アメリカがシリアに「カッザーフィー的取引」を提案(アル・ナハール紙)
2005年10月16日付 Al-Nahar 紙

■ アブー・アル=ゲイト・エジプト外相「我々はシリアと西側の架け橋造りに努めていく」
■ 『タイムズ』誌「アメリカがシリアとの関係改善へ向けた「カッザーフィー的取り引き」を提案」

2005年10月16日付アル・ナハール紙(レバノン)HP1面

【AFP、タイムズオンライン】

 イギリスの『タイムズ』紙は昨日、アメリカ政府がシリアのバッシャール・アル=アサド大統領に対し、レバノンの故ラフィーク・アル=ハリーリー元首相暗殺事件の国際捜査への全面協力、レバノンへの内政干渉とヒズブッラーへの支援停止を含む、一連の譲歩を含む取り引きを提示した。一方、エジプトのアフマド・アブー・アル=ゲイト外相は、シリア領内で作戦を行うアメリカの計画が取り沙汰される中、エジプトがシリアとアメリカの間に対話の架け橋を築くことに努めていると発表した。
 
 『タイムズ』誌によるとアメリカの提案は、リビアの国際的孤立の解消とロッカビー事件の解決のためにリビアの最高指導者ムアンマル・アル=カッザーフィー大佐に提示された提案と類似していることから、「カッザーフィー的取引」と名付けられているという。ロッカビー事件とは、スコットランド地方のロッカビー村上空でパン・アメリカン航空機が爆破された事件。

 また、アメリカおよびアラブ諸国の高官によれば、アメリカの提案はシリアに対する国際的制裁をアサド大統領が回避できるようにするものであり、この問題はドイツ人捜査官デトレヴ・メリス氏が故ハリーリー元首相暗殺事件の報告書をコフィー・アナン国連事務総長へ提出する来週には解決される可能性があるとのことである。さらに同紙は、この報告書にはシリアの情報機関幹部の名前が挙げられていることが予想されると指摘した。さるアラブ国家の地位の高い外交官は「危機的な日々がアサド大統領を待ち構えている。大統領の味方は少なくなった。彼はこの困難な状況を脱するために出来る限りのことをしている」と語った。

 『タイムズ』紙によれば、アメリカの提案は大変限定的なもので、その中に4点の基本的な事柄が含まれている。その第1点は、故ハリーリー元首相暗殺事件関連の捜査に関して国連の捜査官にシリアが全面的に協力し、捜査官らのいかなる求めにも応じ、容疑者を全て法廷に引き渡し、外国の司法当局に従わせること。第2点はレバノン内政へのさらなる干渉を止めること。第3点は、シリア領内からイラクへ侵入する者たちへの資金提供、訓練、人材募集を止めること。第4点は、ヒズブッラーやイスラム抵抗運動ハマース、アル=ジハード・アル=イスラーミーなどの武装集団に対する支援を停止することである。

(中略)

■ ダマスカスの反応

 ダマスカスでは、『ティシュリーン』紙が「アメリカは一体シリアから何を望んでいるのだ。これはシリアとアメリカの仲を取り持とうとするアラブ諸国その他の各方面から投げかけられている問いである...。我々は、回答がなされることはないだろうと考えている。何故なら、ジョージ・ブッシュ政権は何ら論理的な答えを持っていないし、また本来ならば世界平和を守り保証しなければならない国を、世界平和にとって最も危険で、無秩序を広め、戦争を起こし、国々を破壊するような国にさせている理由について、いかに問われても答えていないからだ。」という問いを投げかけた。

(後略)



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( 翻訳者:村山誓一 )
( 記事ID:1113 )