■アラブ連盟ムーサー事務局長：バグダードで困難な任務を開始
■ムーサー事務局長：アラブ世界はイラクのセキュリティ・ネットである
■ジャアファリー首相が明言：イラクはアラブの家の礎石である
■バグダード北部で2件の爆発、アメリカ兵10人死傷

【バグダード　マスウード・アル＝ハナーウィー、諸通信社】

　80台もの車両・戦車が参列する厳重警備のなか、昨日朝アラブ連盟アムル・ムーサー事務局長はイラク首都バグダードへの訪問を開始した。日程は4日間、目的はイラク社会の下にある全ての勢力が参加する国民会議の開催である。

　ムーサー事務局長は以前からイラクを訪れていたが、今回は2003年3月のアメリカ侵攻以後初めての訪問である。首相イブラヒーム・アル＝ジャアファリー博士とグリーン・ゾーンにある首相オフィスで会ってイラクにおける情勢の展開を把握し、続いてフーシャール・ズィーバーリー外相、ハージム・アル＝フサイニー国会議長、アブドゥ＝アル＝マフディー副大統領と会うことになっている。

　ムーサー事務局長は今回の訪問の間にイラク大統領ジャラール・アル＝ターラバーニー、副首相ガーズィー・アル＝ヤーウィル、シーア派指導者アリー・アル＝シスターニー師のほか、多くの政治的・宗教的指導者らと会う予定になっており、その中にはイスラム・シューラー［訳注：合議制決定機構］最高会議議長アブドゥル＝アズィーズ・アル＝ハキーム氏も含まれている。

　ジャアファリー首相と面会した直後にムーサー事務局長は、アラブ世界はイラクのセキュリティ・ネットであり、訪問の目的は新しいイラクの全ての勢力が同等に肩を並べるための扉を開くことであると述べた。ムーサー議長はすでにこのコメントを、アラブ諸国がイラクへアラブ連合軍を送る用意があるのかどうかという問いに対する返答として示していた。

　ジャアファリー首相はムーサー事務局長のバグダード訪問について、この訪問が重要かつ非常に時宜を得たものであり、アラブ連盟事務局長がバグダードにいること自体がイラクの歴史上の新しい局面であるとみなされる、と評した。

　またジャアファリー首相は、イラクはアラブという家のレンガであり礎石であると強調し、イラクはウンマ［訳注：共同体、民族］に関わる全ての事柄についてアラブ社会と協力し合う用意があると明言した。

　一方、イラク国会議長ハージム・アル＝フサイニーは、イラク社会全体の協調のために行われる会議の開催に力を貸すと表明した。

　ムーサー事務局長はバグダード国際空港到着直後に示したコメントの中で、イラクを訪れたのはアラブ連盟の事務局長としてまたアラブ諸国閣僚会議の理事として、イラクの様々な機構や人物とイラクの将来について話し合うためであると述べた。さらに「我々はイラクの将来について、それが国民の協調に基づく限り心配はしていない」と付け加えた。

　他方、イラク外相フーシュヤール・ズィーバーリーはムーサー事務局長のイラク訪問をアラブ社会によるイラク支援の始まりと見なし、アラブ諸国は現在の局面においてイラクに関する積極的・実効的・相互作用的な役割を持つだけに、アラブとしてイラクと相互関係を持つ初めての動きであるこの訪問は大きな重要性を持つと述べ、ムーサー事務局長に提示するつもりのまとまった提案があることを示した。

　ムーサー事務局長の訪問が始まったときもイラクでは暴力が続いており、アメリカ軍は昨日バグダード北部で別々に起きた2件の爆発によってアメリカ兵５人が死亡し他に5人が負傷したことを発表した。これにより2003年3月のアメリカ軍侵攻以来死亡したアメリカ兵の数は1981人に上った。

　その同じ頃イラク内務省内の情報筋は、バグダード西部のマンスール地区でチグリス小学校の屋根にカチューシャ・ロケットが着弾し、子供3人が死亡し他に4人が負傷したことを明らかにした。

　また、追放された前大統領の生地ティクリートからは裁判を非難するデモが繰り出し、デモ参加者らはサッダーム・フセインの絵を掲げて法廷は違法だとのアピールを叫び、警察部隊は空砲を打ってデモ参加者らを追い散らした。

　一方、サッダーム・フセイン弁護団メンバーであるヨルダン人弁護士アッサーム・アル＝ガッザーウィーは、同機構は来月11月28日に行われる次回開廷の準備として、24時間以内に機構委員長であるイラク国際法廷判事ハリール・アル＝ダリーミーの元に集まり、弁護活動の作業調整を行う予定であると発表した。

　またサッダーム・フセイン法廷は元イラク情報機関将校イスマーイール・アル＝シャイフの聴聞を決定した。シャイフ元将校は1982年のダジールでの虐殺の証人だと考えられているが、ガンを患っており健康状態を取り戻すのが遅れていると見られる。

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（ 翻訳者:森本詩子 ）
（ 記事ID:1178 )