家庭内暴力に関連する諸問題 ハムシャフリー紙
2005年10月11日付 Hamshahri 紙

一見すると新聞の事件欄は、悲惨な出来事を報じることが当たり前のことのようになっているが、時には事件記者にとってさえ、身の毛がよだつような事件がある。

例えば、「男性、花瓶で麻薬中毒者の兄弟を殴殺」。「麻薬中毒の息子、金欲しさに父親を殺害」。「男性、テレビを投げつけ妻を殺害」。「男性、妻を殺害後、子どもを連れ逃亡」。「男性、兄弟を銃で殺害」。

法律専門家のガーセム・シャアバーニー教授は、こうした事件について次のように話している。「残念ながら我々の社会は、法の遵守や法に対する敬意、法律や司法当局に判断を委ねるという社会教育が全く足りていない。人々はまだ、何らかの暴力に遭遇した場合、法的資格を有する当局の判断を仰がなくてはならないという社会常識を理解していない。このため、法を犯したり、争いごとになるや、私刑を行ってしまう者が現れてしまう。」

一方、貧困や麻薬の常習は、多くの凶悪犯罪の温床となっている。麻薬中毒者には正常な認識や適切な論理を働かせる能力がなく、悲惨な凶悪犯罪は、こうした人々によって引き起こされているのである。

シャアバーニー教授は、家族内で起こる殺人事件の動機について、「悲しむべきことであるが、家族内で起こる殺害事件は、家族の体面を保つために起こることもある。我々の社会は、家族の体面に関わる問題について非常に繊細な面を持っている。このような事件の容疑者の多くは、法の存在を認識することなく、私刑を行った者たちである。」と話している。

麻薬中毒や法律の無知に端を発する家庭内の争いに関しては、別の面もある。シャアバーニー教授は判決が早期に得られないことも、家庭内暴力が発生する要因の一つと見て、次のように述べる。「たいへん遺憾なことだが、公判やそれにまつわる時間の長期化により、権利の回復や失効が無益なものとなっている。」

シャアバーニー教授は、人々が法に無知である主な要因として国のメディア政策を挙げ、国営放送がこの分野に重大な欠陥を抱えていると考える。「何度となく、さしたる内容もない番組ばかりを我々に見せ、社会的に重要な多くの問題、特に法律に関する情報は全く放映していない。ならず者やごろつきの掃討作戦プログラムが、ありがたいラマダン月の終わりまで延長されようが、粗暴に振る舞う人々が社会から消え、暴力がなくなる気配はない。」

暴力が家の扉を開けて、平穏な家庭の中に入り込むことについて、シャアバーニー教授は、更に次のようにも述べている。「家庭内暴力の構造化には、なによりもまず宗教的なしつけや道徳の基本的な教えと関係がある。残念ながら家庭での宗教的教えは成果を得られず、我々の社会にあるべきイスラーム文化は色あせてしまっている。この文化の欠如が、外来の暴力的文化が浸透する呼び水となり、家庭内暴力を広める原因となっているのである」。

近年、西側文明の粗野で不健全な映画が、我が国に広まっている。そのせいで、一部の人々の間に暴力的な感情が植えつけられていることを我々は目の当たりにしてきた。

シャアバーニー教授は、宗教的、道徳的文化の貧困さがこのような事態を引き起こす主たる要因であると強調し、次のように話している。「もし正しいしつけが家庭内で行われていれば、決してこのような凶悪犯罪は起こりえない。宗教の教えに親しむようになれば、正義の実現のためには、資格を有する当局へ照会しなければならないということがおのずとわかるようになるだろう。あらゆる暴力や非人間的な行為は本来、人間として正しい生き方や道徳観の欠如に起因するからだ」。

シャアバーニー教授は最後に「幸運なことに、我々には豊かな文化的、宗教的源泉がある。しかしそれらを普及させるには、様々な困難が待ち受けている。」と述べた。

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( 翻訳者:久野華代 )
( 記事ID:1088 )