中国の繊維製品、EU税関で足止め。トルコはチャンスを生かせるか(Milliyet紙)
2005年09月01日付 Milliyet 紙

中国が輸入割当額を超過したことにより、8,000万点の繊維製品がEU税関で足止めされたため、ヨーロッパは“繊維危機”に見舞われた。発注した製品を受け取れなくなったバイヤーは、大あわてでトルコへ殺到した。

「輸入割当額超過」によりEUの税関で足止めされた中国製の繊維製品が巻き起こした危機的状況に解決の糸口が見えないことから、発注した品物を受け取れないヨーロッパの繊維業者は商品を求めてトルコへ殺到した。
イスタンブル繊維・既製服輸出業者組合は、中国製品が税関を通過できるようEUの担当者とともに働きかけを行っているが、繊維関係者は同組合と政府の取り組みを不十分だと非難している。
イギリスのメディアは、第2次大戦後最も深刻な繊維危機を迎えようとしているヨーロッパでは、中国から輸入した製品を通関させることができない輸入業者が、冬物商戦に間に合わせるためトルコへ大量の注文を行ったと伝えた。
数週間にわたって税関で足止めになっている8,000万点の中国製繊維製品のうち、1,100万点がズボン、5,000万点がセーターで、額にして1,000~1,500万ユーロ相当のものと見られる。

■「パニックに陥った業者が殺到」

トルコ服飾産業組合のアイヌル・ベクタシュ会長は、税関で製品を通過させられないヨーロッパの輸入業者はおよそ10億ドルの損害を被ると述べ、「困難な状況にあるヨーロッパの業者は、注文のためトルコへ来ている。特にズボンとセーターに大量の注文が来ている」と語った。
ベクタシュ氏は「通常なら生産の落ち込む8月に、ズボン、セーターともに去年より19.2%も伸びた。この最大の要因の1つにEUと中国の間の繊維危機がある。最大の危機は10月だと予想している」と話した。
またベクタシュ氏は組合員にヤミ取引をしないよう、「組合員に対し、トルコの相場を超えないよう警告した」と述べた。

■イタリアはイギリスと対立

EU通商委員会のメンバー、ピーター・マンデルソン氏は、この危機は近いうちに解決されるという見方を示す一方、割当額を超過した中国製品をヨーロッパで販売するにはEUに加盟する25カ国の同意が必要だ(と述べた)。イタリアやスペインのように繊維製品の生産国は、輸入超過の中国製品がヨーロッパに入ってくることに反対している。

■「国内に入ってこないよう努めている」

イスタンブル繊維・既製服輸出業者組合のスレイマン・オラクチュオール組合長は、“輸入割当額危機”は驚くような事態ではないとし、「今、コップ1杯の水の中で嵐が起こっている。ヨーロッパのバイヤーは、EUが割当額を決めたにもかかわらず、多くの製品を発注した。中国の業者も正しい行動をせず、製品を山のように送ってきた。彼らは割当額をなんとか調整(して通関できるように)しようとしている」と述べた。
オラクチュオール氏は、税関で足止めされている中国製品が(トルコ国内に)入ってこないよう努力していることを明らかにし、「あの製品が国内へ入ってきたら来年以降の前例となってしまう。それではトルコが損害を被る」と語った。またこの危機がヨーロッパの業者にとって良い教訓になったとし、「今回の騒動で彼らも十分理解しただろう」と話した。

■繊維関係者は批判

繊維業関係者は、EUと中国の間に起きたこの危機に対し、トルコでは政府も民間団体もうまく対処できなかったと見ている。イギリスやドイツのような国が税関で足止めにされている8,000万点の製品を通関させるようキャンペーンを行ったが、こうした状況から最も多くの損害を被るであろうトルコは十分なロビー活動をしていなかったと指摘した。
ある繊維業者は、国もイスタンブル繊維・既製服輸出業者組合のブリュッセル代表事務所も夏休みに入っていたといい、「現在、少量の注文が来る可能性はあるが、EUが中国製品を通関させるなら、トルコは少なくとも2億から3億ユーロの輸出の機会を逃すことになるだろう」と話した。

■輸出は57カ月連続の減少

7月の輸出は前年同月に比べ4%減り、54億ドルに留まる一方で、輸入は8.7%増え、95億ドルとなった。トルコは1年を通して前年の輸出額を上回った。国家統計庁によれば、7月の輸出額に対する輸入額の割合は57%で、近年で初めて60%を割り込んだ。7月の41億ドルの赤字により、1-7月の貿易赤字は23.3%増加し、239億ドルとなった。
1-7月の輸出額は406億ドルに、輸入額は645億ドルだった。

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( 翻訳者:塚田 真裕 )
( 記事ID:786 )