イラク国民投票 初期集計結果では憲法草案承認の見通し(アル・ナハール紙)
2005年10月17日付 Al-Nahar 紙
■ 初期集計結果では憲法承認の見通し
■ ニヌワ州がサラーフッディーン州とアンバール州の期待を裏切り賛成へ
2005年10月17日付アル・ナハール紙(レバノン)HP1面
【AP、AFP、ロイター】
昨日、イラクの有権者はアメリカがその起草に貢献したイラクの新憲法草案を承認したことがほぼ確定したもようである。土曜に実施された国民投票において草案を否決に追い込むために、スンナ派アラブ人が多数投票に向かい、激しい反対の運動を展開したものの、賛成の動きがそれを上回った。さっそくジョージ・ブッシュ米大統領は国民投票を賞賛して、テロリストに立ち向かっているイラク人にとって「とても建設的な日である」と評した。
最初の開票結果によると、広く予想されていた通り宗派ごとに意見が割れていることが明らかになった。イラク西部で米兵6名の死亡をアメリカ軍が発表したが、厳しい治安措置を実施したことが功を奏して投票は平和に行われた。
18あるイラクの州のうち少なくとも3州で3分の2の反対票が投じられれば、たとえイラク人の大多数が賛成したとしても、憲法草案は否決されるというルールの下で国民投票は実施された。スンナ派地域の一部では多くの人々が投票に参加したにもかかわらず、部分的な集計結果は、憲法に反対するスンナ派アラブ人がそれを否決するのに必要な票を集めることが出来なかったことを示している。イラクのホシヤール・ズィバーリー外相はアメリカのテレビ局CNNとの会見で、「我々に伝わってくるすべての指標は、賛成票が多数だったという前向きなものだ。...これは実に大きな成果となるであろう。したがって私の予測では、憲法草案は承認されるだろうと思う。」
(中略)
■ 投票参加率63~64%
選挙管理委員会のフセイン・ヒンダーウィー委員長は、投票率は63~64%の間で推移し、上昇する可能性もあると発表した。サッダーム・フセイン体制の崩壊後最初の選挙の投票率は約58%であり、スンナ派の大多数はボイコットした。国民投票の結果は、南部のシーア派諸州での憲法草案に対する幅広い支持、それに対し北部と西部のスンナ派地域における広範な拒否を示している。
スンナ派指導者サーリフ・アル=ムトゥリクは、アメリカの仲介によってイスラム主義政党のうちの一つとの合意が成立し、来年に新憲法を見直すことと引き換えに「賛成」に投票するようこの政党が呼びかけたにもかかわらず、イラク住民の20%を構成するスンナ派の80%以上が憲法草案に対して反対票を投じた、と明らかにした。
そして、ライス国務長官の声明に言及して、同声明は「憲法草案を通過させよとの選挙管理委員会に対する指示に等しい」と述べ、どのような結果であれその正当性は疑わしいものであると主張した。またムトゥリク氏は、多くの監視団員を通して得られた結果によれば「国民を分裂させることを意図するこの憲法に対してイラク国民が強力な反対の声を上げた」ことは確実であると語った。そして「結果の捏造や力による憲法の可決がもたらす危険性」について警告し、「なぜならそれは抑制することができない反応を生み、過激な方向へと推し進めるからだ」と語った。
選挙責任者の話によれば、住民の多数がスンナ派アラブ人で構成される3つの州の1つであるサラーフッディーン州では70%が反対票を投じたという。またラマーディを州都とするアンバール州でも憲法は否決される見通しである。
しかし、モスルを州都とするイラク北部のニヌワ州では憲法反対勢力の勢いが後退しており、憲法草案否決の可能性は低いと見られる。政府高官が語ったところによると、ニヌワ州の有権者が投じた投票総数64万3千票のうち41万9千票が開票され、草案支持者の割合は75%に達しているという結果が現れた。それは即ち、この州において憲法草案が否決される可能性が退けられたということである。
クルド人の指導者たちは、モスルをクルド人有権者で埋めつくしたというスンナ派アラブ人からの非難を否定した。アーディル・アル=ラティーフ選挙管理委員長が語ったところによると、多くのスンナ派住民が居住するディヤーラ州では、20%が草案に反対したのに対して、70%が賛成票を投じたという第一次結果が出たということである。
またキルクークでは有権者の79%が国民投票に参加し、そのうち62%が草案に賛成した。一方反対率は35%であり、無効票2%である。キルクーク州議会のラズカール・アリー議長は「キルクークでは、国民投票は大きな勝利を達成した」と語った。
(後略)
現地の新聞はこちらから
( 翻訳者:寺嶋直之 )
( 記事ID:1121 )