欧州委員会EU拡大担当レーン氏訪土:トルコ国会の追加議定書承認を期待(Milliyet紙)
2005年10月08日付 Milliyet 紙
欧州委員会EU拡大担当オッリ・レーン氏は、追加議定書の承認のために政府から約束を取り付けたことを明らかにし、「親愛なる同胞たちよ、議定書を国会で通過させよう」と語った。
欧州委員会EU拡大担当のオッリ・レーン氏は、関税同盟条約加盟国をキプロス共和国(ギリシャ系キプロス)を含む10カ国に拡大することを盛り込んだ追加議定書のトルコ大国民議会での承認に関し、政府閣僚から保証を取り付けたことを明らかにした。エルドアン首相は「急を要するものでもないし、必要性もない」と答えたが、レーン氏は追加議定書は「承認のタイミングを逃すと交渉に悪影響を与える」と説得した。
昨日、外務大臣アブドゥッラー・ギュルとともにヘリコプターでカイセリの町を訪れたレーン氏はまず知事を訪問した。県庁訪問後カイセリ商工会議所のEU情報事務所を視察したレーン氏は、そこでの記者会見で「親愛なる同胞たちよ」という言葉で話し始めた。
■進展は改革次第である
カイセリが近代性と伝統を併せ持つダイナミックな都市であり、新しいトルコを象徴していること、ギュル外相がトルコ―EU関係に果たしている貢献のためにカイセリを訪問したことを明らかにしたレーン氏は、「我々の関係は新しい局面を迎えている。EUの世論はこれからトルコをもっと近くから見ることになるだろう。トルコが交渉の進展を確かなものにする道は、改革における進展を達成することだ」と語った。
レーン氏は追加議定書に関して次のように述べた。
「我々は約束を実行し、交渉を開始した。今度はトルコも約束を果たし追加議定書を国会の承認で通過させ、その後は議定書を完全に履行することが必要である。この件に関し、トルコ政府の閣僚から保証を取り付けた。閣僚たちによれば追加議定書の承認はうまくいくとのことである。議定書が承認されれば更に良い進展が確保される。もし議定書が適切なタイミングで承認されなければ加盟交渉に悪影響を与える。」
■学生にトルコ語を話した
カイセリ・エルジエス大学での討論会で学生たちにトルコ語で、「さあトルコよ、さあEUよ、手に手を取り合って進もう」と声をかけたレーン氏は、「トルコは近代性と伝統の間にかかる橋である。独自の文明だ。イスラームを他とは異なる方法で適用し、異なる宗教を保護する政教分離の国家構造をもつ国だ」と語った。またレーン氏は表現の自由はキリスト教ではなく一つの価値観の表現であると述べた。ある学生が手元のインターネットから得た情報を見せながら、「交渉過程で、トルコが分裂したらクルディスタンもEUに受け入れられる、などという表現があったことがブリュッセル・サミット成果文書に書かれている」と意見したが、レーン氏は「そのような文書はない」と反発を示した。
■カイセリスポーツのオッリ・レーン!
カイセリで様々な会談を行ったレーン氏は、トルコ航空のイスタンブル行きの飛行機が遅れたため、ギュル外相とカイセリスポーツのカルプザタンにある施設へ赴き、チームのトレーニングを見学した。サッカー選手たちと記念写真を撮ったレーン氏にギュル外相はカイセリスポーツのユニフォームと旗、そしてトルコ国旗を贈った。強くすすめられてユニフォームを着たEU幹部は、ボールをドリブルさせてギュル外相にパスした。監督のエルトゥールル・サーラム氏が外国人選手が必要だと言っていたことにかけて、「レーン氏はカイセリスポーツに新しく移籍した」とジョークを飛ばした。
■今度の金曜日は家でどっさりロクムを食べるだろう
・ギュル外相は、彼の故郷であるカイセリを訪れたレーン氏に空から町の様子を見せるために、ひと時ヘリコプターで町の上空を遊覧させた。
・カイセリの知事メフメト・オズハセキ氏は、レーン氏の訪問に際して、銀色のゴンドラに入ったトルコのロクムを贈り、これはカイセリでは女の子に求婚しにいくときに慣習として行われている方法だと説明した。オズハセキ氏は、「男の子側は喜ばしいことを始めるとき、“私たちの口が甘くなりますように”とカイセリのロクムを持っていく。私も“私たちの口がまずくなりませんように、甘くなりますように”と思ってこれをあなたに贈ります」と語った。娘が拒否すればどうなるのかと尋ねると、「同意は前もって確かめてあるんです」と答えられ、レーン氏は「花嫁の管理不行き届きですね」と笑った。
レーン氏は、「毎週土曜日は私たちの家では子どもたちのお菓子の日だ。今度の土曜日はトルコのロクムをどっさり食べるだろう。この贈り物がトルコとEUの新たな関係を象徴するものとなることを望んでいる」と述べた。
・カイセリの商工会議所で食事をしたレーン氏らには、メルジメッキスープ、かつお、アジ、チナコプ(青魚の稚魚)、くるみ入りテルカダユフ(線状の甘い練り粉菓子)、パストゥルマ(香辛料を使った塩漬けの干し肉、カイセリ名物)が振舞われた。
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( 翻訳者:清水 葉月 )
( 記事ID:1037 )