PKKのテロリスト訓練キャンプについて調査報告まとまる(Milliyet紙)
2005年08月04日付 Milliyet 紙
北イラクとイランにあるPKK(クルド労働者党)の活動拠点の様子が報告書によって明らかにされた。9つのメーンキャンプで自家発電をしており、外来患者診療所で診察が行われている。武器や食糧の確保から財政面まで全ての領域をカバーする組織がある。
参謀本部のイルケル・バシュブー副長官とエルドアン首相が「必要があれば越境作戦も辞さない」との発言でターゲットに据えた北イラクのPKKの活動拠点の詳細な情報が、国家首脳に提出された報告書により明らかになった。警察のまとめた報告書で、PKKが9つのキャンプで約4千人のテロリストを養成していることが分かった。報告書は2週間前にイスタンブルで開かれたイラク近隣諸国の内相会談で提出された。カンディル山を始め、北イラクとイランのPKKの活動拠点の状況が報告書にまとめられた。
■9つのキャンプで活動
メーンキャンプは1990年代の初めから結成されたカンディル、ハクルク、ヒネレ、ロアン、ザップ、メティナ、アヴァシンと国連の監視下にあるマフムールの9つで構成されている。組織の最高指導者たちのいるカンディル山キャンプには、ゼリ、ドレ・コゲ、シェヒット、アイハン、シェヒット・ハルン、カラトゥカン、カニ・ジェンゲ、ベレ・カティ、西部戦線、シェヒット・ロジハット、バラガティ、スレディと名付けられたキャンプがある。
報告書によると、PKKが(トルコから)北イラクに連れてきたテロリストたちの多くは、再びトルコに入った。北イラクには以前、武装した1万人ほどのテロリストがいたが、現在は3,640人から4,030人ほど(に減った)と記されている。
報告書の詳細は次の通り:
■メーンキャンプはカンディル山
・カンディルのメーンキャンプには3千人のテロリストがいる。ここにある2つの小さなキャンプは、シェヒット・ハールーン峡谷と名付けられた自然の滝と、シェヒット・アイハン峡谷と呼ばれる地域に作られた2つの“(水力)発電所”の電気で電力をまかなっている。シェヒット・ハールーン峡谷で発電された電気は、同時に近隣の2つの村にも送られている。ダムでは8人のテロリストが任務についている。
■NATOのミサイル
・メーンキャンプには、NATOの財産目録に登録された5基のスティンガーミサイル(携帯用地対空ミサイル)、ドルチュカ、BKC、M-16といった大型武器、日産ジープ、発電機100台、溶接機(kaynak makinası)、人工洞窟10カ所、15のサービス部門がある。
・医療部門では“アフメト”というコードネームのトルコ人医師を筆頭に、2つの別の拠点の病院、3人の医師、14人の医療スタッフがいる。手術、外科治療、外来診察を提供できる器具と薬品類がある。
・すべての重兵器や軍事物資の供給を行う爆薬庫部門に13人、食糧を分配する物流部門に13人、ノート、本、雑誌を印刷する印刷部門に8人、お金を管理する財務部門に1人、情報をやりとりする通信部門に13人の担当者がいる。この購買・販売部門もある。
・ゼリでは、重兵器を使った軍事訓練や政治教育が行われている。峡谷には病院と発電機が設置されている。
・シェヒット・ロジハット、バラガティ、スレディという名の小さなキャンプでも軍事訓練・政治教育が行われている。
・ドレ・コゲには、倉庫や図書館とともに、トルコ・中東・ヨーロッパ教化学校という名の部門もある。
・シェヒット・アイハンでは、自爆活動のため「特殊武器」教育が施されている。
・トルコやメスット・バルザーニーによる軍事作戦に対抗するために作られたハクルクキャンプには550人のテロリストがいる。
・国連の監視下にあるマフムールキャンプには、組織のメンバーを含む約9,500人が暮らしており、大部分は難民である。
■士官学校がある
・カニ・ジェンゲキャンプには、1,000人近くのテロリスト、25基のSAM-7ミサイル、兵器、6、7人の医師が手術や医療検査を行う中央病院、武器庫と士官学校がある。この学校は、プロの軍隊を作るために設けられている。
・ベレカティキャンプには多くのSAM-7ミサイルがあり、ここのPKKメンバーは密輸業者から“税金”を得ている。550人のPKKメンバーがおり、20基のSAM-7ミサイルがある。
・シェヒット・ハールーンキャンプにある“捜査委員会”という名の部門は、犯罪を犯したメンバーを裁いている。受刑者は、キャンプにある刑務所に収容される。このキャンプにも、病院、服屋、大きな岩を掘って作った避難所がある。
■爆発物研究所
・無線の暗号化はヒレネキャンプで行われている。コードネーム“エクレム”のフドゥル・サルカヤが担当している司令部では10の隊列から成るテロリストグループに教育が施されている。コードネーム“アッバス”ことドゥラン・カルカンの担当するイデオロギーキャンプでは、自爆活動、スタッフ養成、諜報、弾薬庫の各部門と、病院、購買・販売委員会、2つの研究所がある。研究所では、電気機械装置や爆発物に関連した研究が行われている。諜報部門のスタッフは、法律やコンピューター工学を学んだ人々が占めている。
・ヒュセイン・カイタンが担当している35人から成る文化教育部門では、音楽、民俗学、演劇の指導が行われている。これらは、メディアTVやロジTVで配信されている。
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( 翻訳者:田辺朋子 )
( 記事ID:581 )