寒波襲来―苦しむ人も、楽しむ人も
2018年01月06日付 Prothom Alo紙
朝夕は薄い靄がかかり、昼には強い日差しがさすが、時にはちょっと冷たい風が吹き渡る―ポウシュ月(12月半ば~1月半ば)の初めはこんな様子だった。しかし終わり頃になって、ベンガル暦のこの冬の月は、いかにもそれらしい姿を見せている。日が昇るにつれて霧が濃くなり、午前中はずっと晴れることがない。冷たい風が吹き、昼になっても日の光は弱々しい。こんな気候は、ある人には喜びをもたらし、他のひとには苦しみのもととなる。
全国に寒波が襲来している―気象庁はそう発表した。昨日首都ダカの最低気温は摂氏11.5度であった。ここ3、4日の気温も同じぐらいになるだろう。
昨日(1月5日)午前、市内モハンマドプルのタウンホール市場に、NGOの職員、ライアン・マハフズさんがやってきた。暖かいジャケットを身に着け、首にはウールのマフラーを巻いている。この季節の旬の野菜と肉を買い終えると、最後にナツメヤシのグル(糖蜜)を購入した。「冬はグルを使ったピタプリ(米粉を蒸して作る饅頭ふうの食べ物)の季節ですよ。冬の朝、家族そろってピタプリを食べる楽しみは格別です」ライアンさんはそう言い残し、買い物の入ったバッグを抱えて車に乗り込んだ。
車のドアを叩くひとりの子どもがいた。体は汚れ、破れた服を着て、寒さのために顔は黒ずんでいる。寒さで体を震わせていた。シヤムという名だという。年は8〜10歳ほどか。(北東部の)キショルゴンジョ県の出身で、父親はおらず、今は母親と一緒にモハンマドプルのバンシュバリ地区にあるスラムで暮らしている。シヤム君にとって冬は辛いものだ。「暖かい方がいい、寒いのは辛い」と記者に語った。
ラフモト・アリさんの状況もシヤムと似ている。5日ほど前、ガイバンダからダカにやってきた。シャツを一枚だけ着てリキシャを引いている。市内ミルプルのとあるリキシャ車庫がラフモトさんの住まいだ。「リキシャを漕いでいれば寒くありません。でも、夜を過ごすのがつらいんです。木曜日の夜は火のそばに座って過ごしました」。
冬のこのような風景は、カロワンバジャル、コムラプル中央駅、ドイル交差点近くの歩道などの首都の様々な場所で見られる。このような場所では、冬になると多くの人々が輪になって紙や藁を燃やして暖を採っているのが見られる。また、薄いチャドル(ショール)を体に巻き付けて歩道で寝ている人も大勢いる。
低所得者や根無し草のような生活を送っている人たちにとって、冬は際限がないほどのつらい季節だが、ビジネスをする人たちの顔には笑みが浮かぶ。ニューマーケットで話を聞いてみると、複数の人たちから「今年も去年と同様大した寒さではなかったのだが、2日前から寒くなって冬用の服が売れています」という答えが返ってきた。それと共に、価格も少し上がっているそうだ。
科学研究所前交差点で、ダカ大学の学生アブドゥル・ロシドさんと話をした。「キャンパスの中は他の所より少し寒いです。薄い毛布では寒さをしのげません」。それでニールケトに綿入りの掛布団を買いに来たという。布団が出来上がるまで時間がかかるので、その間に冬用の服を買いにエレファント・ロードに行くところだと語った。
ファッションハウス「O2」は、ダカ市内に9つのアウトレットを持つ。経営者のジャフォル・イクバルさんは「ここ2日間で冬用の服の需要が高まっていて、昨日金曜日には最高の売り上げを記録しました」という。「私の店だけではなく、9つのアウトレットすべてで冬服の売り上げが最高となりました」とのことだそうだ。
冬のこの厳しい寒さはいつまで続くのだろうか。気象庁のボズルル・ロシド気象官に聞いてみたところ、あと3,4日はこの寒さが続くだろうとの答えが返ってきた。「しかし、ダカの今の寒さを寒波ということはできません。1月5日金曜日も最低気温は摂氏11.5度で、風速は時速5〜10kmでした」。気象庁によれば、気温が摂氏10度を下回ったときにそれを寒波といい、さらに6度以下になった場合に大寒波と呼ぶということだ。
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(翻訳者:坪井優光)
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