土地所有権に関する裁判で、北キプロスへ朗報(Milliyet紙)
2005年12月23日付 Milliyet 紙
欧州人権裁判所(AİHM)は、ギリシャ系キプロス住民が提訴している複数の裁判の方向性を変えうる判決を下した。欧州人権裁判所は、所有権の申し立てを含むケニデス・アレスティス氏の裁判でトルコに賠償金命令を下さなかったが、その一方でトルコに対して複数の類似裁判の規範となる解決策を3ヶ月以内に見つけるよう求めた。
裁判所のこの決定は、欧州人権条約に批准していると明示された場合、北キプロス・トルコ共和国側がこの問題に対して国内法の整備で対処できることを示唆しており、重要である。
裁判は、1974年に退去したマラシュ地方(現在は居住禁止地区)の不動産を取り戻すためにケニデス・アレスティス氏が1999年にトルコを訴えたことから始まった。この訴えを審理した裁判所は、トルコが欧州人権条約の第8条(私的・家族生活、住居及び信書の尊重)および第1議定書第1条(財産権)に反しているという判決を下した。
この違反の指摘には、欧州人権裁判所がキプロス・トルコ共和国を「トルコ軍の支配下にある地域」とみなしていることが影響した。裁判所は、原告であるギリシャ系住民が今でも不動産の所有者であるという見方をすべきであると強調した。ケニデス・アレスティス裁判でこの2条項の違反が指摘されたことは、ロイジドゥ(Loizidu)裁判、そしてギリシャ系キプロスがトルコに対して起こしている数々の裁判の文脈にそった決定であると評価されており、トルコ政府にとっても想定外の要素はなかった。
1996年に欧州人権裁判所は、今回の裁判と関連する内容のロイジドゥ(Loizidu)裁判で、キプロス島の北部をトルコ政府支配下地域とみなし、(トルコに対して)原告のギリシャ系住民への財産返却と、1974年以降所有物を使用できなかったことに対する賠償金支払いを命じたことがある。
■裁判費用
ケニドス・アレスティス裁判の判決では、ギリシャ系キプロス側が展開した陳情運動の費用に対して、賠償金の支払命令はでなかった。さらに「不動産の返還」についてもトルコ側の非は指摘されなかった。裁判所がトルコに命じた内容は、原告の裁判費用65,000ユーロの負担だけであった。
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( 翻訳者:永井 ひとみ )
( 記事ID:1575 )