オルハン・パムク裁判、海外メディアは非難の大合唱(Milliyet紙) 
2005年12月18日付 Milliyet 紙

作家のオルハン・パムク氏に対し「国家侮辱罪」で三年未満の禁固刑を求めて起こされた裁判は、昨日世界中のメディアの注目の的となった。裁判に関連した事件について各紙はそろって生卵を使った抗議活動をとりあげた。

・ガーディアン紙(イギリス):裁判官はパムク氏の命運を政府に委ねた。極左、極右の人々がそれぞれパムク氏とその支持者を糾弾し、車両を破壊し人権監督官に暴力を振るった。デモ隊がパムク氏に嫌がらせをし、人権監督官ともみ合う一方で、警察は騒動を治めるために十分な措置は取らなかった。
・タイムズ紙(イギリス):パムク氏の公判は、見苦しく取り乱したデモ隊によって延期された。暴力事件もEU加盟の準備は整ったと主張するトルコ政府にとっては汚点となった。EU委員は、ヨーロッパの一員になることを決める以外はなんでも起こりうる裁判所で怒り狂った民族主義者に囲まれた。
・フィナンシャルタイムズ紙(イギリス):最初の公判であるにもかかわらず民族主義者とパムク氏の支持者の間で起こった衝突は、トルコ政府にとって政治面、外交面で頭痛の種となった。
・スコッツマン紙(スコットランド):パムク裁判は怒りを表明する舞台と化した。ある女性抗議者はパムク氏に向かって「国家の裏切り者」と叫び、プラスチックのファイルでたたいた。
・ニューヨークタイムズ紙(アメリカ):怒った民族主義者たちはパムク氏にやじを飛ばた。
・ジャパンタイムズ紙(日本):パムク氏の公判は混乱の中で始まった。同氏を「宣教師の子ども」と書いたプラカードを手にした約100人のデモ隊員が迎えた。
・SBSテレビ(オーストラリア):路上に抗議者が集まる中、この裁判がEU加盟の妨げとなるのではないかという不安の中、公判の初日を終えた。
・オランダラジオ:今回の裁判は、オーストリア、ドイツ、フランスなどのトルコのEU加盟に反対する国々に切り札を与えた。

■捜査が始まった
パムク氏のシシュリ簡易裁判所での第一回公判の際に起きた事件に対する捜査が始まった。アクス内務大臣に捜査を指示したエルドアン首相は「治安の脆弱性」に関する議論で「抗議者たちにあんなに広い抗議スペースを与えるべきではなかった」と述べた。アクス内相は文民と警察の調査官を配属したと発表した。

■アルンチ議長:民主化は道途上
アルンチ大国民議会議長は地元マニサで開いた会見で、公判の際に起きた騒動について「ご覧の通りトルコではまだ民主的改革の実行がいまだ道途上だということだ」と述べ、「個人的にはパムク氏の考えにあまり賛成しないが、彼が自分の意見を述べ、書き、話す自由については完全に支持する」と話した。アルンチ議長は公判を傍聴したEU委員のトルコの裁判制度に関するコメントに対し、「トルコは民主的な独立国家であり、誰にも裁判を妨害する権利はない」と批判した。

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( 翻訳者:湯澤 芙美 )
( 記事ID:1537 )