パキスタン、アメリカの対イラン攻撃に懸念 シャルグ紙
2005年09月13日付 Sharq 紙

2005年9月13日付シャルグ紙オンライン版

 第60回国連総会に出席するため、ニューヨークを訪れたパキスタン共和国のパルヴェーズ・ムシャッラフ大統領は、月曜日に、アメリカのコンドリーザ・ライス国務長官と会談を行った。その中で、米政府によるイラン攻撃の可能性について懸念を抱いていると述べた。

 アメリカはこれまでのところ、イランに対して攻撃の意図があるとは明言はしていない。むしろアメリカは、イランの核活動に対するもっとも厳しいスタンスとして、核問題を安保理へ付託し、イランを国際社会の政治的、経済的圧力のもとにさらすことを目指している旨公言してきた。

 ムシャッラフ政権は、アメリカ合衆国の南アジアにおける確固たる同盟国とみなされている。ムシャッラフ大統領は、「アメリカがイランに対して何らかの敵対的措置を取れば、それはパキスタン情勢の不安定化につながる恐れがある」との考えをライス長官に伝えた。アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領も、第60回国連総会とは別に、パキスタン大統領ムシャッラフと個別会談を行う予定だ。ホルシード・アフマド・カスーリー・パキスタン外相も、この会談の後、記者会見で「われわれは、イラン核問題の解決に平和的方法が模索されることを望む」と語り、さらに「われわれはアフガニスタン情勢の不安定に頭を悩ませている。それゆえ、国境の別の側でも不安定な情勢を目の当たりにするのはこりごりだ」と述べた。同様に、エクバール・アフマド・ハーン駐イラン・パキスタン大使も、テヘランでアクバル・ハーシェミー・ラフサンジャーニー公益判別評議会議長と会談した際に、「パキスタンは、イランの核問題がIAEAの枠内で、完全に平和的な形で解決されることを願っている」と述べている。

 パキスタンとイランは、昨今、エネルギー分野での関係の拡大に力を注いでいる。同様にイランは、イラン核問題ではイラン側につくようパキスタンに求めてきた。しかしその一方でアメリカは、パキスタンでの原子力精製施設の建設に同意するとの約束をすることで、イラン核問題をめぐる米イの対立においてアメリカ側につくようパキスタン政府を説得しようとしているといわれている。

 ハーシェミー・ラフサンジャーニー師は、イランとパキスタンのエネルギー分野での密接な関係は重要であると述べている。イラン学生通信(ISNA)は、「パキスタン、インドにいたるイランの天然ガス・パイプラインの建設は、地域の経済発展と安全強化をもたらすものであり、イラン・イスラーム共和国は、同パイプラインを、平和と友好のパイプラインとみなしている」とのハーシェミー・ラフサンジャーニー師の言葉を引用して報じている。

 パキスタン大使は、二国間関係は良好で、すべての分野で関係を拡大させるべきだと述べているが、その一方で、アリー・ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記のパキスタン訪問直前に行われたパキスタン・イスラエル外相会談に対しては、イランから批判の声が上がっている。イラン学生通信は、「ハミード・レザー・アーセフィー・イラン外務省報道官は、イランはパキスタン・イスラエル関係に懸念を有している旨パキスタン政府当局に伝えた、と述べた」と報じている。

 実際パキスタンは、イスラーム国家として、イスラエルを正式に承認していない。アーセフィー外務報道官は次のように述べている。「このような中でパキスタン政府は、今後もパレスチナ国民の側にいること、このことで自らのスタンスを変えるつもりはないということについて、必要な説明を行ったし、またわれわれの懸念についても了解してくれた」。

 パキスタンのホルシード・マフムード・カスーリー外相と、イスラエルのシルヴァン・シャローム外相との会談に対するイラン側の神経質な対応について、ナイーム・ハーン氏は「イラン政府は、両国が接触を行っていることを以前から知っていた」と述べた上で、「われわれの立場については、イランの同胞に説明済みであるし、これ以上何か付け足したいとは思わない」。

 つい先日も、パキスタン外相はトルコを外遊した際に、イスラエル外相と握手をし、会話を交わしている。その一方で、パキスタンはパレスチナ独立国が誕生するまで、イスラエル政府を承認するつもりはない旨明言している。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:874 )