二重国籍と公職
2020年07月20日付 The daily Jang紙

首相の特別補佐官15人中7人が二重国籍の保有者であるという問題は、その詳細は内閣事務局の関係筋によって公表されたのだが、次の点で驚くべきことである。すなわち、最高裁は既に約1年半前に政府の要職に二重国籍者を任命することを安全保障上の脅威であるとの判断を下していたからである。2018年12月中旬に時の最高裁長官サーキブ・ニサール判事を長とする二人法廷は、判決文の中で二重国籍者が公職に就くことに対してパキスタンでは全面的に縛りが課されるべきとの判断を下していたのである。判決の中では、政府に対しこの関連で議会で早急に明確に立法化の措置が進められるよう指示も為されていた。しかるに、内閣事務局の関係筋により二重国籍の保有者であることが判明した7人の首相特別補佐官の任命は最高裁のその判決が下された後に為されたのである。「デジタル・パキスタン」担当特別補佐官ターニヤ・アエドルース女史*はカナダとシンガポールの国籍を有しているが、その就任は今年の2月である。昨年12月に国家安全保障担当特別補佐官に任命されたムアイヤド・ユースフ、昨年の4月に石油担当特別補佐官に就任したナディーム・バーバル、そして今月初旬に電力部門担当特別補佐官に就任したシェヘザード・カースィムの3氏はアメリカ国籍を有している。議会調整担当特別補佐官ナディーム・アフザル・チャン氏はカナダ国籍を有し、その任命も上記の判決後の昨年1月である。在外パキスタン人問題担当首相特別補佐官であり、イギリス国籍の保有者でもあるズルフィー・ブハーリー氏は今年5月13日に就任している。また、アメリカのグリーン・カード保有者の政治調整担当首相特別補佐官シャハバーズ・グル氏も同日現在の職に就任した。法治主義を掲げる政府が最高裁の明確な判決にもかかわらず、政府の要職に二重国籍者をこのように次から次へと任命するという事態は全く理解に苦しまされる。法廷の判決が求めるところのものは、このような人事を控えるというだけでなく、過去20ヶ月に亘るこの期間の間に裁判所の指示に従い議会での立法化の措置も既に遂げている事態である。しかし、その方向への進展がないということは、政府には最高裁の判決を実行に移すつもりがないのではないかという疑念を強める。また、そのような見当はある著名な首相特別補佐官の1年前に公表された次の発言からもつけることができる。曰く、「首相は二重国籍を有するパキスタン人を政治の場に任用するという決意を固められました。これらの人々は今後総選挙に出馬する資格も有することになりましょう。」と。しかし、仮に政府の責任者たちの考えがまさにこのようであるとすれば、判決を見直しを求める嘆願書が提出されて然るべきであるし、今もって司法や法の優越が求めるところのものは、その精神に法ってその判決を速やかに実行に移すことに着手するか、手続きに従ってそれの見直しを求めて裁判所に伺いを立てるかの二者択一である。[ところで、] 上記の報告書では、特別補佐官の何億何十億ルピーにも上る資産の詳細も公表されている。公正な責任追及の求めるところのものは、彼らの資産とその出どころとの整合性を示す証拠も検討に付すことであり、収入源と資産の整合性が証明された場合にのみ本当の措置が実行に移されるというものである。

*訳注:彼女はこの疑惑のために2020年7月29日に同職を辞任。

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(翻訳者:近悠矢)
(記事ID:911)