イスラエルの38年間にわたるガザ地区占領が終結(アル・ナハール紙)
2005年09月12日付 Al-Nahar 紙
■ イスラエルの38年間にわたるガザ占領が終結
■ ガザ地区の入植地にパレスチナの旗が昇る
2005年9月12日付アル・ナハール紙(レバノン)HP1面
【ラーマッラー:ムハンマド・ハウワーシュ、諸通信社】
38年間に及ぶイスラエルの占領から解放され、今日ガザは目覚める。この解放によって、1967年の戦争中にイスラエルが占領した土地の全域に自分たちの国家を樹立するという夢の実現にまた一歩近づくのだというパレスチナ人たちの希望は、また更に強まった。イスラエルのガザ地区占領最後の日の出来事は矢継ぎ早に展開していった。イスラエル政府がガザ地区の軍事支配の終結を宣言したことに始まり、入植者たちが残したシナゴーグ解体の決定は取り消され、イスラエル国旗の降納式典が行われ、形式だけの名称を付けた作戦の枠組みの中でイスラエル軍の撤退が始まり、パレスチナ治安部隊が入植地に進入し、パレスチナの旗が掲揚された。一方で、パレスチナ人たちは占領終結を祝おうと入植地に入る準備をしていた。
国境のエジプト側では、エジプト・イスラエル間の協定に基づき、エジプト国境警備隊の一個大隊750人の先発部隊が、サラーフッディーン(フィラデルフィア)回廊地区 に展開し始めた。
■ シナゴーグという「爆弾」
イスラエル内閣は[ガザ地区の軍事統治を正式に終結させることを閣議で承認したが]入植者たちが後に残した ユダヤ教礼拝所シナゴーグの解体案を閣議での票数14対2で取り消し、ユダヤ教聖職者たちの圧力に屈する形となった。それは、今回のシナゴーグ取り壊しが世界のほかのシナゴーグの行く末にまで与える影響への懸念からの判断である、とシルヴァン・シャローム外務大臣は述べた。また、次回の選挙において政治的な代償を支払わざるを得なくなることへの懸念も背景にある。
イスラエル外務省の声明によると、シャローム外務大臣はコフィー・アナン国連事務総長に電話で連絡を取り、アナン事務総長が国際社会およびパレスチナ自治政府への影響力を駆使して、イスラエル軍が撤退したガザ地区の21ヶ所の入植地 に破壊されずに残っているユダヤ教のシナゴーグを危険にさらさない保証をとりつけるよう求めた。また、シャローム外務大臣は「イスラエル軍が撤退した後、パレスチナ自治政府はガザ地区で起こることに責任を持つことになり、聖なる場所を保護する義務もある。パレスチナ自治政府のモラルが問われる。」とのことだ。アナン事務総長はこの問題についてパレスチナ自治政府議長と検討するとシャローム外務大臣に返答した。
イスラエル軍放送局は、イスラエル軍がシナゴーグ入り口にヘブライ語と英語で「神聖なる場所」と書かれた貼紙を貼ったと報道した。
イスラエルのアリエル・シャロン首相は、シナゴーグの内部にある神聖な備品はすべてイスラエル領内に戻したが、シナゴーグを移転することは不可能であるとして、政府決定を正当化した。
なお、ガザ地区には24のシナゴーグが存在する。
■ パレスチナの反応
イスラエルの決定に対して、パレスチナ内務省のタウフィーク・アブー・ハウサ報道官は、「パレスチナ指導部はイスラエル人が残してゆくシナゴーグも含めたすべての建物の取り壊しを月曜日から開始すると決定した」と発表した。しかしイスラエル軍の基地は、ガザ地区南部のパレスチナ治安部隊の本部として使用するために残されることになる。
パレスチナ自治政府は、ガザ地区における占領の象徴を狙って襲撃することが予想されるパレスチナ人群衆の手でユダヤ教礼拝所が冒涜された場合に、パレスチナ自治政府に対して国際的な責めを負わせようとの試みであるとして、イスラエルを非難した。
パレスチナ和平交渉団長サーイブ・オライカート博士は「このような決定によってイスラエル政府はパレスチナ自治政府を、どんなことをしようとしなかろうと糾弾されるという窮地に追い込もうとしているのではないか」と疑問を表明した。
(抄訳)
現地の新聞はこちらから
( 翻訳者:豊泉麻衣子 )
( 記事ID:864 )