ガソリン価格の一層の値上げ
2022年05月28日付 The daily Jang紙

国民を更なる物価高騰から守るためのあらゆる可能な試みにも拘わらず、我が国を経済破綻から救うため、政府は最終的にガソリンとディーゼル油の価格を一気に1リットルあたり30ルピーの値上げに踏み切らざるを得なくなった。その理由は、国際通貨基金当局が前政権の末期、[融資の]取り決めに違反しつつ、石油製品に与えられた補助金の取り止めなくして9億ドルの分割融資に応ずる用意がないためである。したがって、政府の発表によると金曜日から価格はガソリンが1リットルにつき179.86ルピー、ディーゼル油は174.15ルピー、軽油は148.31ルピー、そして灯油は155.56ルピーになる。ただし、補助金の形でパキスタン経済にのしかかっていた日毎40億ルピーの負担はこの決定で顕著に軽減されるであろう。ミフターフ・イスマイール連邦財務相によると、石油製品価格の値上げはIMF支援計画の再開とパキスタンの破綻はないという保証と同義であるという。財務相のこの発表からルピーに対するドル及び原油の価格高騰を前にして当面政府には上記の措置以外打つ手なしであることが明らかである。パキスタン正義運動(PTI)政府がそのまま存続していたとしても、最終的にはこの措置に行き着かざるを得なかったであろう。
パキスタンの石油製品の価格は今も近隣のインドやバングラデシュよりは安い。そこではガソリンの販売価格はそれぞれ1リットルにつき252ルピーと205ルピーである。イムラーン・ハーン氏が2018年に首相に就任した当時、ガソリンは1リットルにつき95.24ルピー、ディーゼル油は112.94ルピーであった。その時点から2022年2月28日までガソリンは総体的に1リットルにつき64.62ルピー、ディーゼル油は58.79ルピーの値上がりである。次のことも言及に値しよう、すなわち、イムラーン・ハーン前首相がガソリンとディーゼル油の価格の引き下げを発表したとき、IMFは60億ドルの支援プログラムを停止したのであった。
シャハバーズ・シャリーフ氏率いる新連邦政府成立後45日間、不確実な状況が続き、石油への補助金という名目で我が国経済への財政負担は増大しつつあった。もし政府がこの事態の推移を放置したとすれば、外国から高価な金利で取得した債務は無意味となっていたであろう。IMFを含む経済のスペシャリストや政府筋によれば、今回石油製品の価格になされた1リットルにつき30ルピーの値上げは十分ではないという。石油に注ぐ補助金の水準がゼロにならない限り相次ぐ値上げは続くことが必至であり、それは合算すると1リットルあたり86ルピーである。野党の経済の専門家らの見立てにおいても、前述の措置が不可避であることは織り込み済みである。石油製品の価格の値上げ及び増大する需要に歯止めを掛けるために政府には、現在の危機の中1週間の休日の数を増やして3日にしようという案もある。
更には上記の1リットルにつき30ルピーの値上げによりインフレ率は13%から伸びて20%にまで到達する可能性がある。これを見据えて、見込み通りに補助金がゼロになった場合、電気料金の値上げだけでなくインフレ率が25%をも超えるかもしれないことは想像に難くない。輸送費の値上がりも確実であるが、いかなる部門でも石油製品の価格の値上がりより、その値上げ率を低く抑えるようしなくてはならない。インフレの負担は概ね貧しい日雇い労働者や被雇用のサラリーマン階層にのしかかる。したがって政府の経済政策立案者らは貧しいあるいは定収入階層をインフレの影響から最大限守るために可能な限り早急にあらゆる可能な措置を実施しなくてはならない。

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(翻訳者:倉科杏奈)
(記事ID:1045)