報道に対する制限:厳罰化の動き(Radikal紙)
2005年06月01日付 Radikal 紙
政府は批判にもかかわらず出版・報道の自由を制限するトルコ刑法の条項を改正しなかった。もはやギャングや不正行為の事件は報道されず、政府の政策に反する見解は発表できなくなる。(ユルダギュル・シムシェク)
トルコは本日から刑法制度の根本的な変化を迎える。トルコ刑法は2004年12月17日のEUサミット直前に「大至急」当初の形で施行された。法律は報道をはじめ、社会の多くの分野に対するネガティヴな内容を含んでいる。このネガティヴさを解消するため政府は改正案を出したが、これも大統領官邸で止められている。
新トルコ刑法とともに刑事裁判所法令、刑執行法令、これらの実施法や法廷記録法も今日から施行される。新トルコ刑法によって報道機関が直面すると思われる危険は次のとおり。
・「自殺」条項により自殺を誘発する罪が報道によって行われた場合10年の懲役刑にまで及びうる。「報道機関が自殺を支持しなければ問題はない」と述べる条項は、ハンストや死に至る断食に関する報道も含まれるなら、報道にとっては悪夢の再来である。
・パロディも侮辱罪に含まれる。侮辱が報道・出版によって行われた場合、刑罰は3分の1加重される。
思想犯には懲役刑
・思想犯に適用される「民衆を悪意や敵意に向かわせる扇動や軽蔑」「法令に反する扇動」「民主に恐怖やパニックを引き起こす目的でなされた威嚇」「罪を犯すよう行われた扇動」「犯罪や犯罪者を賞賛すること」といった見出しのある条項が並ぶ「公共の平和に対する犯罪」が出版・報道によって行われた場合には刑罰は1.5倍になる。
・「司法判断に影響を与えること」という見出しの条項が適用されれば、ギャングや不正行為の捜査について報道した報道機関には、4.5年以下の懲役刑が下される。
・大統領を侮辱した人間は1~4年の懲役刑が下される。この犯罪を出版・報道によって行った場合、刑罰は3分の1加重される。
・反国家的扇動罪には20年の懲役刑、出版によって行われた場合には3分の1加重される。
・基礎的な国益に反する行動には3年から10年の懲役刑が下される。この犯罪が出版・報道によってプロパガンダを目的に行われた場合、刑罰は1.5倍に加重され、15年に及ぶ場合がある。この条項の事由によれば、北キプロス・トルコ共和国やアルメニア問題に関する公式な政策に反する見解を提示した者も処罰される。
・通信内容を法に反して暴露した者には3年、それを報道した者には4.5年までの懲役刑が科される。
・公式でない個人的な会話を合意なしに機具を使って聞いたり記録したりした者には2~6ヶ月の懲役刑が下される。この会話を出版・報道機関を使って公開した場合、刑は6ヶ月から2年までの懲役刑となる。
・個人的な生活に関し、盗撮や盗聴を行なった者は1~3年の懲役刑に処せられる。これが出版・報道機関によって行なわれた場合には、刑は1.5倍に加重される。
・罪を犯す目的で形成された団体やその目的に関するプロパガンダを行なった者は1~3年の懲役刑が科される。この犯罪が出版・報道機関によって行なわれた場合、刑は1.5倍に加重される。
・わいせつ犯罪が出版・報道によって行なわれた場合には、懲役刑は10年にも及ぶ場合がある。出版団体は「わいせつ」の定義を要求している。
・名誉毀損が出版・報道によって行なわれた場合には1~4年の懲役刑が科される。出版団体は不正行為や不当利得の報道を行なうことができるよう、出版をこの犯罪の対象外とするよう要求した。
・名誉毀損を行った者がある条件を実行した場合、「自主的後悔」条項の適用により刑罰の軽減が行われる。しかし報道関係者にはこの「自主的後悔」は適用されない。
・捜査中の人物の写真・映像を公開した者には2年以下の懲役刑が科される。
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( 翻訳者:宇野陽子 )
( 記事ID:103 )