CHPへ悪い知らせ:欧州議会・社会主義インターナショナルから排除か(Radikal紙)
2005年10月15日付 Radikal 紙
欧州議会の左派グループは共和人民党(以下CHP)に期待を見出せずに終わった。CHPは社会主義インターナショナルへ参加するため甚大な努力をしてきたが、排除される見通しだ。
CHPが切望してきた社会主義インターナショナルへの参加について、来月から討論が始まる予定である。この議論は同時にヨーロッパ社会主義政党の出発点となりうる。欧州議会の社会主義派、すなわちヨーロッパ社会主義(以下PES)は、2006年11月にトルコに関しての決議を下すため報告書を準備中である。この報告書に関連して、先週PESの幹部委員会がイスタンブルとアンカラで会談を行った。この委員会の会長は前フィンランド首相で、現在はAPの社会主義派議員であるパオヴォ・リッポネンであり、副会長はギリシャの前外務大臣でありPASOKの党首ヨーゴ・パパンドゥリューである。
■短時間の会談
通常は、この委員達への接待は“兄弟政党”であるCHPが行うものとされる。CHPは単に社会主義インターナショナルへの参加政党というだけでなく、同時に欧州議会のPESの、つまり欧州議会の社会主義派のメンバーでもあるからだ。しかしトルコはEUへの正式加盟国ではないため、PESの中でもCHPの地位は“準メンバー”となる。そのためCHPはトルコを訪れた委員達に接待も協力することもできなかった。それどころか委員への補助はすべてアテナのPASOKの秘書が引き受けた。委員会はCHPの党首デニズ・バイカルと会談を行う予定であったが、PESのメンバーガ35分遅刻をし、バイカルの方もアッティラ・イルハンの葬儀に参列するため出発の時間が迫っていたため、両者は立ち話程度の会談をし、残りの話し合いはバイカル不在で行われた。
しかしイスタンブル選出の国会議員ゼイネプ・ダムラ・ギュレルと行った会談は興味深い。ゼイネプはCHP党支部代表として、EUの政策についての批判をラディカル紙に投稿したことで注目を浴びた人物である。さらにPESの委員がイスタンブルの様々な市民組織と行った会談で、こうした組織がCHPに向けた批判も興味深い。例えばトルコにおける左派の議論で、CHPの立場はマルクス主義ではなくケマル主義に起源を持つとされ、トルコにおける左派の分裂は不利であると話し合いがなされた。
トルコが一体化していく過程で、ヨーロッパの左派にはトルコの左派が問題であると印象を与えた。ヨーロッパの左派にとって、トルコの左派のヨーロッパにおける地位、およびヨーロッパの左派の将来は、ブリュッセル、コペンハーゲン基準と同様に重要性を持つのである。
■CHPへの不満
イスタンブルでの会談では、トルコの左派の状況に加え組合、人権、女性問題等の現状と取り組みがテーマとなった。人権問題や少数民族問題についての発表においては、トルコの野党(CHP)の姿勢が民主化や人権問題に関する議論の妨げとなっていると指摘された。またCHPのアルメニア学術会議についての姿勢は、トルコで問題となっている言論、学術の自由を促進するどころか妨げたと批判された。委員会のメンバーは、国会議員の弁解にも関わらず、「このような状況を我々は把握している」と述べた。ヨーロッパ左派は、CHPが軍の政治介入に沈黙していること、改革に関してはやる気がないことを理由に、CHPの社会主義インターナショナルへの参加を議論することになりそうだ。
********************本記事への解説********************
欧州議会(European Parliament)は、EU市民によって直接選挙で5年ごとに改選される欧州連合(EU)の議会である。欧州議会では、各国の保守政党(イギリス保守党・ドイツキリスト教民主同盟など)の連合である「ヨーロッパ人民・民主党グループ」と各国の社会民主主義政党(イギリス労働党・フランス社会党・ドイツ社会民主党など)の連合である「ヨーロッパ社会主義グループ」が二大勢力である。
共和人民党(CHP。党首デニズ・バイカル)はトルコの中道左派政党の一つであり、現在の最大野党である。(もう一つは民主左派党。以下DSP。党首ビュレント・エジェヴィト元首相)CHPは名前こそアタテュルクのCHPと同じであり、その後継政党であることを主張しているが、80年のクーデターで閉鎖されているため組織的には断絶がある。ビュレント・エジェヴィトは57年にCHPに入党し、70年代にはCHPの党首を務めているが、エルダル・イノニュ(アタテュルクの後継者イスメト・イノニュの息子)と折り合いが悪く、83年の民政移管後にCHPを離脱し単独でDSPを設立した。一方エルダル・イノニュは社会主義人民党を設立し、小政党との離反、合併を繰り返した後、CHPと改名し90年代に党首の座をデニズ・バイカルに交代している。
(文責:大島 史)
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( 翻訳者:大島 史 )
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