC)に属する区域だ。北部都庁区域では大した問題にはなっていない。DSCCのアサドゥッジャマン副技師長は、最近の大量の降雨が水があふれた原因だと指摘して次のように語った。「ダカ南部区域では、ナジムッディン・ロードとチョクバジャルを結ぶ一帯を除いて排水設備の更新は終わっています。通常の降雨であれば水が溜まるという問題は起こらないはずです。しかし今週は通常よりも多い降水になったため、今回の問題が起きてしまったのです」
しかしバングラデシュ工科大学都市地域計画学部のイシュラト・イスラム学部長は悲観的だ。「現行の詳細地域別計画(DAP)で謳われている遊水池、低地、貯水池についての規定を実現するのは大変なことです。しかし社会のある層がそういったものを占拠してしまっているという実態があります」。専門家の意見を入れずに単に経済発展あるいは個人的な利益追求の目的で池や湖などが埋め立てられることになると、ダカの1千万の市民はいつまでも水問題に悩まされることになると同学部長は指摘する。
ではどうしたらよいのか？この質問にバングラデシュ技術工科大学の水と洪水管理研究所の滞留水問題プロジェクトの元プロジェクト長、ワイス・コビル氏の答えはこうだ。「水が地面にしみこんでいくことができるよう、土のままの地面を保持することが必要です。公園や湖、池の数を増やさなければなりません。ハティジル湖のような遊水池、貯水池をあといくつか建設することができればこの問題はほぼ解決できるでしょう」

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（翻訳者:大角麻亜紗）
（記事ID:670)