エルバラダイ、イランとの対話の必要性を強調 シャルグ紙
2005年12月04日付 Sharq 紙

12月4日付シャルグ紙2面

【ISNA】ムハンマド・エルバラダイ国際原子力機関(IAEA)事務局長は、「数ヶ月以内に、少なくともイランの核計画の過去の経緯について、結論が得られることを望む」と述べた。

エルバラダイIAEA事務局長は、インドのNDTVテレビとの独占インタビューで、「イランや北朝鮮の核問題、その他の安全保障上の問題に対する永続的解決の道は交渉、対話によって得られると信じている」との考えを表明した。同事務局長はまた、「〔問題解決のために〕緊張状態をつくり、〔相手側に〕圧力をかけることも可能であるが、しかし最終的には、問題の両当局者が腰を据えて意見の相違について話し合うことが必要である」と続けた。

 IAEA事務局長は、「先般のIAEA理事会が平穏な雰囲気で開かれたことに、胸をなで下ろし、喜びを感じている」と言及した上で、「しかしまた、イランには、より透明かつ積極的な態度で、未解決の問題を解決すべくIAEAに協力すべしとの国際社会の要求に、真摯に耳を傾けて頂きたいと思う。なぜなら、国際社会全体は〔イランの核問題解決がいまだなされないことに〕しびれを切らしているからだ」と述べた。

 エルバラダイ事務局長はさらに、「わたしたちは核問題解決への取り組みを始めて三年になる。イランの過去の核計画について、いつまでも調査するということは不可能である。わたしたちはすでに、イラン核問題というパズルのピースの多くを見つけ出したが、いまだに見つけることのできないピースが存在することも事実である」とつづけた。

 IAEA事務局長は、イランは中東の中心部に位置しているが、中東の国々は現在、隣国との友好関係を確立し得ていないとした上で、「それゆえ、どのようなものであれ、情勢の混乱あるいは緊張が惹起されるようなことがあると、イランのみならず、中東全体に多大な影響を与えるであろう。私はイランに、このことをきちんと理解して欲しいと願っている」。

 エルバラダイ事務局長は、イランが核兵器開発の意図を有しているのではないかとの、特にアメリカが示している懸念に同意するか、という問いに対して、「わたしたちは賛成でも反対でもない。わたしはこれまでつねに、現段階ではまだ、イランが核兵器開発の意図を持っているかどうかを判断することはできないと述べてきた。われわれは今後も、適切な作業を続けていきたいと考えている」と答えた。さらに、いまだ明瞭な形で結論に達してはいないとした上で、「いかなるものであれ、わたしたちが有している情報が信頼の置けるものであるということを、確かめる必要がある。この問題が核武装化には関連しないということを、確認する必要があるのである」と加えた。

 IAEA事務局長は、「ウラン濃縮とウランの金属への転換に関連した文書をイランがなぜもっていたのか、という疑問を惹起させるようなメモ書きがあったことは、まぎれもない事実である〔*注:イランが高濃縮ウランを半円球状にするための、原爆製造用の技術文書を保有していたことを指す〕」と述べ、さらに「このこと〔イランが原爆製造用の技術書を所有していたこと〕は、軍事的な領域でしか利用価値がない。ところが、イラン側は再度はわたしたちに、それ〔核兵器製造用の技術文書〕は自ら求めたものではなく、核の闇市場で〔偶然に〕入手したものにすぎないと主張している」。その上でエルバラダイ事務局長は、「われわれは今後、イラン側が他の〔核兵器開発技術に関する〕文書も入手したのかどうかについて確認する必要がある。もちろん、そのような文書が自動的に、濃縮ウランの〔半〕球体化、すなわち核兵器化の方法に関する最もセンシティヴな情報について記述されたものであるとは限らない」と述べた。

 IAEA事務局長はさらに、「数ヶ月以内に、イラン核問題について、少なくともイランの核計画の過去の経緯については、結論を出したい」とし、また「その計画の全貌を明らかにしたいと考えている。というのも、〔全貌が明らかにならないようなことがあれば〕信頼のプロセス全体が危機に晒されることになるからだ」と述べた。

 エルバラダイ事務局長は、この問題についてイランの新政府はどの程度協力しているかという問いに対して、「彼らはこれまで協力的であった、と答えるのが適当だろう」とし、「彼らが協力を中止したということはないし、実際、一部の軍事施設に、より一層のアクセスが可能となったことも事実である。このことから、保障措置協定に基づいてイランに課された義務以上の透明性が確保されていると評価することも可能だ。これは肯定的に捉えるべきことである」と述べた。

 同時にIAEA事務局長は、「イラン側はいまだ、わたしたちが要求してきたこと全てに対して、積極的に回答しているわけではない」とも指摘し、「そのために、確かにわたしたちはこれまで前向きな進展をみてきたが、それは遅々とした歩みであって、十分なスピードで進んできたとは言えないのである」と述べた。

 エルバラダイ事務局長はまた、ロシアがイランに示した提案についての問いに答えて、「この提案に回答するのは、間違いなくイラン側の責任である。彼らがロシア提案に対して、前向きな姿勢を示すことを望む」と述べた。またエルバラダイ事務局長は、「この提案は〔イラン核問題にとって〕転換点となるものであり、信頼醸成のためにも必要なことだと理解している」と付け加えた。

 IAEA事務局長はさらに、「ロシアは、他国と同様に、平和利用目的で原子力エネルギーを完全に利用する権利がイランにもあることを、正式に認めていることに疑いはない」とした上で、「ただこのロシアの提案は、イランの国際社会における信頼醸成を促進するという目的にもとづいたものであると、私は考えている」とつづけた。

 エルバラダイ事務局長は、「イランの大統領自身、自らの提案を持っており、ロシアの提案もまた、イラン側の選択肢の中に入っていると聞いている。イラン側には、ロシア提案をきちんと検討して頂きたい」と述べた。

 IAEA事務局長は最後に、「それゆえ私は、イラン核問題の全当事者が交渉のテーブルに復帰することを願ってきた。二つのステップを踏むことが、ともに重要である。すなわち、イランは誠実に、わたしたちが関心を抱いている未解決の問題をつつみ隠さず明らかにすること、そしてそれと同時に、ヨーロッパや他の国際社会と交渉の席に復帰すること、である」と述べた。

Tweet
シェア


現地の新聞はこちらから

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:齋藤あかね )
( 記事ID:1448 )