イスタンブルのストリートチルドレン、女性の現状に関する報告書(Radikal紙)
2005年12月01日付 Radikal 紙
イスタンブル県による報告書は「ストリートチルドレンの79.3%が15歳以下である。子供および、暴力や不当な扱いを受けた女性への支援は全く不十分」と指摘している。
「名誉の殺人」とならんで、女性や子供に対する暴力は、非常に重大な社会問題の一つになっている。報告書では、暴力や不当な扱いのためにイスタンブルに避難してくる女性に対して必要な支援を行えないこと、このためイスタンブルへの移住を止める必要があることが明らかにされている。イスタンブル県は障害があったり売春の被害に遭った女性専用の保護施設を必要としている。イスタンブル県がトルコ大国民議会「名誉の殺人」調査委員会に提出した報告書では、イスタンブル県における女性や子供に対する暴力とその影響について述べられている。報告書によると、2005年にイスタンブル県女性の地位委員会とイスタンブル人権デスクには、援助を求めて直接訪れた人が227人、電話をかけてきた人は29人だった。さらに11人の女性がイスタンブル県外から援助を要求して来た。この女性達は「名誉の殺人のおそれ」「精神的ダメージ」「暴力」「家庭内の虐待・性的虐待」「心理的暴力、経済的不当行為」「職場での嫌がらせ」を訴えた。
■保護も無いまま過ごしている
報告書では、イスタンブルに移住してきた人々の中には、暴力や種々の不当な扱いのせいで家族や家を飛び出して移住してきた女性が増加傾向にあることが強調されている。「この状況における女性は、子供がいれば子連れで、でなければ一人で、家や時には住んでいる地域を離れてイスタンブルに来る。その時は短期間でも頼りに出来る人がいると思って避難してくる。しかしたいていは間もなく知り合いも頼る人もいないまま生活を始めることになり、また別の暴力や不当な扱いを受けるという問題が起こりうる」とも述べられていた。
報告書では、イスタンブルに移住してきた家族が、家計の足しにと5歳くらいから子供を外で働かせていることも指摘した。2655人の子供に対して行われた調査によると、イスタンブルでは「親と合わない」20.7%、「家庭内暴力」20.6%、「無理矢理働かされている」17.1%、という3点が、路上生活に彼らを追いやった3大理由とされた。同調査によると、彼らが直面した暴力や不当な扱い、疎外の結果ストリートチルドレンになった子供の10.5%が5~9歳だった。更に40.3%が13~15歳、28.5%が10~12歳、20%が 16~18歳、0.6%が18歳以上だった。
■一つの困難から逃れても…
報告書によると暴力やイジメ、性的差別を経験した女子は、そのひどいトラウマのせいでストリートチルドレンになる、しかしそこで更に酷い暴力や搾取の被害にあっている。こうしたトラウマを忘れるために、少女たちは周囲の人間関係の中で、売春や麻薬の使用といった犯罪に自ら巻き込まれていくということである。
■女性保護施設は不十分
イスタンブル県の報告書で述べられていた解決すべき問題は次のようなものである。
・警察組織の中でまず「女性に対する暴力・性犯罪捜査担当班」を作るべきである。
・トルコ刑法の考慮すべき状況に関する条項には、血縁のほかに因習も量刑を重くする理由に含まれている。にもかかわらず、広範囲にわたり、しかも女性の生命を脅かす「名誉」問題がこの量刑を重くする理由に含まれていないのは欠陥である。
・「名誉の殺人」が家族会議の決定に従って実行された場合、刑罰手続法によれば被害者の家族は裁判に干渉することができる。しかし家族が犯罪を克服しようとするなかで、被害者家族の干渉は、司法上も現実的にもマイナス面が多い。このため、女性の人権を扱う市民社会団体の代表者が干渉者となれるよう改革する必要がある。
・「名誉の殺人」裁判が行われる際には、概して家族内でまたは組織的に犯罪が行われたことを証明する証人を保護することが不可欠である。しかしこの保護には大変な困難が付きまとう。この訴訟に特有の証人保護プログラムを作らなければならない。
・犯罪の通報先と通報方法について、目に見える、簡単で確実な手段を求める声が上がっている。被害者のために無料でこのような手段を用意すべきである。
・女性保護施設の規定は現在の需要に応えられていない。新たな需要に対応した規定を準備しなくてはならない。
■イスタンブルへの移住を抑制
・イスタンブルのような大都市では女性保護施設の数や収容人数は、現在の需要に対応できるレベルには遠く及ばない。現在ある施設で受けるべき行政サービスを受けられないでいる女性たちは、すぐにでもこうした行政サービス外に生活手段を求めるようになる。この問題を解決するため物理的な収容人数の増加と、入居が保障されるまでは他県からイスタンブルへの移住の禁止に加え、現在ある施設が、施設数、職員数、専門性の面で需要に応えられるようにしていかなければならない。
・さまざまな理由や特徴のために暴力に遭った女性(障害のある女性、売春の被害に遭った女性など)が訪ねることが出来る唯一の場所が女性保護施設である。今後開設される施設は、秘密や安全を守るという条件で女性を受け入れるべきである。またそうした女性それぞれの状況に即した専門性の高い女性保護施設を開設することが必要である。こうした施設の収容人数は、子供も含め25名を超えてはならない。
・現在ある女性保護施設の最も重要な点の一つである、秘密という特性が守られていない。こうした施設は物理的にも安全の観点からも、もっと適切な場所に移転するべきである。
・特に暴力、虐待、性的虐待、売春などの被害に遭った少女の保護、治療、リハビリの支援を行うセンターはまず全ての大都市に作られるべきである。イスタンブル以外の県は、イスタンブルにこうした人々を送り込むことで問題の解決とするような安易なやり方を慎むべきである。
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( 翻訳者:住永 千裕 )
( 記事ID:1420 )