参謀総長「擁護も断罪もしない」:ハッキャーリ爆破事件続報(Radikal紙)
2005年11月12日付 Radikal 紙

共和人民党(以下CHP)党首バイカル:ススルルク症候群があるようだ。身内を擁護することも断罪することもしない。

 ハッキャーリ県シェムディンリ郡で11月9日に起きた書店爆破事件で、車に武器や爆弾を所持していた疑いで逮捕された人物が軍警察の隊員であったことは、政府を揺さぶった。タイイプ・エルドアン首相とアブドゥッラー・ギュル外相が事件について「“最後まで調査がなされる”、“犯人が誰であれその代償は払わされるだろう”、“どこが関わっていようとも容赦はしない”等と述べたことに対し、参謀本部から興味深い説明があった。
 
 大統領アフメト・ネジュデト・セゼルは、大統領官邸主催の「大統領文化芸術大賞」の式典の後、軍警察総司令官フェヴズィ・テュルケリへ質問をした。テュルケリはシェムディンリの事件が挑発であることを述べたが、それが誰によって行われたかについては答えなかった。テュルケリは「調査が終わるまでは何も言うわけにはいかない。治安部隊の力を考える必要があるだろう。冷静にならなないといけない。」と話した。逮捕された人物が軍警察の隊員であったことへの言及を避けたテュルケリは、ススルルク事件と同様の扱われ方をすることに対して不快感を隠さなかった。そして「その見方は正しくない、これは単なるローカルな事件だ」と見解を示した。
 
  陸軍総長のヤシャル・ブユカヌットも詳細が調査中であることを理由に返答をしなかった。しかしブユカヌットは「新聞に写真が載った下士官は私の部下だった。チェリック捜査の際に、ペシュメルゲ(クルド民兵)が我々に協力した時に側にいた。クルド語が上手だった。とても罪を犯すような人とは思えない。しかし事情聴取で明らかになるだろう。」と述べた。

 参謀総長のヒルミ・オズキョクの見解は少し異なる。オズキョクは「事件にはすぐに干渉が入った。ヴァン県の司令官はすぐにシェムディンリに向かった。我々は組織として聴取をしているし、司法的な聴取も行われている。私は内部の人間を断罪することも、擁護することもない。調査の結果を待つ 。司法を信じる。」と話した。セゼル大統領は、記者達の執拗な質問に対し「私は詳細な情報は得ていない。得ればきちんと説明する。」とのみ返事をした。

 野党CHPの党首デニズ・バイカルも、事件の犯人が公的な組織から支援されていた可能性に触れた。バイカルがシェムディンリ事件に関し、ラディカル紙に行った説明は次の通りである。
・恐ろしい事件である。調査のために現地に委員を派遣した。事件の詳細な説明が必要とされる。司法も大きな任務を負うことになる。
・調査は迅速になされ、結果は世論に公表されるべきだ。深刻な過ちがなされたことが明らかになるだろう。公的権限を利用し、公的機関から支援を受けながら、権限を越えた任務を行う人物がいるという印象を受ける。国家内部の地位を利用し、国家の権限を超えたことを行っている可能性がある。一種のススルルク症候群のようである。
・多様な面を持ち合わせた挑発的な事件であり、闇の側面を持つ。トルコはこのような事件をもはや傍観していることはできない。トルコがこのような事件を決して許さないことを強調していかなければならない。
 バイカルの言葉は、シェムディンリの事件が、国家機構の中に明らかに協力者がいるこをを暗に示している。エルドアン首相の昨日の発言でも、同様の暗示があった。「誰であれ容赦しない」の発言に見られるようにである。さらに重要なのはエルドアンの「国家と国民を対立させるようなことは絶対に許さない。」「将来に悪影響を及ぼす基盤を作るような動は決して許さない。」という発言であろう。
 政府が今回事件について迅速に調査を開始させたこと、与党、野党ともに責任者を弾劾するために、明白な説明を行ったことはススルルク事件の時には見られなかった対応である。しかしこれらの説明が口先だけのものとなってはならない。二つの理由からである。まず第一にトルコは、このような闇の関係に対して寛容の限界を超えた。第二にテロ対策の名の下に隠匿される違法行為が、非合法のPKKの活動の陰を薄くし、PKK問題が二の次にされてしまうのである。もはや誰もが国家権力の陰に隠れ、非合法行為を行うようなことはならないのである。



********************本記事への解説********************
本記事への解説は11月13日付けRadikal紙<「死のリスト」まで:ハッキャーリの爆破事件続報>に合わせて載せています。

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( 翻訳者:大島 史 )
( 記事ID:1285 )