ダカの空気4年間で最も汚れ少なく
2020年05月10日付 Prothom Alo紙
(コロナウイルスで建設作業と運輸がストップした結果、ダカの大気汚染は改善された:資料写真)
ダカの大気の汚染度は、過去4年間のうち今現在が最も低くなっている。昨年4月と今年同時期の大気の質を比べると、大気中の汚染物質は少なくとも12パーセント減少している。世界の大気の質を観測している国際機関エア・ビジュアルが提供したデータからこのことが分かった。
その一方でバングラデシュ環境局の大気観測センターの統計によると、ダカの大気汚染率は先月、前年の同じ月と比較して30パーセントほど改善が見られた。また、スタムフォード大学(ダカにある私立大学)大気圏汚染研究センターの統計では、過去46日間でダカの大気汚染率は前年同時期から20パーセントの改善が見られている。コロナウイルスの感染拡大に伴い、運輸、建設作業がストップしていることが大気の質の向上に繋がったと関係者たちは見ている。
しかしながら、大気汚染に悩まされている世界の他の町みると、ダカの改善状況はかなり低いものとなっている。インドのデリーやコルカタ、パキスタンのコラチ、アフガニスタンのカブールといった町は、最も空気が汚れている都市のリストで上位10位から外れたのだが、ダカは昨日土曜朝から夜の8時までの間、大気汚染の度合いの非常に高い都市中1位から5位の間を上下していた。夜の7時時点ではダカは2位で1位はジャカルタ(インドネシア)、3位がハノイ(ベトナム)となっていた。
これについて政府環境局大気調査部のジアウル・ホク部長はプロトム・アロ紙に次のように語った。「ダカの大気汚染の原因となっている運輸と建設工事がストップしていることから、大気の質の一定の向上が見られた。しかし、大気汚染の一番大きな原因となっているレンガ工場のうち80パーセントが現在も稼働しているため、期待したほどの向上はなかった」。環境局はダカを含め、国内11の主な都市の大気汚染度の観測を行なっているが、3月15日以降はダカ以外の都市の数値を発表していない。ダカの大気汚染観測情報は2、3日おきに更新、公表されている。
環境局ではまた、3月と4月、大気中に存在する微小粒子状物質PM10とPM2.5の量比較を行なった。その結果、3月から4月にかけて、PM10の値は162μgから145μgに減少し、PM2.5の値は68μgから45μgに減少したことが明らかになった。
環境局大気汚染観測センターによると、昨年同時期と比較して30パーセントの向上が見られたということだ。このような大気の質向上の主な背景として、環境局大気汚染観測センターは、大気汚染を起こす主要な原因となっている活動が現在停止していることを挙げる。交通量は以前に比べ非常に少なくなっている。ダカのほとんどの場所では建設工事も止まっている。特に首都高速鉄道や高架自動車道のような大規模インフラ設備の建設がストップしたことで、粉塵による汚染が起きていない。
大気汚染問題に詳しいダカ大学のアブダス・サラム教授はプロトム・アロ紙の問いに対し、「政府はロックダウンの結果得られた大気汚染の改善、汚染率の低い状態の維持を図るべきだ。そのためにはロックダウン一気に解除するのではなく徐々に解除するようにし、今後はダカをいくつかの区域に分け、それぞれの区域を封鎖する措置をとることで大気の質の改善を図るべきだ」と答えた。
スタムフォード大学大気汚染研究センターの調査によれば、ダカの空気が「健康に非常に害をもたらす」レベルにあった日数は昨年3月25日から5月9日までの間に5日間あったのに対し、今年の同時期には2日に減少した。また「健康に害をもたらす」レベルの日は16日間から10日間に減り、一方「中程度または良好な大気」とされた日は昨年の2日から12日に増えた。
この点に関してスタムフォード大学のカムルッジャマン・モジュダル教授はプロトム・アロ紙にこう述べた。「現在の状況をより深く分析する必要がある。それを通じてダカの大気汚染を起こしているどの原因をどのように減らしていくことができるかが明らかになっていくだろうし、またそれによってダカの大気改善のための計画を立てることが可能になるだろう」
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(翻訳者:小野田莉子)
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