エルドアン首相、シェムディンリの爆発現場を視察(Milliyet紙)
2005年11月22日付 Milliyet 紙
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、シェムディンリで爆発したウムット書店を訪れた。書店は旧クルド労働者党(PKK)党員で服役中のセフェリ・ユルマズが所有している。この訪問で首相は、一部の軍部関係者も関わった一連の事件を「放ってはおかない」と語った。
首相は「混乱した空気を好む者がいる。この空気に欺かれてはならない。我々は民主的権利の優越性を浸透させる。この怒りや憎しみを取り払おうではないか」と語り、裁判の公正な判決への期待を述べた。
■爆破された通り
ヴァンからヘリコプターでシェムディンリに入ったエルドアン首相は、11月1日の爆弾テロで被害を受けた67軒の家屋とオフィスを視察した。首相は、被害を受けた建物の早急な修復を要請し、続いてオジペッキ通りも回った。この通りには、11月9日の手榴弾攻撃の容疑で逮捕され取調べを受けているPKK党員ヴェイセル・アテッシュの標的であったとされる書店がある。エルドアン首相は、壇上に上がり約千人の国民に向かって呼びかけた。首相は「トルコは10年の代償を支払った」と強調し、「人間を殺害しても何も得られない」と述べた。さらにトルコが30年間で4万人の国民を失ったと明らかにし、「兄弟愛や共生」を呼びかけた。
■三本の危険ライン
エルドアン首相は、エスニックで宗教的で地域的なナショナリズムが三本の危険ラインであると繰り返し、「トルコ共和国は共通の上部アイデンティティーの下で一致団結し、個々の下部アイデンティティーも尊重する」と述べ、さらに、次のように話した。
「東部、南東部、東部黒海地方、中央アナトリア地方の特定の地域はいつも無視されてきた。エーゲ地方、マルマラ地方、南部地方は再興されたが、残念なことにこの西部地域の人々も手にした多くの可能性を東部地域で使用せず、西部で投資してしまった。我々は奨励債権を発行し、東部、南東部、東部黒海地方を活性化しようとした。しかし誰もこの投資に近づこうとしないのだ。」
■平静への呼びかけ
国民に“平静”を呼びかけるエルドアン首相は、「裁判所が公正な判決を下してくれることを望んでいる。怒り、憎しみ、反感は我々に何ももたらさない。我々は多くのものを失った。もうこれ以上は失わないようにしよう。この地域でどれだけ多くの家系が途絶えたことか。手に手をとり、肩を組んでこの怒りや憎しみを取り除こうではないか」と語った。
ユクセコヴァ訪問の際にも、首相は「テロを招く者たちに我が国民はいかなる時も屈しない」と述べ、「血と死だけに喜びを見出すテロ集団とは和解できない。国民には良識ある理性的な行動を呼びかけたい」と述べた。
■ずい分早く準備したものだ!
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相がシェムディンリで爆発したオジペッキ通りを出る際、約40人からなる若者の集団が「ディヤルバクルを元に戻せ」「アンカラでおびえるな、シェムディンリに来て真実を語れ」「ロジテレビ閉鎖反対」「役人が殺人者なら我々の命の保証は誰がする」「爆弾教育や礼拝はいらない」とのスローガンを掲げた。
エルドアン首相は、歩きながら若者らにスローガンを下げるよう言った。警護がスローガンを回収した際若者らがやじをとばすと、エルドアン首相は「こうしたものをずい分素早く準備したものだ。こんな形では何も得ることはできない。ポケットにしまっておきなさい。一人の首相が二人の大臣を連れてここまでやって来たのだ。この事態を放ってはおかない」と話した。
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( 翻訳者:倉本 さをり )
( 記事ID:1355 )