サウジアラビアで45人のバングラデシュ人新型コロナウイルスで死亡。労働者たちの厳しい日常
2020年04月28日付 Prothom Alo紙


新型コロナウイルスの感染により、中東諸国ではサウジアラビアでこれまでに最も多い死者が出ている。さらに中東の国々の中で、最も多くのバングラデシュ人が新型コロナウイルスで死亡しているのもサウジアラビアとなっている。(世界の新型コロナ感染に関するデータを提供しているウェブサイト)ワールド・メーターが月曜日に公開したデータによれば、サウジアラビアでは外国人も含めて18811人の感染が確認されており、うち144人が亡くなっている。首都リヤドにあるバングラデシュ大使館やジェッダの総領事館、また現地在留邦人などからの情報によれば、新型コロナウイルスが原因で亡くなった144人人のうち45人がバングラデシュの国民だ。感染が確認されたのは1690人となっている。中東諸国の中で最も多くのバングラデシュ人が新型コロナウイルスに感染し亡くなっているのがサウジアラビアだ。
新型コロナウイルスの感染の一方で、移民労働者の一部は食糧不足に悩まされている。またフリービザで入国した移民労働者らは本国送還を迫られてもいる。その背景には新型コロナウイルスの蔓延という厳しい状況の中で、石油価格が史上最も低いレベルまで下落している現実がある。このため移民労働者たちが大きな経済的危機に直面することになっているのだ。
プロトムアロ紙にはこの10日間ほど、サウジアラビアで働いている労働者たちからも食糧危機問題を訴える声が届くようになっている。さらに今後の雇用に関する不安も多い。バングラデシュのゴラム・モシー駐サウジアラビア大使はプロトムアロ紙に「バングラデシュ人労働者たちの食糧危機問題を考慮して、大使館は既にウェブサイトやフェイスブックを使った公報で、援助が必要な人は名前を登録してほしいと呼びかけた。これに基づき、約5000人に対し優先的に食糧援助を実施している。この他にもIOM(国際移住機関)や国際赤新月社などの国際機関と海外在住の富裕なバングラデシュ国民の協力により、移民労働者を対象に食料が提供されている」と語った。
不法滞在者の帰還問題について同大使は「バングラデシュからの移民労働者のうち何人を帰国させることになるのかについては、今のところサウジアラビア当局からは正式に何も言ってきていない。しかし石油価格の大幅な下落により今後サウジ経済は危機に直面することになり、その結果移民労働者の雇用不安が生じる恐れがある」と話した。
サウジ駐在の外交使節団関係者や現地で暮らす労働者たちは、バングラデシュ人労働者たちの間での新型コロナウイルス感染についての不安を口にする。こうした人たちは匿名を条件に、現在の一番の不安はコロナの感染と食糧確保の問題だ、と語った。さらに今後の就業不安もある。特に在留の労働者たちは密になっての生活を強いられている。それ以外に方法がないのだ。シンガポールでは第二次の新型コロナウイルス感染が起きたが、それと同じことがここで起こったとしても驚くにはあたらない。シンガポールと同様、サウジアラビアでも労働者たちは狭い居住スペースにかたまって暮らすことを余儀なくされているからだ。こうした労働者たちは大金を費やしてサウジアラビアに働きに来ている。渡航のために使った金を回収するには、健康のリスクを背負ってでもここで暮らすほかはない。このような生活には感染のおそれが常につきまとう。
ジェッダ駐在のフォエサル・アハメッド・バングラデシュ総領事は昨日月曜日、携帯電話でプロトムアロ紙に次のように語った。「今月の初めに当総領事館の労働担当参事官を団長とする代表団が、4千人以上のバングラデシュ人の健康調査のためにメディナを訪れた。労働者たちが健康診断受診を拒んだため、サウジ当局の要請で外交団の代表として派遣したものだ。まず2千人を検査したところ89人の感染が確認された。残りの2千人の中にも感染者がいると推測される。こうしたことの結果として、コロナウイルスに感染した労働者と接触した他の人々にも感染のリスクがあるのはもちろんだ」。
バングラデシュ人移民労働者の食糧危機問題について、フォエサル・アハメッド総領事は「ジェッダの総領事館は、緊急に食糧援助を必要としている少なくとも1万5千人の氏名を登録し、総領事館の予算に基づき、5千人の労働者に優先的に食糧の配布を始めた。当初は指定した日に決められた場所での配布を行っていたが、夜間外出禁止令が強化されたために支障が生じたので、現在は食糧の配布を容易にするために、登録された労働者に対してオンラインでクーポンを渡している。労働者たちはそのクーポンで決まった金額の食材をスーパーマーケットから購入している」と語った。

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(翻訳者:八百板翼)
(記事ID:871)