表現の自由をめぐり、トルコ刑法第301条が政府内で論争に(Radikal紙)
2005年12月20日付 Radikal 紙
アリ・ババジャン国務相(EU加盟交渉担当)は、作家オルハン・パムク裁判が原因でトルコにとって悲しむべき進展があったとし、トルコ刑法第301条の修正の必要性を訴えた。ジェミル・チチェキ法務大臣はババジャンのこの発言に対し、「法律は法律の専門家に、経済は経済の専門家に聞くべきだ。」と反論した。
昨日CNNトルコの「ヘッドライン」という番組に出演したババジャン国務相は、オルハン・パムク裁判について「先週はトルコにとって悲しむべき一週間であり、またトルコが何かを失った一週間であった。」と語った。
パムク氏がトルコ刑法第301条により公判中であることに触れられると、ババジャン国務相は次のように話した。
「思想や表現に対するいかなる障害も我々は認めない。なぜならば、こうした障害から最も大きな被害を受けたスタッフが我々の組織にいる。自由への障害を取り除かなければならないという我々の考えを、決して疑いの目で見ないでいただきたい。」
さらにババジャン国務相は、政府が表現の自由について前進する決意でいることを強調し、思想と表現の自由に対する大きな障害と考えられているトルコ刑法第301条の修正の必要性を訴えた。
そして「自由と民主化にむけて実現してきた静かな改革は続いていく。我々は、自由とうまく付き合っている。」と語り、司法の独立と分権の原則をとりあげ、誰もがこれを尊重するよう求めた。
■私は聞いていない
ババジャン国務相が刑法第301条の修正の必要性を訴えたことに対し、政府報道官兼法務大臣のジェミル・チチェキ氏が反論した。チチェキ法務大臣は、オルハン・パムク裁判書類の調査を続行していると述べ、ババジャン国務相の発言については「どこでそのようなことを言ったのだ。私は聞いていない。法律は法律の専門家に、経済は経済の専門家に聞くべきだ。」と答えた。
■ギュル外相:問題は適用方法にある
刑法第301条は、アブドゥッラー・ギュル外務大臣が昨日行った人権共同プラットフォームとの会合でも議題に上った。プラットフォームの報道官であり人権協会理事長のユスフ・アラタシュ氏は、会合でギュル外相に刑法第301条の問題を伝えたとラディカル紙に語った。アラタシュは、「ギュル外相は、第301条の問題は、法そのものではなく適用の仕方に問題があるとし、これについて対策を講じることが可能だと発言した。」といった。アラタシュによればギュル外相は、オルハン・パムク裁判で起こった一連の出来事について、次のような評価をした。「警察は、これほど狭い道であるのになぜ許可を与えたのか。どうして介入しなかったのか理解できない。現在、詳細な調査が行われている。」
■議論になっている条項
多くの知識人が裁かれたトルコ刑法第301条の条項は次のとおり。
1、トルコ性(Turkishness)、共和国またはトルコ大国民議会を公に侮辱した者は、6ヶ月以上3年以下の禁固刑に処される。
2、トルコ共和国政府、国家の司法機関、軍隊もしくは治安組織を公に侮辱した者は、6ヶ月以上2年以下の禁固刑に処される。
3、トルコ性(Turkishness)への侮辱が、国外に住むトルコ国民によって行われた場合は、与えられる刑は1/3増しとする。
4、批判をするための思想表明は、罪とならない。
旧トルコ刑法第159条に相当する現トルコ刑法第301条により被告となった人たちの一部は次のとおり:
オルハン・パムク、バスクン・オラン、イブラヒム・カブオール、エロル・カトゥルジュオール、ムラト・ベルゲ、ハルク・シャーヒン、イスメト・ベルカン、ハサン・ジェマル、ラグプ・ザラコル、フェルハト・トゥンチュ、メフメト・チョラク、エルセン・コルクマズ、ネジメッティン・サラズ、フラント・ディンク、カリン・カラカシュル、メフメト・エミン・セルト、エミン・カラジャ、ドアン・オズギュデン、ズルキュフ・クシャナク、ファーティフ・タシュ、ブラク・ベクディル、ミネ・チェヴィキ、アンカラ文化劇団。
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( 翻訳者:倉本 さをり )
( 記事ID:1549 )