レバノン、内部対立のなかで閣僚会議きょう開催(アル・ナハール紙)
2006年09月15日付 Al-Nahar 紙
■ 「試行的」閣僚会議が今日開催
■ 首相経験者ら、対立の打開に向けて動き
■ セニョーラ首相、現政府の存続を強調 ヒズブッラーは政府は崩壊したとの見方
■ スファイル総大司教、国外移住の増加に警告「誰がこの祖国に残るのか?」
2006年09月15日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
レバノンは昨日、フアード・アル=セニョーラ首相がカイロおよびアンマンへの訪問から夜になって帰国するまで、「三首脳不在の一日」を過ごした。エミール・ラッフード大統領は水曜日から非同盟諸国首脳会議のレバノン代表団長としてハバナに滞在中である。またナビーフ・ビッリー国会議長は私的訪問のためジュネーヴに滞在中である。セニョーラ首相は断続的なアラブ諸国歴訪の一環としてエジプトとヨルダンを訪れた。この全員の不在の時期に、8月14日にイスラエルの対レバノン戦争が停止してからまる1ヶ月の記念日が重なった。また国内における政治的対立の激化もあいまって、国連安保理決議第1701号の残りの段階の履行に対する注目度は下がっている。
しかし、激しい政治的対立の嵐はここ数日で頂点に達した後、比較的影を潜めた状態になっている。閣僚会議および国会における「3・14勢力」と「ヒズブッラー」両勢力の関係者によると、ここ数時間の間にはいかなる政治的展開も起こっておらず、それはつまり事態沈静化への調停が行われていることを示すものである。それはすなわち、すべての勢力がそれぞれの立場を維持しつつも対立の激しさは軽減しているということだ。したがって、今日の午後5時に開催される予定の閣僚会議は、当初昨日の開催が予定されていたもののセニョーラ首相の外遊のために延期されていたものであるが、この会合は多数派勢力とヒズブッラーにとって、両者の間で広まりつつある行き詰まりの只中で投げかけられる諸問題に取り組むにあたっての微妙な試行の場となるであろう。一部の消息筋が昨夜伝えたところでは、ヒズブッラーは国際部隊へのドイツの参加問題を取り上げ、この参加に関するアンゲラ・メルケル首相の声明に対して公式な立場を取ることを要求する意向と見られる。メルケル首相はこの参加が「歴史上初めてドイツ軍が明確にイスラエル保護の義務を負い、同時に中東地域における平和的解決に寄与するという、歴史的な任務」であるとの見解を示している。ヒズブッラーの幹部たちは昨日、ドイツにこの立場について説明するよう要求し、「ドイツがイスラエルに代わってレバノンの海上封鎖の役割を果たすこと」を拒否すると強調した。
(中略)
■ 首相経験者の動き
政治的な行き詰まりの打開に取り組むため一部の政治家たちが行っている協議の一環として昨日、かつての首相経験者たちが来週火曜の夜6時にサリーム・アル=ホッス元首相宅で会合を開き、対立や挑発ではなく対話の言語に依拠するよう呼びかける声明を出す予定であると伝えられた。会合の開催についてはホッス元首相とナジーブ・ミーカーティー前首相の間の連絡を皮切りに首相経験者らの間で連絡が行われた直後に合意がなされた。また情報によれば、2日前にサアド・アル=ハリーリー議員を訪問したミーカーティー前首相は、この件に関してヒズブッラーの幹部と連絡を取ったという。
■ マロン派総大司教
キリスト教マロン派のナスルッラー・ブトゥルス・スファイル総大司教は昨日、政権交代の要求を「正当な権利であり、それは勢力の均衡に基づくべきものである」と述べたが、「もし今日政府が総辞職したら、それ以外の政府の樹立は非常に難しく、国は空白状態に突入すると述べる人々もいる」と指摘し、「気を静めること」を呼びかけた。また、「今でもイスラエルこそが敵である」と強調しつつ、「あの戦争は我々には関係がなく、我々に課されたものであり、我々の領土が彼らの戦いの場として利用されたのである。この戦争は代理による戦争だった。アメリカ合州国とイスラエルが一方にあり、もう一方にはレバノンの一勢力を通してイランとシリアがあった」と強調した。
またスファイル総大司教は国外移住の増加に対して警告を発し、「国外移住の増加を防ぐためにも国家運営が公正なものとならねばならない。(...)もしもこのままの事態がつづけば、誰がこの祖国にいつづけようとするか、知れたものではない」と述べた。
現地の新聞はこちらから
( 翻訳者:田中裕子 )
( 記事ID:3609 )