モハッター・パレス 文化遺産
2021年11月04日付 The daily Jang 紙
建国の父の街(カラチ)の街区、クリフトンに建つ歴史的建造物、モハッター・パレスは、ファーティマ宮とも呼ばれているが、その土地所有権を巡る係争の審理がここ何十年も法廷で続けられてきた。過日この一件の判決を下しつつ、スィンド州高等裁判所はこの建物を女子医科歯科大学に改装するよう命じた。これに対する様々な社会的、文化的各方面からの抗議を考慮してスィンド州政府はこの件を最高裁に上告すると発表した。ところで、ムガル及びジャイプール建築様式の傑作であるこの宮殿は、ヒンドゥー教徒のマールワーリー商人、ラーエ・バハードゥル・シヴラタン・モハッターが自身の病気の妻のために1933年に建設したものである。そして、インドに移住するに先立ちこの建物をパキスタン政府に贈呈した。パキスタン独立後の最初の何年かはこの建物は外務省の事務所として使用された。その後これは国母ファーティマ・ジンナー女史に提供された。同女史の死後、後継者の間でモハッター・パレスの所有権を巡り争いが勃発した。しかし 高等裁判所はモハッター・パレスをその妹、シーリーン・ジンナー女史に委ねた。彼女はこの建物を慈善事業のために充てた。彼女の死後、再び彼女の後継者の間で建物獲得を目指して訴訟合戦が始まった。これを受けて、法廷の命令で建物は封鎖された。スィンド州政府はモハッター・パレスを買取り、これを州政府の文化庁に委ねた。するとこの歴史的遺産は改修の上、博物館にリニューアルされた。今やこれは様々な社会的、文化的活動の中心である。しかし今回の法廷の判決を受けて、この係争は再燃する結果となった。州政府はあらゆる法的側面を考慮に入れ、万全の態勢でこの件の上告に臨むべきである。そうすれば、この歴史的建造物はパキスタンの文化遺産としてその本来の姿のまま残り得よう。
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翻訳者:山本星玲奈
記事ID:1007